効能に書いていない症状に「効きますよ」とは言えないけれど

 お客様から、『銀翹散』が喉の痛みの他に歯痛にも使えるか尋ねられ、炎症を抑えるという点では共通しているとも考えられるけれど、お客様の意図をはかりかねていると「風邪の菌が歯に入ったから」というので、風邪の原因の9割以上はウイルスで、虫歯はミュータンス菌(ストレプトコッカス・ミュータンス)が原因となるのが多いことを説明した。
 ただ人間の痛覚神経というのは案外と馬鹿(敏感ともいう)で、風邪などの上気道周辺の炎症による痛みを歯痛と感じることはある。
 お客様は『バイエルアスピリン』(非ピリン系)を使ってみて、イマイチだったという。
 それで『銀翹散』を選ぶというのは、なかなかに通というか、 私が言うのもなんだけど変わっている。
 しかし、蓄膿症にも効果が期待できるから悪い選択ではない。
 ただ問題は、効能に書いていないから「効きますよ」とは言えないことだ。
 市販されていないけど、『立効散』なら適応するだろうか。
 それよりも『排膿散及湯』を勧めたかったが、あいにくとうちの店では取り扱っていない。
 鼻水や咳は無くて、明後日には病院に行くというため、今回はそのまま『銀翹散』をお買い上げ頂いた。
 あくまで主訴は「喉の痛み」と解釈すれば、それに付随して歯痛も軽減できる可能性がある、というのがギリギリのラインだろう。
 こういうケースは他にもあって、例えば鎮痛剤のイブプロフェン製剤は鼻づまりに効果があるというデータは存在する。
 鼻づまりは鼻の奥の血管が炎症して膨らむのが原因だから、炎症を抑える薬剤が効くのは当然ともいえる。
 しかし、『イブ』などの効能に「鼻づまり」とは書いていないから、鼻づまりが主訴の場合には勧められない。
 でも、主訴が発熱や喉の痛みなどで、鼻づまりが付随した症状程度なら、主訴を目的に使って、「ついでに治る」のを期待する、という使い方はあり得る。
 なので、発熱・喉の痛み・・咳などの症状が併発している場合には、一番ツライ症状からランク付けをすることで、使用する薬剤の種類を減らし体への負担を軽減する選択もできる。
 できるだけ薬を使いたくないと思って、薬そのものを使わずに我慢してしまうようならば、そういう方法もあるから相談してもらいたい。
 反対に、症状が一つや二つしか現れていないのに、全部入りの総合風邪薬を安易に使ってしまうのは避けてもらいたいとも思う。

 お客様が『新コンタック600プラス』を購入されるさいに花粉症か尋ねると、患者は成人の息子さんで分からない模様。
 花粉症の場合には、花粉が敵か単なる異物かの識別をしている腸の状態を良好に保つと、花粉を敵とは認識しなくなって症状が軽減できる可能性があることを説明したところ、本人は大食のようなので、それでは腸が忙しくなって外から来る異物を無差別に攻撃して症状を悪化させてしまう。
 そしてクシャミをすると、なおさら体はエネルギーを欲しくなって食欲が増すため、せめて食事のメニューは消化に良い物にして腸に負担をかけないようにとお話しした。

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