どうして自分が病院に行ったのか思い出しましょう。医者の判断を勝手に変えてはいけません

 お客様が『パブロンメディカルC』をレジに持ってきたけれど、主訴は咳と痰で、病院から処方された薬があるというためスマホに撮ってある画像を見せてもらうと去痰剤だった。
 つまり医師は、咳止めまでは必要無いと判断したのだろう。
 なのに自己判断で、風邪薬を飲もうというのだから困ってしまう。
 咳止め成分は大きく分けると、覚醒剤系と麻薬系とがあり、覚醒剤系で気管支を拡張し呼吸をしやすく、麻薬系では神経を抑制して咳を止める。
 しかし薬に副作用があるのは常で、覚醒剤系は興奮作用によって身体は治っていなくても元気になったと錯覚し、麻薬系の神経抑制作用は胃腸などの内臓の働きまで抑制するので消化が悪くなったり、便秘を起こしたりするうえ、保水機能も狂うため体内が乾燥して咳の原因ともなる。
 だから近年では、病院でも咳止めは出さずに去痰剤で喉を潤すとともに、原因となっているウイルスなどを排出させる方法にシフトしていると、当の総合風邪薬を出している製薬会社の中の人から聞いた。
 お客様は、『パブロンメディカルC』が家にあって、使ったら「効いた」とのことだが、そりゃ覚醒剤が入ってるんだから効いた気がするのは当然だし、また麻薬によって咳が止まっているのは事実だろうが、その負担もまた確実に身体にかかってるんである。
 本当は、処方されている去痰剤だけで充分なのだけれど、お客様はどうしても何か薬を買いたい様子だったため、少なくとも解熱剤は不要なので咳止めの『ブロン錠エース』を紹介し変更となった。
 同じ『ブロン』の名前が付いている『ブロン錠』と違い、『ブロン錠エース』の方には去痰剤が入っており、少しでも医師の判断に寄せるようにした。
 あとお客様には、処方された薬をスマホで撮っておくのはアイデアではあるけれど、おくすり手帳を持ち歩くよう勧めた。
 例えば交通事故などで意識を失ってる場合にも使ってる薬を確認したり、持病の有無を確認できるし、大きい地震や水害等で避難した場合には特例として医師の診察を受けずに薬を受け取ることが可能となるので。

「風邪薬の選び方と風邪に似た症状」

 お客様からニキビの薬を求められて、炎症タイプの赤ニキビに適した『クレアラシル』を案内したうえでヒアリングすると、13歳の子供に病院で『』と抗生剤の塗り薬が処方されており効かなかったとのお話。
 んん?
 それはただのニキビではなく、化膿性の皮膚炎と診断されているのでは?
 本人を連れてきていないから患部を見ない事にはなんとも言えないけれど、皮膚疾患の治療というのは長くかかるものだし、医師が治療中に他の選択をするのであれば、まずその医師と相談したほうが良い。
 人間の体は機械ではないから、薬が万人に同じように効くというのはありえず、私たち登録販売者、あるいは薬剤師がそうであるように、医師も薬を処方する段階で頭の中には復数の薬の候補を思い浮かべているもの。
 その候補を教えてもらわないで、他の薬を求めるというのは悪手でしかない。
 そうオブラートに包みながら説明し、処方されている薬を引き継ぐ形になるよう『十味敗毒湯』と現代薬をミックスした『タウロミン錠』と、2種類の抗生物質を合わせた『テラマイシン軟膏』を紹介したところ、抗生物質のみお買い上げいただいた。
 余計なお世話ながら、お客様には本人を連れて薬を買う練習をさせてみるよう勧めた。
 私の息子もニキビの薬を買いにドラッグストアーに行かせたら、店員に相談せずに大人用ニキビの『ペアアクネクリームW』を買ってきてしまった事がある。
 薬を買うさいには、相談することが大事と教えていたのに、店員に声をかけるのを臆して自分で選んだという。
 薬に限った話ではないだろうが、人に相談するというのは練習が必要なんである。
 今回は、病院から処方されている薬の方針から外れてしまうため紹介できなかったけれど、成長期のニキビには『清上防風湯』も候補になる。

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