お客様が『バファリンプレミアム』を購入されるさいに、『バファリンA』とは縁もゆかりもない別物と伝えたところ、「同じ痛み止めですよね?」と尋ねられた。
『バファリンA』は末梢神経に効果のあるアスピリン製剤で、末梢神経というのは神経の先っちょのことだから、虫歯とか肩こりとか「痛い場所で効く」のが特徴。
ただし、その働きゆえに胃を傷めやすいので胃を保護する成分が一緒に入っている。
一方『バファリンプレミアム』はイブプロフェン製剤とアセトアミノフェン製剤を重ねて、さらに鎮静剤を足した物であるから効果は抜群と言えるかもしれないが、その反面、眠くなる可能性がある。
イブプロフェン製剤の化学構造式はロキソニンに似ていて、痛みの信号の伝達を阻害するとともに、その信号を受信するのも抑制するから、良く効くといえば効くが、痛みを伝達するホルモンは胃を保護する命令も兼ねているため、それを止めるということは胃を保護する機能も止まってしまい、それはそのまま副作用となる。
アセトアミノフェンは痛みを抑えるという効果は遜色ないものの、炎症を抑えるのは弱いとされている。
そのことからも分かるように、「痛み」と「炎症」は別な現象なのだ。
そして『バファリンルナi』はイブプロフェンとアセトアミノフェンを合わせているのが同じだが、鎮静剤は入っておらず、効果を高めるのに興奮作用のあるカフェインが加えられている。
生理痛の薬と思っている人が多くて、男性に勧めると不思議に思われることもあるけれど、鎮痛剤に男女の区別は無い。
むしろ気をつけるべきは、カフェインが入っているから、ゆっくり休みたい場合には向かないと考えられる点で、睡眠のことを考えると『バファリンプレミアム』の方を選ぶ場面もあるだろう。
お客様には痛み止めにも得手不得手の症状があり、例えば頭痛に使うとしても頭痛自体に種類と異なる対処法があることを説明した。
先にも書いたように痛みを止めると胃の保護機能も止まってしまい、ズキズキする偏頭痛は胃の不具合と関係するから、胃を悪くして起きた偏頭痛に鎮痛薬を使って一時的に治まっても、それで普通に食事をして胃に負担をかけてしまうと、また偏頭痛が起きて鎮痛剤を使うという無限ループに陥ってしまうこともある。
このタイプの頭痛には、漢方薬の『呉茱萸湯』や『五苓散』など水分代謝を改善する物が向いている。
また、頭を締め付けられる肩こりと連動した頭痛の場合は、末梢神経に働きかけた方が良いのでアスピリン製剤が向いているといえるし、血流を良くすることが養生法でもあるから上半身を温める『葛根湯』を使うという方法も考えられる。
目の奥が重くなったり、午前中は頭痛がして午後に楽になったりするタイプは血圧と関係する頭痛なので、鎮静剤が入っている鎮痛剤のほうが効果的で、漢方薬なら『釣藤散』や『七物降下湯』が適応する。
鎮痛剤だけでも、症状によりいろんな選択肢があるのだ。
お客様は鎮痛剤として常備薬にしたいというので、症状と適応を外した時のために、小容量の物を揃えておく方法を伝えた。
夫婦のお客様が来店し、『ルルアタックNX』を購入され症状を確認したところ、患者は奥さんで、主訴は鼻水と咳だというので適応することを伝えた。
ただ、熱が無いのであれば解熱鎮痛薬は要らないから総合風邪薬ではなく、鼻炎薬か咳止めの薬を選べば、鼻炎薬にも咳止めの成分が入っているし咳止めの薬にも鼻炎に効果のある成分が入っている物があるので、その方が適切とも言える。
お客様には風邪で体を休めるのは内臓も含めてとお話しして、食事は消化に良いものをと勧めたところドリンク剤も希望されたので、『ヒストミンゴールド液プラス』を案内して、一緒にお買い上げいただいた。