• タグ別アーカイブ: かっ香正気散
  • ≪第5回≫かっ香正気散

    漢方薬症例クイズ≪第5回≫

     実際の症例を元に、患者さんの症例データーを提示します。
     “書いてある内容”から推理して、適応すると考えられる漢方薬の名前を当てて下さい。
     基本的に当店で扱っている漢方薬としますが、解答としては必ずしも限定しません。「なるほど、その方法もあるか」と思われる解答であれば、正解とする事があります。(生薬のみや民間療法などは除外します。)
     正解者の中から、抽選で4名様に『クツのお留守番を進呈いたします。(色はご希望に添えない事がございます。)
     絶対の正解というものはありませんのであくまで、“あそび”として楽しんでいただければと思います。
     皆様の参加をお待ちしています。(終了しました)

    クツのお留守番

      kuturusu.jpg (226149 バイト) 

     靴を履いていない時に、靴に入れておく消臭剤です。(色はご希望に添えない事がございます。)

    募集期間:~6月7日(月)
    正解発表予定:6月10日(木)

    問題
     女性。47歳。
     主訴は、腹部の不快感、吐き気、食欲減退。
     中肉中背、顔色は普通。
     夏前の暑い日に外出した時に冷たい物を大量に飲んだ。それ以来、上腹部の不快感、胸悶(きょうもん)、吐き気、食欲減退、食後の上腹部の痞(つか)え、苦満感、背中の冷えなどを感じる。

    正解
     
    正解かっ香正気散です。
     残念ながら、今回は正解者はいませんでした。

     次選の漢方薬としては、解答の中から五苓散・柴苓湯・安中散・小柴胡湯が使えるものと判断して、抽選のうえ以下の方を当選とさせていただきました。おめでとうございます。
    ※鈴木陽子様…選んだ理由:小柴胡湯→体力は普通で胸のつかえが同じ症状だと思いました。自信ありません。 ※うえ様…選んだ理由:五苓散→胃腸の不具合によく使っています。とくに、吐き気、つかえのあるときは、効果あり、かと。 ※keikoko様…選んだ理由:安中散→症例がぴったりだったので。 ※ひょうた様…選んだ理由:柴苓湯→空欄。

    解説
     今回の患者さんに関するキーワードは、季節が夏前となっていますが“暑い日”に“冷たい物”を大量に飲んでから症状が現れたと訴えている点にあります。
     そして、症状はいずれも胃腸障害を示していますが、背中に冷えを感じているという事は、風邪の可能性を示しています。風邪の兆候を見逃してしまうかどうかが、この後の治療の鍵となるので注意が必要です。
     寒い季節と暑い季節とでは風邪をひくプロセスが違い、寒い季節は風邪の原因菌の活動が活発になり体が負けてしまうと発症し、暑い季節は体力の方が落ち込むと風邪の原因菌につけ入れられて発症するケースが多いのです。よく、「お腹に来る風邪」という言い方がありますが、胃腸障害を起こす風邪は、発症する前にすでに胃腸の働きが低下して栄養不足になり体の抵抗力が落ちていたりするのです。
     そこで、主訴である腹部の不快感や食欲不振を改善すると共に、夏風邪に対応できる漢方薬としてかっ香正気散を正解としました。

    補足
     実のところ、胃腸障害は原因が多岐に渡り、その治療に用いる漢方薬の種類も多いため、参加者の皆さんも選ぶのに迷った事と思います。
     そのうえで、主訴に対応しており、副作用や不適応となる可能性のある物を除いていったのが、次選の漢方薬です。
     それらの中で、胃腸障害と風邪にも効果のあるのは小柴胡湯です。ただし、生薬成分の柴胡(サイコ)は胸脇苦満を緩和するものの同時に悪心を招く事もあり、また黄ごん(オウゴン)は消炎作用に働くため経過観察を怠らないようにしなければなりません。どちらかというと、風邪をこじらせた後の回復期に微熱が残った場合に用いると良いでしょう。
     次に、胃腸障害に重点を置いた場合には五苓散が適していると考えられます。効能書きにおいても「暑気あたり」とあり、下痢にも効果があるので、今回のような症状では最初に選択するのに適していると云えます。風邪の可能性が無ければ、もっとも正解に近いと思います。
     安中散は、胃内停水というように飲みすぎによる胃の冷えからくる食欲不振などに効果があるので、症状の改善に期待が持てます。ただ、生薬成分は桂枝加芍薬湯に近く、より胃部の痛みを伴う場合や、神経症状がみられる場合の方が適しています。
     最後に柴苓湯ですが、この処方は小柴胡湯五苓散を合わせた物で、「暑気あたり」による胃腸障害と肝機能の低下を改善するのに適しています。今回の症例で考えた場合は、水瀉性の下痢など症状がより重い時、あるいは小柴胡湯と同じように風邪の回復期に下痢症状が残った場合に用いると良いかもしれません。
     他には、半夏厚朴湯半夏瀉心湯二陳湯などの解答がありました。
     確かに半夏厚朴湯は、上腹部の不快感や痞え感に効果があり、暑い日に上半身に溜まった熱気を降下させる作用が期待できます。しかし、処方の構成から考えると半夏厚朴湯は、直接胃腸に作用する働きは弱いので、イライラや不安感などの精神神経症状を伴う場合の方が適しています。
     名前の似ている半夏瀉心湯も神経的な胃腸障害に働くと共に、消炎作用が強く働く処方構成で、半夏厚朴湯よりは効果が期待できると思います。ただ、半夏瀉心湯はみぞおちの痞えや下痢の改善を使用目標とする漢方薬であり、その効き目の強さから考えると風邪の兆候がある場合に用いるのは体力の消耗を招く可能性があるため好ましくありません。
     二陳湯は、原因の特定できない場合の吐き気全般に効果があるので、リスクも少ないのですが、今回のように水分の取り過ぎが示唆されている場合には、より適応しそうな漢方薬を選んだ方が良いでしょう。
     今回は、最初に夏風邪と中(あた)りをつけてサイト内検索をするとかっ香正気散が一番に出てきて、『漢方薬のお勉強会』『症状別編』の中にある『胃腸(慢性)を調べると水分のとりすぎによる食欲不振に」という事でかっ香正気散を見つけられるはずでした(苦笑)。
     今回の結果が示すように、胃腸に関係した症例は漢方薬の選択が難しい部類に入ります。「いつもコレを飲んでるから」とか「このあいだと同じのを」と思っていると、適応しないという事もありえますので、実際に選ぶ際にはくれぐれもご注意下さい。

    解説:北村俊純

    参加者コメントより
     鈴木陽子:ヤクウサギちゃんの漫画と定期的に配信されるメルマガが何時も楽しみです。他のメルマガとは違い言葉を選んで書いて無い所が正直そうで好きです。これからも楽しみです。
     本業とは違うコンテンツも楽しんでいただけているようで、嬉しいです。本文が長いと呆れられているメルマガですが、今後ともよろしくお願いいたします。
     keikoko:症例クイズでいつも勉強しますが、難しいです。
     理論編の掲載も始めましたので、これからは情報がより充実していく予定です。頑張って下さいませ(^-^)d

