ニキビの治療は焦らずに

 常連の夫婦のお客様が来店し、ご主人が歯槽膿漏の検査を受けたところ唇の内側が腫れて痛み、『生葉』の歯磨き粉を購入されるというので、より消炎効果のある『サトウ口内炎軟膏』と『デントヘルスR』を案内して後者をお買い上げいただいた。

 お客様から、病院で処方された抗生剤の塗り薬に似た物をと求められ、成分を比較したうえで『テラ・コートリル軟膏』を案内すると購入された。
 ところが用途はニキビで、病院に行っていたのは1年以上前とのことだったため『テラ・コートリル軟膏』は菌を倒すだけなことを説明して『ペアアクネクリームW』を紹介すると、以前に使っていて効かなかったという。
 3ヶ月以上のスパンでの治療が必要なことを説明すると、他の店では半年くらいと言われたそうで長期的になることは理解されているようだった。
 抗生剤は短期決戦が目的で、連用すると肌を守る常在菌をも倒してしまうことを説明して、内服薬として熱感のあるニキビに用いる『清上防風湯』と、皮膚の新陳代謝を補助する『桂枝茯苓丸加よく苡仁』を紹介し、どちらも保険の適応薬であるため病院で処方してもらえないか医師に相談してみるよう勧めた。
 洗いすぎがニキビに良くないことは知ってるようだったが、石鹸や洗顔フォームの泡を肌に乗せて、こすらずにそのまま洗い流してしまって良いことを教えると驚かれた。
 あと、ニキビを悪化させないためには患部を手で触れないよう、手が肩から上に上がったら意識的に下ろすようにと伝えた。

 常連のお客様が来店し、ガン終末期だった奥様が亡くなられたと知らされた。
 お悔やみ申し上げます。
 こうしてご家族が亡くなられたことを、お客様が報告に見えたり挨拶にいらしたりしたのは何回目だろうか。

 やや高齢のお客様が、首の後ろのかぶれに『フルコートf』を使い、少し良くなったとのことで追加を買いにいらした。
 しかし痒みが強く、つい掻いてしまうというので局所麻酔のリドカインの入った『コートfATクリーム』と、痒み止めの入ったステロイド剤の『ムヒアルファEX』を案内し、前者をお買い上げいただいた。
 よく勘違いされるが、ステロイド剤の効能はあくまで抗炎症作用で、痒みを抑えるのはまた別なのである。
 お客様からは「治す薬を」と言われたけれど、皮膚が自分で再生するのを待つしかないことを説明し、それを邪魔しないためには患部を触らないのが大事ですと伝えた。
 ニキビの対処と同じように、手を肩より上にあげそうになったら手を下すよう意識して下さいとお話した。

以下の記事も読まれています。


 
登録販売者から一言 壱の巻 登録販売者から一言 肆の巻「おくすり手帳と個人情報の使い方」 市販薬購入前チェックシート