その薬、心配です

 ご夫婦で来店したお客様から『正露丸』の場所を訊かれて案内したところ、大幸薬品とイヅミ薬品の違いを質問されたので、イヅミ薬品のにはロートエキスとケイヒ末が足されていることを説明した。
 旦那さんが、下痢しがちらしい。
 これ、私には不思議なんだよねぇ。
 『正露丸』の基本処方の目的は、汚染された飲食物による下痢において木クレオソートの働きにより「飲む消毒薬」として解毒しつつ、甘草や陳皮で腸の炎症を抑えることのはず。
 ケイヒ末は健胃剤だから分かるとして、ロートエキスは抗コリン作用によって胃腸の痙攣を抑えて下痢を止めるんだけど、汚染による下痢、すなわち食中りにおいては下痢を止めずに原因菌を排泄することが大事。
 下痢止めとして考えればアリなのかもしれないが、それじゃなんのための「飲む消毒薬」なのかと。
 以前に、イヅミ薬品の『正露丸』のパッケージデザインが大幸薬品の物に似ているということで裁判があったけど、大幸薬品としては「効き方が違うじゃねーか!!」という理由が訴訟の理由だったんじゃないかね。
 あくまで、処方から考えた想像ですが。
 あと、イヅミ薬品の『正露丸』は抗コリン作用があるので、緑内障の人はご注意を(・o・)
 
 
 ロートエキスについて、うっかり「腸の痙攣を止めます」と説明してしまったため、奥さんがイヅミ製薬の方が良いのではないかと旦那さんに言い、念の為に症状を尋ねたら、食べたものに関係無く下痢をしてしまうそう。
 ふむぅ、食中りじゃないと分かっていれば、イヅミ製薬の方という選択はアリか。
 でも、それなら『ストッパ下痢止め』でも構わないしなぁ。
 効くの早いし。
 ただ、詳しく訊くと腹痛も伴うというから、冷え腹になりやすくて水分代謝の異常を起こすのを改善する『胃苓湯』や、ストレスが関係する場合で痛み止めが入っている『桂枝加芍薬湯』も候補になる。
 とはいえ、下痢しがちというのは安倍首相がそうだったように、難病の可能性だってあるから、安易に店頭で薬を勧めるのも好ましくないと思い、受診勧奨した。
 酷くなったら病院へと考えるより、現状を知るためには、まず病院で検査をという方が良い。
 それで、なんでもないから市販薬をと云われれば、それに越したことは無いので。
 という訳で、本日のところは購入は取りやめ。

 親子が来店し、小学校高学年くらいの子供に外用消炎剤を選ばせていたため、心配して見守っていたところ、『サロンパス』を選んだんでホッとした。
 フェルビナク製剤やインドメタシン製剤は、年齢制限があるからねぇ。
 ホッとしたところで、お客様と目が合い、シミの相談を受けたので、皮膚の材料になる『ハイチオールホワイティア』と、材料を運ぶ血流改善を行なう『桂枝茯苓丸』を案内すると、前者の購入を決められた。
 それではお会計をと思ったら、どうやら『サロンパス』は自身が使うようだったため、痛み止めとしては弱い方であることを伝えると、今度は私の説明を聞かずにサッと外用消炎剤の棚に走り、フェルビナク製剤を持ってきた。
 成分を確かめずに、どういう根拠で『サロンパス』より強いと判断したのだろうか。
 と疑問に思ったら、今度は子供と一緒に使うと言われたので、15歳未満は使えない年齢制限があることを伝えると、驚かれた。
 こっちが、さっきから驚きっぱなしです(^_^;)
 インドメタシン製剤であれば、11歳から使える製品があることを説明したら、ローションタイプを購入された。
 家族で同じ薬を使おうとするのは、年令や性別や体質などの違いがあるので、分けた方が良いことをお話したけど、全身で「アーアー聞こえな~い(∩゚д゚)」というオーラを発して帰られた。
 ううん、あの子供が心配……。

以下の記事も読まれています。


 
登録販売者から一言 壱の巻 登録販売者から一言 肆の巻「おくすり手帳と個人情報の使い方」 市販薬購入前チェックシート