     

  • ≪通巻38号≫
    漢方薬の講習会『理気剤(りきざい)』/ニキビの相談/“怒り”の醜さ/政府の初動、現場の初動

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
      ★彡☆-=★彡  それさえもおそらくは平凡な薬局  ★彡☆-=★彡
                      ≪通巻38号≫
      提供 : まぐまぐ http://www.mag2.com/
      発行 : 北園薬局 http://www111.sakura.ne.jp/~kitazono/
      編集 : 北村俊純
      窓口 : kitazono@a1.mbn.or.jp
      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ~~~~~~~~~~~~~ 今回の日記の主な話題 ~~~~~~~~~~~
    ※11月18日(火)……漢方薬の講習会『理気剤(りきざい)』
        
    ※11月19日(水)……ニキビの相談
    ※11月20日(木)……“怒り”の醜さ
    ※11月21日(金)……政府の初動、現場の初動
    ************************* 先週の平凡な日記 ***************************
    ◆11月18日(火)/2003年◆
     今日は、月に一度の漢方薬の講習会。
     テーマは、『理気剤(りきざい)』である。
     『理気剤』とは、“気滞”を治療する薬の事で、“気滞”とは「気の停滞」、すなわち“気”が阻滞された状態に相当する。
     この“気”というのは、西洋医学には無い概念で、漢方薬を胡散臭いものにしている。なにしろ、血液などのように実体の無いモノだからだ。
     しかし例えば、目には見えなくとも“ストレス”というものは存在する。そして、ストレスが原因の病気があるのも事実である。
     気滞が発生する原因は非常に多いが、気滞だけが独立して現れる事は無い。
     最も気滞に関連が深いのは、やはり精神的ストレスで、漢方では“内傷七情(ないしょうしちじょう)”と言う。“内傷七情”とは、怒・喜・憂・驚・恐・悲・思の七つの心の動きが体をも痛めるという意味だ。
     情緒系・自律神経系に影響して肝気鬱結(かんきうっけつ)と呼ばれる抑うつ・緊張の状態を生じ、これにともなって全身の各部位の気滞を容易に引き起こす。
     気滞は発生する部位によって、1)胸部気滞、2)胃気滞、3)腸気滞、4)肝気滞などに分類される。
     気滞が関連する症状としては、以下のようなものがある。
    1.膨満感=胸・脇・腹などの張り・苦しい・痞(つか)える感じがするなど。
    2.遊走性の疼痛=異所性で時間的に増減する疼痛。
    3.渋滞性の症状=排尿や排便がスムーズではない・呼吸が苦しい・嚥下困難。
    4.気逆の症状=咳・胸が苦しい・悪心・嘔吐・吃逆(しゃっくり)・曖気(げっぷ)。
     理気剤の分類は、気滞の影響を受ける部位と、その症状で整理すると分かりやすい。
    ※『肝気鬱結(かんきうっけつ)』
     別名『肝気滞(かんきたい)』とも呼ばれ、肝臓がストレスを受けた場合を指す。
     症状としては、憂鬱感・怒りやすい・胸脇部の張った痛み・月経痛・月経周期が安定しないなどである。良く耳にする自律神経失調症も、ここに当てはまる。
     治法としては、“疏肝理気解鬱(そかんりきげうつ)”と言われる方法を用いる。
     代表的な漢方薬には、『小柴胡湯(しょうさいことう)』『柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)』『加味逍遥散(かみしょうようさん)』『柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)』がある。
     小柴胡湯は肝機能障害に用いられ、B型肝炎やC型肝炎などの治療薬として医療現場では重宝されている。また、応用範囲が広く、神経性の胃炎や過敏性腸症候群にも使われる。特に腹痛によって登校拒否を訴える子供や、出社の途中で下痢をしてしまうサラリーマンなどには良いだろう。
     余談だが、神経性胃炎が進んだ場合には、もちろん胃炎により特化した漢方薬を用いる。その時には、胃が熱を持っているか、胃が冷えているかの見極めが大事である。胃炎だからといって、胃が熱を持っているとは限らないのだ。
     胃が熱を持っている時には『黄連解毒湯(おうれんげどくとう)』を用いる。
     冷たい水を飲むと症状が軽くなり、温かいお茶を飲むと気分が悪くなるというのが見分け方になる。
     逆に胃が冷えている時には『安中散(あんちゅうさん)』を用いる。冷たい水を飲むと胃が重くなり、温かいお茶を飲むと落ち着く時が適応する。
     一般的に漢方胃腸薬といった場合には、この安中散である事が多いのだが、パッケージで内容を確認して服用しないと、症状に合わないというケースもあるので気をつけてもらいたい。
     柴胡桂枝湯小柴胡湯『桂枝湯(けいしとう)』を合わせた物で、胸脇部の張った痛みが強い場合に対応する。メールマガジンでは風邪の後期に用いる漢方薬として紹介しているが、より実際的には風邪の進行具合が不明な場合など、いつでも用いる事ができるので、覚えておくと便利だろう。
     加味逍遥散は特に女性に用いられるのだが、これは血を補う作用があるからで、生理になるとイライラする場合に特に効果がある。
     柴胡加竜骨牡蠣湯は、高血圧の症状があって不眠などを伴う場合に用いる事が多い。
    ※『胸部気滞(きょうぶきたい)』
     症状としては、胸が苦しい・胸が痞える・呼吸が早く荒い・胸痛・咳などがある。
     この場合の治法では、“理気散寒(りきさんかん)”・“理気活血(りきかっけつ)”・“理気化痰(りきけたん)”という方法を用いる。漢字を見れば、この治法の考え方は分かると思う。
     代表的な漢方薬としては『柴朴湯(さいぼくとう)』なのだが、ウチには置いていない。小柴胡湯『半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)』を合わせた物で、胸部気滞は次の“胃気滞(いきたい)”と一緒に扱えるからだ。
    ※『胃気滞(いきたい)』
     この症状には、上腹部の膨満感や痛み・食欲不振・曖気・吃逆・悪心・嘔吐などの強いものなどが該当する。
     治法は“理気化湿”・“理気化痰”を用いる。
     代表的な漢方薬としては、胸部気滞の方が強い場合には半夏厚朴湯を、胃気滞が強い場合には『かっ香正気散(かっこうしょうきさん)』を用いる事になる。
     胃気滞の場合には、時として気が滞るだけではなくて、気が上部に逆流してくる“胃気上逆(いきじょうぎゃく)”という事が起こる場合がある。これが曖気・吃逆・嘔吐などで、半夏厚朴湯を用いると良い。妊婦の場合には妊娠嘔吐(つわり)に使うことが多い。
     また、胃気上逆までいかなくても咽喉に異物感がある人や、緊張すると胸が苦しくなる場合、例えば大事な試験が控えているとか人前に立たなければならない時に症状を緩和する事ができる。ドラマなどで人前で挨拶するシーンに「ん、んん」とか咳払いするシーンがあるが、あの状態の事である。
     精神的な咳にも使え、特にストレスを感じると症状が出る喘息の場合に重宝する。と言うか、自分が重宝しています(^_^;
     そうそう、緊張を軽減するという事で、ウチのお店では受験期に良く売れる。受験生はお試しあれ。また、講師のお話によれば、子供の緊張感が親にも伝播して、親もイライラ感が高まり、それがまた子供に跳ね返って親子間のコミュニケーションがギクシャクしてしまうという場合には、親子で服用するのも良いとの事。
     『かっ香正気散(かっこうしょうきさん)』は、主に胃腸方の風邪(夏風邪)に用いる事が多いので、胃気滞として使うケースは少ない。ただ、胃腸を助ける生薬が入っているので胃腸虚弱だという自覚がある場合は、使ってみると良いだろう。
     この『かっ香正気散(かっこうしょうきさん)』は純粋に日本で近年になって開発された物で、中医学(中国漢方)至上主義の流派からは忌み嫌われている。近年と言ったって千年以上前の事だし、日本の気候風土に合ってるんだから、いいと思うのだけれど、
    ※『腸気滞(ちょうきたい)』
     症状には、腹部膨満感・腹痛・腹鳴・排ガス・排便困難・裏急後重(りきゅうごじゅう)などが強いなどがある。裏急後重というのは聞きなれない言葉だが、下痢の場合はトイレに行って戻ってきてもまだお腹がしぶったり、便秘の場合には便意はあるのに出ない場合の事をいう。つまり、何度もトイレに行きたくなる状態だと思ってもらって良いだろう。
     実は、この腸気滞には「コレだ!」という漢方薬は無い。あえて挙げるとすれば、便秘薬という事になる。
     漢方薬では、『半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)』が最初の選択といったところか。
     講師も、便秘の状態に合わせて臨機応変にと言っていた。まぁ、便秘になると気滞になるから、イライラしやすくなるのは当然と言えば当然。
     講習会の帰りに秋葉原の『LaOX』に立ち寄った。
     http://www.laox.co.jp/laox/index_tone.jsp
     日記には特に面白い事もないので書いていないのだが、今のところ毎日奥さんのお見舞いには行っている。
     ミカン持ってきて、チョコレート持ってきて、漫画を持ってきてと、まぁ贅沢な暮らしをしている(笑)のだが、ビデオを観たいとまで言い出したのだ。贅沢に磨きがかかって困る(・_・)ノ
     で、病室にはビデオデッキを持ち込んだりする訳にもいかないので、何か代わりの物を捜しにきたのだ。
     ポケットPCにビデオを取り込んでとも思ったが、画面が小さいわりに3万円以上もして、目的からするとコストパフォーマンスが悪い。手帳代わりに使えばいいのだろうが、奥さんの事だから絶対にそんな風には使わない。
     持っているノートパソコンにビデオを取り込んでダウンスキャンコンバーターでテレビに出力する方法もあるが、電源コードが必要で、これまた病室には持ち込めない。
     しかし、捜してはみるものでカノープス社から出ている『SSC120EX』という製品を発見した。
     http://www.laox.co.jp/laox/index_tone.jsp
     USBケーブルを用いて、パソコンから電源を得るというダウンスキャンコンバーターだ。
     ノートパソコンだと電力消費が激しそうだが、それでも映画の一本くらいは観られるだろう。
     新製品なのか値引率は低かったが、1万3千円ならば悪くない。速攻で購入を決めた。
     また、レジの店員がものすごく丁寧で人当たりが良く、ごく自然に気配りの行き届いた人で、たった1つの商品を買うだけなのに心地良くなってしまった。
     帰りに夕飯代わりにマクドナルドに入ったのだけれど、良く考えたら昼食はロッテリアであった。
     1日に2度もファーストフードで食事を済ますというのは、かなり体に悪いのではないかと思うものの、奥さんの料理もほとんど冷凍食品だから変わらんなと酷いことを思う(笑)
     明日は、もう少しまともな食事をしよう。
    //////////////////////////////////////////////////////////////////////

