自己判断での市販薬の併用は事故のもと

 『駆風解毒湯』を見ていたお客様に声を掛けてみたところ、喉がイガイガして咳に もなるとのお話だった。
 喉が痛むわけではないそうなので、胃を悪くして体内が乾燥してる可能性をお話しし、『麦門冬湯』をお買い上げいただいた。
 喉のイガイガ感は、炎症よりも乾燥の影響が考えられ、胃薬を兼ねている『麦門冬湯』は上半身を潤してくれる。

 お客様が、『ルルアタックEX』などの喉の痛みを主訴とする風邪薬を見ていたので声をかけたところ、咳と頭痛が3日ほど前から続いているとのこと。
 てっきりご本人かと思ったら患者はご主人で、発熱や鼻の症状は無く喉に引っかかるような咳き込み方のうえ、頭痛はズキズキするようだ。
 話から風邪ではなく、胃を悪くしてるように思える。
 そこで、風邪薬よりも頭痛薬と咳止めの組み合わせを提案すると、頭痛には『イブ』を使ったというので銘柄を確認してみたら、『イブクイック頭痛薬』だった。
 『イブ』シリーズは、さすがに主成分のイブプロフェンを名前にしているだけあって、基本の処方は変わらないけど、市販薬の中には同じ名前を冠していても、成分が縁もゆかりもないという事があるから、必ず特定が必要。
 無印の『イブ』には胃の保護成分が入っていないのに対して、『イブクイック頭痛薬』には入っているから良かったと思ったら、他に風邪薬も一緒に使ったと分かった。
 しかし 、その銘柄を覚えていなかったため本人に電話をしてもらうと、『新コンタックかぜEX』だった。
 ギャフンΣ(゚∀゚ノ)ノ
 同シリーズの『新コンタックかぜ総合』なら大丈夫だけど、『新コンタックかぜEX』だとイブプロフェンが重なってるじゃないですか。
 直ちに問題があるわけではないが、成分が重なる時には総量に気をつけないといけない。
 どうも、成分表示は見ていなかったらしい。
 そして服用直後は症状が軽減するものの、またぶり返してしまうそう。
 改めて胃を悪くしている可能性を話しし『麦門冬湯』を案内して、咳き込みがひどい場合にと『ブロン錠エース』を紹介すると両方お買い上げいただいた。
 『イブクイック頭痛薬』はまだ残っているそうなので、頭痛には併用して構わないことを伝えたうえで、補足として『呉茱萸湯』を例にズキズキする頭痛と胃の関係を説明した。
 ズキズキする頭痛は、一般的に何らかの原因で血管が縮こまり血流が少なくなった後に、急に血管が拡張して勢いのついた血流が血管内を刺激することで起きる炎症である。
 その原因の一つが胃に関係し、胃の働きが悪くなることで水分代謝も滞り、当然のことながら血液の大部分は水分であるため、水分不足の血液が流れにくくなった後に、また回復すると急激な血流によって血管の炎症を招く。
 つまり、血流を安定化させることがズキズキする頭痛の回避策となる。
 その回避策は、物理的に物は熱を加えなければ自然に熱が発散していくから、温める方に力を入れるという事になる。
 つまり、ぬるめのお湯で入浴時間を長くしたり、温かい物を飲んで体を中から温め、夏野菜は避けるということ。

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