痛み止めを飲んだら食事は消化の良い物に

 風邪薬を比較していたお客様が胃腸薬の棚も見ていたので気にかけていたところ、イヅミ製の『正露丸』をレジに持ってきたので、大幸薬品の『正露丸』とは処方内容が異なることを伝えた。
 海外旅行に持っていくというので、下痢止めの入ったイヅミ製の『正露丸』を使う場合の注意点として、食中りのような場合は悪い物を出し切った方が良いケースもあることを説明してお買い上げいただいた。
 また、風邪にも胃腸炎にも使える『柴胡桂枝湯』を、海外に持っていく薬として用意しておくと安心ですと紹介したら、いったんお帰りになられたのだが、しばらくすると戻ってきて購入された。

 『ロキソニン』を求めてお客様が来店したが、置いていないため他のお店を紹介しましょうかと訊くと、それは遠慮された。
 なので、『ロキソニン』でなければならない理由が無ければ、構造式の似たイブプロフェンの『イブ』でも効くかもしれないと話したところ、理由は無いということから、『イブA』をお勧めしてお買い上げいただいた。
 ちなみに、無印の『イブ』と『イブA』の違いは、『イブA』の方には胃粘膜の保護成分が入っていること。
「痛み止めは胃に悪い」という程度のイメージを持っている人は多いと思うが、同時に胃に直接負担を掛けると考えているとしたら、それは勘違いである。
 人間が痛みを感じる仕組みの一つに、プロスタグランジンというホルモンが生成され、これを脳が感知することで痛みを知覚するのだが、そのプロスタグランジンの生成を抑え脳の方にも完治させないようにブロックするのがロキソニンでありイブプロフェン。
 痛みを感じさせるホルモンの生成を抑えて、それを感知するのを止めるだけなら一時的には万々歳といきたいところなれど、人間の体はそう都合良くできていない。
 いや、意外と効率的というべきか。
 実はプロスタグランジンには別な働きがあり、胃粘膜の保護も担っているのだ。
 つまりは、胃を守るバリヤーである。
 そして、プロスタグランジンの生成を抑えるということは、胃を守るバリヤーも無くなるということだ。
 ロボットアニメで言えば(何故その例え?)、敵を攻撃するためにはバリヤーを解かないとならない、けれどバリヤーを解けば敵から攻撃されるリスクが高まるのと同じ。
 だから、痛み止めの薬が直接的に胃に悪さをするわけではなく、痛みを止める代わりに胃の守りを弱くするということ。
 これが何を意味するかというと、痛み止めを飲むのであれば、胃を保護する成分が一緒に含まれているとしても、食事を消化の良い物に切り替えた方が良いということである。
 痛み止めを飲んでおいて、普通に食べてしまってはいけないのだ。
 ところで、半分が優しさでできていると云われた『バファリンA』のアセチルサリチル酸(アスピリン)は、頭痛などの痛みを抑えるさいに、血管を収縮させ筋肉を硬くする作用がある。
 そして、頭痛の原因一つは血管が収縮した後に拡張されて一気に血液が流れることによる炎症(主に偏頭痛)であり、もう一つの原因は筋肉の凝固による緊張性(いわゆる肩こりと連動)なので、常用していると両方の頭痛の原因を抱えることになるため注意が必要。
 痛み止めは、あくまで一時的に使う物だということをお忘れなく。

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