    //////////////////////////////////////////////////////////////////////
     
    ◆11月19日(水)/2003年◆
     商店街の同じ並びにあった『ニシワキ薬局』が閉店してからというもの、製薬メーカーや健康食品メーカーの営業マンが入れ替わり立ち代わりやって来る。
     『ニシワキ薬局』に置いていた商品を取り扱ってくれという訳である。
     まぁ、それは当たり前だし、商品を勧める資料に「いい事ばかり」が書いてあるのも当然ではあるけれど、リスクも分からないとなんとも扱いにくい。
     とりあえず資料は預かったが、ウチは漢方薬が主力だから、あまり他の商品を扱う予定は無い。お店も小さくて置き場所が無いし(苦笑)。
     病院からの処方箋を持ってくる患者さんで、毎回次の診察日を教えてくれる人がいて助かる。
     必ずしも同じ薬が出るとは限らないが、事前に薬の注文をしておいて備えておく事ができるので。
     これから風邪が流行るという事で、あらかじめ常備しておくためにと柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)桔梗湯(ききょうとう)をお買い上げいただいたお客さん、お話をしてみたら旦那さんは今咳が出ているとの事。
     熱や鼻などの症状は出ていないようなので、麦門冬湯(ばくもんどうとう)で様子をみてもらう事にした。
     ニキビの相談に患者さんが来店。
     ニキビと言って真っ先に思いつく漢方薬は清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)ではあるが、適応するのは赤ら顔の、いわゆる熱証タイプの人。
     しかし、今回の患者さんは痩せていて、冷え症もあるという。
     また、ニキビだけではなく、たまに首の後ろなどにオデキができるとの事。
     だとすると、血液の循環が悪くて、ところどころで血が滞っているのかもしれない。
     力の弱いニキビには当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を用いる場合もあるものの、そこまでは虚弱な体質でもない様子。
     そこで、普通は湿疹や蕁麻疹に用いる事が多い十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)を試してもらう事にした。名前の通り、十種類の生薬で体内の毒素を敗(やぶ)るための漢方薬である。
     また、もしニキビが化膿した場合には、排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)を使うように勧めた。これもまた名前が効能を示していて、膿を排出する事のできる漢方薬である。虫歯などの歯茎の化膿にも使えるので常備しておくと役に立つだろう。
     前回のメールマガジンで書いた、未承認抗がん剤での治療に保険を適用することについて、『中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)』の『基本問題小委員会』が年内にも正式決定する運びとなった模様。
     (11月17日の日記を参照)
     保険を適用することを正式決定しても、承認されるのはさらにその後なので、実際に使えるのはまだ先のこととなるが、保険適用の承認を迅速化するために、審査期間を4ケ月~半年程度に短縮するとの事なので、通常だと1~3年かかる事を考えれば期待してもよいかもしれない。
    //////////////////////////////////////////////////////////////////////

