市販薬のお試し版で「試す」のは「効果」よりも「相性」

 お客様から「新陳代謝を上げるサプリメントか薬を」と相談され、まず『防風通聖散』を案内した。
 ダイエット目的に使われることも多いこの漢方薬は、体を温める生薬に冷やす生薬、血流を良くする生薬に水分代謝を改善する生薬などが複雑に組み合わされており、いわば「内臓に運動させる」ようなもの。
 お客様に詳しくお話を訊くと、友人が病院から何か薬を処方されて1年ほどで体重が14kg減ったと聞き、自分もと思ったそうな。
 しかし、薬の名前は覚えておらず、その友人とは体格なども違うらしい。
 人が使っていた薬を自分も試すとなれば、年齢や体格はもちろん、生活環境や食事の内容など、共通点は多いほうが良い。
 ところが、お客様からは寝つきが悪いというお話があったため『大柴胡湯』を紹介したところ、マイスリーなどの眠剤が病院から処方されていると分かり、お薬手帳は持っていなかった。
 便秘はあるとのことで『防風通聖散』を求められ、まずは担当医か調剤してもらってる薬剤師に相談するよう繰り返し繰り返し繰り返し勧めたのだけれど、5日分のお試し版を購入された。
 実際に効果を感じられるためには3ヶ月は連用してみないと駄目だろうけど、まずはお腹を下したりしないかといった相性を知るのに、お試し版を使うのは有効ではある。
 そう、この「お試し版」で試すのは「効果」ではなく「相性」なのだ。
 ただ、今回のお客様のように他の薬を処方されているのであれば、担当医に相談してからでないといけないのだけれど。
 お客様には、成分表示をお薬手帳に貼って、処方されている薬と購入した市販薬を一冊で管理して持ち歩くようお願いした。
 特に震災などで家に帰れずに避難した場合、避難先で必要な薬を救援物資に含むよう要請することもできるから。

 やや高齢のお客様から鎮痛剤を求められて売り場を案内したところ、酒臭く、お客様自身が二日酔いかもというので『アルピタン』(五苓散)を案内して、お買い上げいただいた。
 他に、グルコサミンのサプリメントのことも訊かれ、膝痛があるというので『コンドロイザー』を紹介すると、糖尿病の治療中だと分かり、担当医に相談するを伝えたところ、サプリメントを処方してくれないと怒っていた。
 そりゃ、サプリメントは処方なんてしてもらえません。
 サプリメントを独自に使ったら担当医に報告はするよう勧めたけれど、止められるから嫌だと言われた。
 そりゃあ、止めるだろうなぁ(^_^;)
 もちろん悪影響も怖いけど、何が怖いって、各種の検査の数値を「見かけ上」良くしてしまう場合があり、そうなると病気の経過観察において判断を誤ってしまう可能性がある。
 だから、治療中の病気があるのであれば、サプリメントの使用も医師には相談したほうが良いし、使ったのなら報告は必要。
 うう、それ以前に最初に鎮痛剤を依頼した段階で、通院中で処方されている薬があることを教えてもらいたかった(;´Д`)=3

以下の記事も読まれています。


 
登録販売者から一言 壱の巻 登録販売者から一言 肆の巻「おくすり手帳と個人情報の使い方」 市販薬購入前チェックシート