    //////////////////////////////////////////////////////////////////////
    ◆11月20日(木)/2003年◆
     今日は朝から雨。
     気温はそれほど低くはないが、やはり雨が冷たくて寒く感じる。
     ホカロンを欲しいというお客さん、少しお話をしたら旦那さんが寒気がするというのでホカロンを買いに来たとか。
     風邪薬は飲んでいるのかも尋ねたところ、眠くなると仕事に差し支えるので飲んでいないとの事。
     それならば、漢方薬で眠くならない風邪薬がありますよと麻黄湯(まおうとう)を勧めた。
     それと、すでに寒気がしているという事は熱が出てくる可能性がある。仕事を休めそうもないのであれば、地竜(ぢりゅう)を合わせて飲むように勧めた。
     病院からの患者さんに出す薬で500錠仕入れてしまった物があり、その患者さんが1回限りで来なかったためどうしようかと思っていたところ、同じ薬を処方された患者さんが来た。
     なにしろ1錠で200円くらいする薬なので、在庫を抱えると痛い。それが今回は360錠が一気に掃ける。ヤレ助かった。
     風邪をひいたという患者さんが来店。
    「パブロンを下さい」と言われて、つい「効きますか?」と訊いてしまった。
     売る方が「効きますか?」って尋ねてどーする(笑)
     ウチでは、余り効かない事になっているので(・_・)ノ
     そこへ、いつも漢方薬を使っていただいている患者さんが来店。大きな声で「柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)麦門冬湯(ばくもんどうとう)をくれ!」と注文された。
     そして、「あれだよな。風邪が進んじゃったら、柴胡桂枝湯でいいんだったよな? 麦門冬湯は痰のからむ咳でいいんだっけ?」と確認された。
     はい、間違いございませんm(_ _)m
     それを聞いた最初の患者さん、「俺もそうするかなぁ」と乗ってきた。説明の手間が省けちゃった(⌒▽⌒)←省くな。
     買う物が決まっている後からの患者さんのお会計を先にさせてもらい、改めて最初の患者さんの症状を詳しく尋ねた。
     風邪の症状はすでに進んでいるようなので、葛根湯(かっこんとう)では間に合わない。まずは、先ほどの患者さんと同じ柴胡桂枝湯を勧めた。
     その上で、咳は酷くなくて疲れの方が溜まっているようなので、地竜(ぢりゅう)を合わせて服用するように伝えた。
     ハンセン病を理由に『アイレディース宮殿黒川温泉ホテル』が国立ハンセン病療養所『菊池恵楓園』(同県合志町)の入所者らの宿泊を拒否した問題で、同ホテルの前田篤子総支配人らが謝罪のため同園を訪れたとのニュース。
     しかし、入所者自治会は「ホテル経営や自分の地位を守るための謝罪で誠意が感じられない」と謝罪文の受け取りを拒否したとの事。
     また、法務省人権擁護局は、旅館業法(宿泊をさせる義務)違反での捜査当局への刑事告発も検討しているとか。
     私も怒りやすい性格だが、それだけに怒っている人々というのはテレビで見るとその“醜さ”にゾッとさせられる。
     なにより、人には“受け入れられないモノ”があるという事が、差別を解消しようという意識の高まりに反比例するように忘れられているのが私には気になる。
     以前に差別について書いたように、現在の日本の環境であれば差別しない相手を探す事もできるはずで、差別したい人にはさせておけばいいではないかと私などは思ってしまう。
     (10月12日の日記参照)
     人が理性のみで物事を割り切り、論理的に判断するだけであったなら、それは血の通わない機械と同じである。(科学が進歩したら、いずれこの言葉も機械に対する“差別的発言”となるかもしれない。)
     人間には心がある。心があるから、根拠が曖昧でも人を信じ愛す事ができる。それは、正しい知識も無しに差別する心と表裏一体であろう。
     入所者らが不当に扱われ人権侵害をされてきた事には同情するが、まさに、その“心の狭さ”によって誤解され、迫害されてきたはずではなかったのか。
     許す心を持てない人は、受け入れる心を持たない人と同じに私には思える。
     熊本県の方も問題で、ホテル側が宿泊を断った時、社会的に不利になるというような話で再考を促したという報道がある。ようは、脅迫だ。
     正しいデータを示すのでもなく、情に訴えるのでもなく、脅しにかかったのでは説得も何もあったもんじゃない。
     それで、「人権侵害にあたり、旅館業法違反の疑いがある」として法務局に通報するというのは、“正しい知識の普及”に務めていないのではないか?
     ホテル側は当初、宿泊拒否の理由について「ハンセン病をすべての宿泊客が理解しているわけではない。他の客に迷惑が掛かる」と説明していたそうで、残念ながらこれは“正しい”認識なのではないだろうか。
     他の宿泊客から苦情が出た場合、あるいはキャンセルされた場合の事を考慮すれば、宿泊を断るというのは経営判断として間違っているとは思えない。何故なら、まさかハンセン病患者が宿泊する事を理由に他の客がキャンセルをした場合、その損失をハンセン病患者に請求する訳にはいかないではないか。
     『全国ハンセン病療養所入所者協議会』の中央執行委員である平野昭氏は「理解が進んでいると思っていただけに残念。県が事前にホテル側を説得しておくべきだったとも思う」と話している。
     もし県が本当に、ホテルを始めとする事業主にハンセン病患者への差別を無くすための働きかけを積極的に進める気があるのなら、まずは受け入れる事が商売として“美味しい”と認識させるべきだと私は思う。
     先の県がホテルを説得する時にも、損失が出ない事を保証して、受け入れた場合のイメージのアップなどを提示するべきだったのではないか。
     こう言うと、営利優先でケシカランと思うむきもあるかもしれないが、企業の利益によって多くの国民が生活できている事実も忘れてはいけない。
     むしろ、営利を優先しなければならないという資本主義に基づく営利活動の原則を利用して、弱者をいたわる社会作りに活用した方が良いだろう。
     差別する心には根拠は無い。根拠が無いのに、論理的に説得したってすれ違うだけで相互理解はとてつもなく難しい。
     それならば、互いに理解し合う事は難しい事こそを認識し、“折り合える”点を接点として互いに“利益”を得る方が、平和的だと思う。
     繰り返すが、怒っている人々というのは醜いものだ。(自戒を込めて)
    //////////////////////////////////////////////////////////////////////

    //////////////////////////////////////////////////////////////////////
    ◆11月21日(金)/2003年◆
     今日は大快晴。
     日中の気温は25度にまで上がるらしい。
     それでいて、明日は12月の気温になるという予報。まったく、ふざけた気候である。
     サトウ製薬の営業マンが来店。
     風邪をひいて、しばらくお休みしていたらしい。風邪の猛威が始まっているようである。
     何かサトちゃんグッズなどを貰おうと、しばし仕入れの交渉。
     1万円分仕入れると○○が付くなどの条件を提示されたので、○○よりも△△が欲しいというような次第。
     ウチに来るお客さんや患者さんは、時として「あっ、お財布忘れちゃった」とか、「後でまとめて払うから」という事がある。と言うか、多い(^_^;)
     まぁ、それで渡しちゃう方もなんなのだが、特に風邪薬とかを買いに来た人に、またお金を取りに戻って出てきてもらうのでは本末転倒なので。
     かと思うと中には、たまたまお金を多く持っているからという事で、「後で貰いに来るから」とお金だけ先に払っていく人もいる。
     そうすると、ツケだの先払いだの、だんだん分からなくなってくるため、レジにはそのメモがどんどん増えて少々汚らしい(苦笑)。
     政府が21日の閣議で、大災害や大事故が発生した場合の基本的な初動体制を定めた危機管理マニュアル“緊急事態に対する政府の初動対処体制について”を決定したとのニュース。
     地震や噴火などの自然災害や大量殺傷事件が発生した場合を想定しているそうで、基本的な初動体制を統一して、徹底した方が臨機応変に対応できると判断し、従来のマニュアルは廃止したとの事。
     それにしては、「<1>危機管理監が事態に応じて緊急参集チームを集める<2>官邸対策室、関係閣僚協議、安全保障会議、対策本部を設置する<3>官房副長官は官房長官を補佐し、事態に応じて政府の対応に関して総合調整を行う。」というのは、“初動対処体制”と“臨機応変に対応”というのに反しているように思えるのだが。
     アメリカの場合、その現場に公務員がいれば役職上の上司が現場指揮を執る権限を持つように定められている。また、国の軍隊が動けない場合には、自治能力のある集団が武器を持って行動する事を認めている。(州によって違うかもしれないが)
     緊急事態の時に、チームを集めるとか対策室を設置するという発想が悠長だという事になぜ気がつかないんだ(^_^;)
     確かに今回の危機管理マニュアルは、“政府の”対応策として作成したものだろうが、1~3のいずれも当たり前すぎてわざわざ決める必要があったのかという気がしてならない。
     むしろ阪神淡路大震災を教訓にするのであれば、知事に近隣の自衛隊基地に出動を要請ではなく命令できる権限を与えるとか、負傷者の手当てで医療過誤があったとしても罪を問わないとか、本当の初期の初期、政府が本格的な介入を始めるまでの対策を決めてもらいたい。
     森元総理は、えひめ丸が米原潜と衝突して沈没した時、自分が官邸に駆けつけても仕方がないとしてゴルフを続けていために非難されたけれど、現場からすれば政府の初動体制なんて確かに「どーでもいい」事なのだ。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    今回の日記の内容は、いかがでしたか?
    【感想アンケートのURLはコチラです】
    http://www111.sakura.ne.jp/~kitazono/votecom_kitazono.htm
    ☆締切:2003年12月1日から3日間
    ~~~~~~~~~~~~~~ ≪読者より一言≫ ~~~~~~~~~~~~
    (通巻37号はコチラ)
    ☆共感する事もあった
     抗がん剤の保険適応について。全く、何とかして負担を減らして欲しいものです。モルモットにされた挙句、毎月何万円も負担なんて、踏んだり蹴ったりですからね。
     あと<X’mas>の話、確かに間違いが横行してますねー(笑)。(MIKA)
    ★抗がん剤の保険適応については、ちゃんと動き始めたようです。患者さんの期待を裏切らない運用をしてもらいたいですね。
     クリスマスの表記に関しては、グーグルで検索してみたところ、『X’mas』が約1,540,000件、『Xmas』が約2,890,000件ヒットしました。一瞬、ずいぶんと間違いがあるんだなーと思ったのですが、『X-mas』という表記もあって、それが『X’mas』の類似としてヒットしたようです。でもって、『X’mas』の表記をしているのはほとんど日本語ページばかりでした。ちょっと恥ずかしいかも(^_^;)
    ■■■■■■■■■■■■■■■□免責事項□■■■■■■■■■■■■■■
     記載内容を利用して生じた結果について、当方では責任がとれませんのでご了承ください。
     また、筆者が思った事や感じた事を率直に書いている事柄に関しましては、反証可能な事実誤認以外の訂正には応じられません。
     URLで紹介した先のページの著作権は、そのページを作成した人にあります。
     URLを紹介する事に違法性はありませんが、文章等を転載する場合は、作者の許諾が必要となります。
    &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&& 趣味の活動 &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&
    ◆TRPGのサークルに所属しています。
     卓上ゲームが好きな人や、興味のある方は覗いてみて下さい。
     また、『コミュニケーション』のコーナーでWEBラジオ番組『幻想時間』を公開しています。
     私は主に、映画についてトークをしています(・v<)
     http://www.snake-eyes.gr.jp/
    ------------------------------------------------------------------------
     このメールマガジンは、『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/を利用して発行しています。
     解除はこちら http://www.mag2.com/m/0000109927.htm から。
    ------------------------------------------------------------------------

     

  • ≪通巻29号≫
    演劇評『ファイブ』/ビデオ評『ラーゼフォン ~多元変奏曲~』/漢方薬の講習会『利水』

      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
      ★彡☆-=★彡  それさえもおそらくは平凡な薬局  ★彡☆-=★彡
                      ≪通巻29号≫
      提供 : まぐまぐ http://www.mag2.com/
      発行 : 北園薬局 http://plaza2.mbn.or.jp/~kitazono/
      編集 : 北村俊純
      窓口 : kitazono@a1.mbn.or.jp
      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    ~~~~~~~~~~~~~ 今回の日記の主な話題 ~~~~~~~~~~~
    ※10月18日(土)……演劇評『ファイブ』
    ※10月19日(日)……ビデオ評『ラーゼフォン ~多元変奏曲~』
    ※10月20日(月)……漢方薬の講習会『利水』
    ************************* 先週の平凡な日記 ***************************
    ◆10月18日(土)/2003年◆
     肝臓に良い薬か健康食品はないかとお客さんが訪ねてみえた。
     お店に入ってすぐの所に置いてある『ネオレバルミン』に興味を持ったようで、色々と質問を受ける。
     質問の中で「ガンマGTPの数値は下がる?」と訊かれたのだが、これには答えに窮してしまう。
     他のGOTやGPTなどは検査で異常な数値が出れば肝臓疾患が疑われるが、ガンマGTPというものはお酒を飲んでいれば高い数値が出て“当たり前”なのだ。
     逆に尋ねてみると、GOTとGPTは正常値だったそうだから、ガンマGTPの数値が高くても、特別に心配する検査項目ではない。
     つまり、お酒を飲んでいる限りは高い数値が出て当然なので、『ネオレバルミン』を服用したからといって数値が低くなるかはちょっと分からない。なにしろ、今回のお客さん充分に酒臭いので(苦笑)
     試しに血流計での測定を勧めたころ、肝臓は問題ナシ。むしろ、肺や心臓の方が疲れ気味という結果が出た。
     そこで、四川富貴廣(しせんふうきこう)の方を案内した。
     あくまで健康食品ではあるが、鬱金(ウコン)だの霊芝(レイシ)だのを単体で摂取するよりは、安心して服用できる。
     気に入ってもらえたようでお買い上げ。
     ちなみに、『ネオレバルミン』の方は“肝臓は心配だけどお酒をやめられない”という人にお勧めである。
    「薬を飲み飲み、酒を飲み」のようではあるが(笑)
     夕方から川口市民会館で演劇企画オフィス・アートプランによる『ファイブ』の公演があるので、お店を早上がり。
     珍しく時間に余裕を持って到着。……って、ようは早退なワケだが(苦笑) 
     http://www.terra.dti.ne.jp/~artplan/5.html
     こういう機会でしか会えない友人知人に挨拶。劇を観に行く目的の半分くらいはコレである。
     なので、実は公演の内容は良く知らなかった(笑)
     しかし、脚本・演出が劇団鳥獣戯画の知念正文氏なので、安心して観劇。ラストの予定調和は知念氏の毒が好きな私としては少し物足りなかったが。
     http://www.linkclub.or.jp/~giga/
     物語は、天国から始まる。
     交通事故で死んだ少年や、過労死で死んだ中年、墜落死した大工の棟梁、将来に悩んで自殺した青年の4人が天使と共に地上に降りてきて、交通事故で瀕死の重症を負った5人のコーラスグループに転生して生き直す。
     ただし、前世の記憶があるのは1週間だけ。1週間経つと前世の事も、転生してからの1週間の記憶も無くなってしまうという。
     そして、その1週間の間に自分の娘をコンサート会場で見つけたり、生前好きだった女の子に会いに行ったりとしながら、自分の人生を見つめ直したりするという、設定自体はありふれた物語である。
     当然の事ながら、転生した事は誰にも話してはいけない。もし、バレたら天国に全員引き戻されて、次に転生する機会は無くなってしまう。
     作品のテーマは、“カッコイイ”生き方という事で、歌もセリフも確かにカッコイイ。欲を言えば、もっと小っ恥ずかしくても良かったんじゃないかと思う。
     私は役者よりも物語を追う方なので、観劇としてはいささか邪道かもしれないが、こまごまとした点が気になって仕方がなかった。
     他の知念氏の脚本では、あれやこれやと説明せずにガーッと物語を展開させる印象があったので、今回はやけに説明セリフが多く、それが返って次々と疑問を連鎖させている感じがした。
     例えば、体を乗っ取られる(?)側のコーラスグールプの連中の魂はどうなっちゃったのか。彼らの魂は天国に行ってしまったのか、それとも転生した主人公たちの魂と同化したのか。
     本当は天国から5人連れてくるはずだったのに、手違いで4人しか連れてきてなくて天使が代わりに5人目になったけど、ラストで天使は天国に帰ったのか、それともやはり同化してしまったのか。帰ってしまったら、コーラスグループの5人目はどうなっちゃうの。
     冒頭での説明がもっと曖昧なら勝手に想像するんだけど、中途半端に説明されたもんだから気になって気になって、ちょっと集中できなかった。
     また、キャラの立て方がアンバランスなのにも戸惑った。
     どうやったってキャラが立ってしまう大工の棟梁を最初に目立たせたもんだから、転生した後の少年や青年が途中で区別がつかなくなって「誰だっけ?」となってしまった。もう少し最初の方で見せ方があったんじゃなかろうか。
     そして、天使の配置がやはり謎。妙に人間っぽくて天使の必要があったのか。
     あれならば同じく死んだ人間の1人という事にして良かったのでは。自殺した青年の過去を語る時にも同情的な口調で、そんな感情移入しやすい性格で天使なんかやってられるの? と感じた。もしかして、実は死んだ人間が天使に転生したのではないかとも思ったのだけど、そうじゃないみたいだし。5人の中で、唯一カッコイイ生き方をしていなかったのが残念。(それとも、皆を温かい目で見守って少年が好きな女の子に転生した事をバラしても、相手の子が信じなかったから良しとしましょうというところがそうだったのか?)
     一方で、メインテーマの歌の歌詞「カッコ良く生きて カッコ良く死ぬ」というのが曲と共に頭の中をリフレインして、嫌な感じはしない。少年が好きだった女の子に託したという黄色いバラの使い方も良かった。
    「カッコイイとはこういう事さ」という強引さが欲しかったというのは単なる私の好みなので、作品としては上出来だったろう。
     もう1回くらい観ても良いと思える作品ではあった。
    //////////////////////////////////////////////////////////////////////
     感想や健康相談はコチラ(・v<)
     http://www111.sakura.ne.jp/~kitazono/bbs_kitazono.htm
    //////////////////////////////////////////////////////////////////////
     
    ◆10月19日(日)/2003年◆
     昨日、腰痛という事で相談されて痛み止めを渡した患者さんが来店。
     昨日の薬が効かなかったから、もっと強い薬をくれという。
     薬局で売ることが出来る痛み止めには限界がある。本当にそんなに酷い痛みがするのであれば、病院に行ってもらうしかない。ところが、昨日の薬を服用した後の様子を尋ねてみて、ギャッ!!Σ( ̄□ ̄;)
     痛み止めの効果を確かめようと思ってジョギングしたんだとか。
     ………走らないで下さい(^-^;
    「年のせいかねぇ」と言われたけれど、違います、絶対……。
     なんだか、体を動かしたがりの人のようなので、単なる痛み止めだけでは心配。『アンマッサージ』を勧めてみた。
     ビデオで劇場版『ラーゼフォン ~多元変奏曲~』を観賞。
     http://www.rahxephon.com/

     テレビシリーズはまったくの未見だったためストーリーや設定を理解できるか心配だったが、特に予備知識は必要なかった。
     素直な感想としては、「ええ話や(p_;)」とホロリとさせられた。
     以下はネタバレになるので、読み進めていくうちにレンタルビデオなどで観てみようと思った人は途中で読むのをやめて翌日まで飛ばしていただきたい。
     ネタバレ警報発令! ネタバレ警報発令! ネタバレ警報発令!
     時は西暦2012年、夕日の中学校の校舎の中で、主人公の神名綾人と美島遙の2人は、ただ手を取り合うだけで互いの恋愛感情を確かめ合っていた。そこへ、おそらくは綾人に渡そうとしていたであろうラブレターを持った朝比奈浩子が現れ、踵(きびす)を返して立ち去る浩子を綾人が追おうとすると、遙は無言で綾人の手をギュッと握って止めた。
     ……もう、これだけで気恥ずかしさ一直線の少女漫画的な始まり方である。
     ロボット物の作品だと思っていた私は、この導入部で引き込まれてしまった。
     しかし、そんな2人の関係は突然終わる。
     謎のMU(ムー)という別な次元の人類が侵略を開始して、首都東京を絶対障壁と呼ばれる特殊な空間に閉じ込めてしまうのだ。
     たまたま家族と帰省していた遙は難を逃れ、綾人は東京の絶対障壁=通称、東京ジュピターの中での生活を余儀なくされる。
     東京に住む人々は、自分たちが閉じ込められたという事を知らず、逆に世界が東京を残して滅んでしまったのだという偽の記憶を植えつけられて生活を続けていた。
     それから3年後、綾人が遙の事を忘れられずに夢に見ていると、目の前に謎の女性が現れた。彼女は綾人に「真実を見せてあげる」と言って誘拐同然に連れ出す。
     途中で物語のキーとなるラーゼフォンと接触した綾人は、東京の外に出るとそこには滅んだと教えられていた世界があり、さらに時間の流れが15年も違う事を知らされて愕然とする。
     この、綾人を東京の外に連れ出した女性こそ、大人になった遙だったのだ。
     遙は、東京に閉じ込められた綾人と会いたい一心で、対MUの組織に入り、ひたむきに生きてきたという事で、綾人に真実を見せると語りながら、大人になってしまった自分を拒絶される事を恐れて正体を明かせない苦悩が描かれており、それがなんとも切ない。
     一方、綾人の方はというと、人類に対して侵略を始めたMUの最高指導者が自分の母親だという事を知って愕然とする。
     別な次元に存在するMUは、人間の体に憑依して、憑依された人間の血は青く変化してムーリアン(MU人)になってしまうのだが、同時にそれまでの記憶を失ってしまうという。
     つまり、綾人の母親もMUに憑依されたという事なのだが、それがどうやら綾人を妊娠した頃だったようで、自分の子供もムーリアンになってしまう事は分かっていたものの、旦那さんを愛した記憶を無くしてしまうのならば、せめて愛した証として子供を生みたいと願って綾人を生んだとか。
     物語の序盤では謎めいていて、MUの冷徹な指導者に見えながら、実はムーリアンとして生きなければならない息子のためというのが、ワザとらしい設定だとは思っても、そこにもひたむきな思いが感じられて切なくなってしまった。
     そして物語の佳境では、綾人に思いを寄せていた浩子もMUに憑依されてしまい、綾人を好きだという記憶を蝕まれる恐怖と戦いながら、死んでしまう。その演出が、もう“卑怯”と言っていいほど哀しかった。停電になったビル群の窓明かりや、電光掲示板に「タスケテ」とか「ホントウノコトガイイタイ」とメッセージが現れて、最後には街を上空から鳥瞰(ちょうかん)した構図で街一面に「サヨナラ」と明かりがついて消える。
     ううむ、私ってこうゆうのに弱いのかと、自分を再発見してしまった。
     ラストは、ちょっとココでは書きにくい。どう解釈をしていいものやら分からないからだ。
     ただ、難解なラストではあるけれど、嫌悪感の残るラストではなかった。少なくとも、遙は幸せを“感じた”のだろうと思える。
     それに、どの程度製作者が意図したのかは分からないが、愛する人の記憶を失い唯一残った綾人を溺愛する母親、愛する人の記憶を失うという恐怖と戦いながら死んでしまった浩子、血の色が青く変わり愛する人の記憶を持っているうちに遙の幸せを願って“人ならぬモノ”に変わる事を選択した綾人、という3人の構図が実に良かった。
     最後に何を望むのか、と神にも等しい存在になった綾人に尋ねられた遙の「一緒に大人になりたかった!」という叫びには、観ているこっちが胸を締めつけられる思いがした。
     ものすごく感動したという訳ではないけれど、なんだか切なくて、でも幸せな気持ちになれた気がする。
     なんでこんな良い作品をテレビで放映している時に観なかったんだろうと後悔して、さっそくテレビ版をインターネットのブロードバンド放送で視聴。
     http://bb.excite.co.jp/bbg/special/bandaichannel/rahxe.dcg
     しかし、テレビ版を観た事を激しく後悔してしまった。
     なんじゃコリャーーーーーーーーーー!!Σ( ̄□ ̄|||
     思わせぶりなセリフ回し、積み残したまま解明されない謎、深く掘り下げられる事のない綾人と遙の関係。
     普通、テレビでの評判が良かったから劇場版が作られるのだと思うのだけど、これではテレビ版で大ゴケしてしまったので、制作費の回収のために劇場版では真面目に作り直しましたといった感じである。
     実際、他のサイトで劇場版の感想を読んでみると「なんでこの面白さをTV版のときに出せなかったのだとスタッフに正座させて問い詰めたいくらいに面白い」と評されていた。
     激しく同意(゚゚)(。。)(゚゚)(。。)
    //////////////////////////////////////////////////////////////////////
     感想や健康相談はコチラ(・v<)
     http://www111.sakura.ne.jp/~kitazono/bbs_kitazono.htm
    //////////////////////////////////////////////////////////////////////
    ◆10月20日(月)/2003年◆
     今日は漢方薬の講習会である。テーマは『利水』。
     人間の体の約60%は“水”によって構成されている。
     細胞内液・組織液・その他の液体成分の運行が障害を受けて、水分の吸収や循環、排泄が滞った異常な状態、水液停溜を“湿滞”と言う。そして、それを治す治法を『利水法』と言う。
     漢方薬の流派の1つである中医学(中国漢方)では、体内の水分の事を『津液(しんえき)』と呼び、臓器の働きとして、津液は脾(ひ)が生成・運輸し、肺が全身へ散布し、腎が全体を推進し、肺を心(心臓)の拍動が助け、肝が全体を調整するとされている。
     つまり、五臓すべてが水液代謝に関与しているわけで、水分の停滞はあらゆる病気の原因になるわけだ。それは裏返せば、水分の停滞を解消する事により、関連した症状を改善していく事が可能という事でもある。
     参考までに、湿滞が関係する代表的な状態を書き出しておく。
    1.発病が急激ではなく緩慢で経過が長く、治療しにくい。(花粉症などのアレルギー症状)
    2.停滞性の症状。(手足や身体が重だるく、動かしにくい、こわばる、頭重など)
    3.むくみ・浮腫。
    4.水様便、下痢。
    5.鼻水、喀痰、耳漏、水疱など。
    6.口が粘る。
    7.湿度が高くなると悪化する。
     今回のテーマである利水は、先にも書いたとおり様々な病気の原因となるものなので、講義の内容もアッチへコッチへと話が飛び、次々と漢方薬の名前が列挙され、メモが追いつかない。
     後で、わかりやすくまとめられるか不安(^-^;
     さて、湿滞であるが、大きく分けると“湿(水湿)”と“水(水腫)”と“痰(痰飲)”の三つに分類できる。
     “湿”とは、つまりは湿り気で、水分が多い訳ではないが、吐き気や水様便など軽度の症状を引き起こす。
     “水”とは、湿よりも水分が体内の一部に過剰に溜まったりした状態で、例えば腹に溜まれば腹水となり、関節に溜まれば関節水腫となって、より重い症状として現れる。
     “痰”とは、体から不要な物を排出しようとする働きであり、風邪などで痰がからむというのは、体の不要物を痰に変化させても排出が上手くいかない状態である。
     それぞれの湿滞に対する利水法は、当然それらに対応したものとなる。
    ●湿vs化湿(けしつ)
     主として消化管内・三焦(さんしょう)に停滞した水分を軽度ながら血中に吸収する。同時に消化管の蠕動調節・悪心や嘔吐の抑制・気道分泌の抑制に働く。
     『かっ香正気散(かっこうしょうきさん)』や『胃苓湯(いれいとう)』などが代表的な漢方薬となる。
     『かっ香正気散』は、主に夏風邪や暑気あたりによる食欲不振や下痢に用いる。
     胃苓湯は、風邪などが関係しない食あたりや冷え腹などによる下痢や嘔吐の症状に用いる。
     ウチでは、『胃苓湯』そのものは置いていない。『平胃散(へいいさん)』『五苓散(ごれいさん)』を一緒に飲めば同じ物になるので。
     今年は冷夏だったためか、かっ香正気散がずいぶんと売れ残ってしまったため、ちょっと胃が痛い(苦笑)
    ●水vs利水
     主として消化管内や組織中の余分な水分を血中に引き込むものである。血中の水分量が増加した結果として利尿効果が現れる。腎臓での濾過や再吸収には強い影響を持たない。
     『五苓散(ごれいさん)』『防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)』『猪苓湯(ちょれいとう)』が体表的な漢方薬であるが、中でも五苓散は急性の下痢や胃腸炎のさいに最初に選ぶ事が多い。
     ……とか書いていたら、なんだか下腹がゴロゴロと(^_^;)
     うひーっ、夕べ布団をはいで寝てたみたいだからお腹を冷やしたか?
     ちなみに、五苓散は下痢の一歩手前のような“しぶり腹”には向かないので、その点だけ注意。
     防已黄耆湯は、利水法の中では応用範囲の広い漢方薬で、水ぶとりによる肥満や、冷えた時に痛む関節痛などにも用いる。また、利水作用の他に、胃腸を丈夫にする働きがあるので、先にも書いたように湿滞の原因が胃腸障害である場合の治療に効果がある。
     猪苓湯は、止血作用があり主に膀胱炎に用いる。抗菌作用がある事でも有名で、軽度の石であれば取り除く事ができるという報告もある。また、効能書きには無いが、利水作用にも優れていて、むくみに用いる事も多い。
     なお、血尿がある場合は熱症状が強いという事なので、『竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)』を使うと良い。もっとも、血尿が出て痛みが激しい場合は病院に行った方が最善であるから、膀胱炎になりやすい人が常備薬として置いておいて、病院に行くまでの急場しのぎに服用するという使い方が現実的だろう。
    ●痰vs化痰(けたん)
     津液の流通が停滞し粘稠(ねんちゅう)となって流動性を失った痰に対して排出を促進するか生成の抑制に働く。
     『半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)』『小青龍湯(しょうせいりゅうとう)』『苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)』が代表的な漢方薬である。
     半夏厚朴湯を使う症状としては、よく例えられるのは「焼肉が咽喉に引っかかったような」あるいは、「梅が咽喉につかえたような」という異物感がある場合である。
     そのうえで、動悸や眩暈(めまい)、不安神経症、神経性胃炎、つわり、気管支喘息に用いると効果的だ。
     私などは、ストレスによる気管支喘息の時や、劇団をやっていた頃に緊張をほぐす為に良く飲んでいた。
     小青龍湯は、主に肺に水分が溜まった場合に起こる症状に用いる。鼻水の出る風邪や、アレルギー性鼻炎、体が冷えて咳が出る気管支喘息に効果があり、これも私はよくお世話になる。
     ちなみに、肺に熱が溜まって起こる激しい咳には『五虎湯(ごことう)』を用いるので、同じ咳でも「冷えると咳が出る」のか「温まると咳が出る」のかの見極めが大事である。
     苓桂朮甘湯は、主に頭の水滞を改善する。具体的には、眩暈(めまい)や頭痛などである。耳の奥に水が溜まると、三半規管が悪影響を受けて眩暈を起したりするからだ。
     
     そして、一通り講習会の内容を追ったところで症例問題。
     38歳・女性、主な訴えの症状が“眩暈・ふらつき・肩こり”だとして、他に頭が重くて一日中眠気があり、胃が弱く吐き気やムカツキがあり、大便がやや軟らかい患者さんには何を用いるのが適当か。
     
     私は回答として、防已黄耆湯をチョイスした。水滞による胃腸の治療を優先しようと考えたからである。
     講習会での模範回答は、苓桂朮甘湯であった。主訴である、眩暈の症状を改善するという考え方による。
     これは、症状を先に抑えると考えるか、根治治療をしようと考えるかの違いであろう。
     講師の方も、防已黄耆湯の他には加味逍遙散を選択に加えて良いと話していた。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    今回の日記の内容は、いかがでしたか?
    【感想アンケートのURLはコチラです】
    http://magical-shop.web.infoseek.co.jp/votecom_kitazono.htm
    ☆締切:2003年10月23日から4日間
    ■■■■■■■■■■■■■■■□免責事項□■■■■■■■■■■■■■■■
     記載内容を利用して生じた結果につい
    て、当方では責任がとれませんのでご了承ください。
     また、筆者が思った事や感じた事を率直に書いている事柄に関しましては、反証可能な事実誤認以外の訂正には応じられません。
     URLで紹介した先のページの著作権は、そのページを作成した人にあります。
     URLを紹介する事に違法性はありませんが、文章等を転載する場合は、作者の許諾が必要となります。
    &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&& 趣味の活動 &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&
    ◆TRPGのサークルに所属しています。
     卓上ゲームが好きな人や、興味のある方は覗いてみて下さい。
     また、『コミュニケーション』のコーナーでWEBラジオ番組『幻想時間』を公開しています。
     私は主に、映画についてトークをしています(・v<)
     http://www.snake-eyes.gr.jp/
    ------------------------------------------------------------------------
     このメールマガジンは、『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/を利用して発行しています。
     解除はこちら http://www.mag2.com/m/0000109927.htm から。
    ------------------------------------------------------------------------