治りかけの風邪に使える風邪薬は無い!?

 ご主人が風邪とのことで、お客様が来店。
 『パブロンSゴールド』と『ルルアタックEX』を使ったが、改善しないという。
 しかし症状の経過を確認すると、そもそもの主訴は喉の痛みだけだと分かった。
 となれば、解熱だの鼻炎だのの成分は余計な物で、しかも神経を抑えてしまうから、患部の炎症を長引かせてしまう。
 風邪薬よりも、主訴にターゲットを絞ったほうが効果的なことを説明して、『駆風解毒湯』と『ペラックT』を紹介してみた。
 すると、以前に病院で処方されたトローチを今日になって使ってみたと言われた。
 なんで、後出し……。
 話してるうちに、思い出したのかもしれないけど。
 ただ、そのトローチの内容は不明で、効果があったのかは本人から聞いていないので分からないという。
 代理で薬を買いに来る時には、せめて使った薬を確認して、現在の症状を確認してきて下さいな(;´・ω・)
 いや、いつものお客様に比べたら、使った市販の薬銘柄を覚えていただけでも、「スゴ━━━(*゚∀゚*)━━━イ」と思っちゃうのは、毒されてきてるのか。
 でもそこまでで、病院で処方される薬と市販薬をリンクさせて考えてもらえるところまでの道のりの、なんと遠いことか………。
 今回のお客様は、『ペラックT』を選ばれてお買い上げ。
 本当は、喉の痛みが手前なのか、奥の方なのかも確認したかったんだけどね。
 奥の方なら、健康な人でも1日に50回くらいは胃液が逆流していて、いわゆる逆流性食道炎を「喉の痛み」と認識しているケースがあるから。
 そんな訳で、念のため食事は消化の良い物にして量を控えるようにとお話した。

 またご主人が風邪で治りが悪いと、別なお客様から相談された。
 こちらは、一時は38度まで発熱して汗をかき、3日ほど経過しているというから風邪だったのは間違い無さそう。
 そして今は、昼は平熱なものの夜に微熱になるというお話から、風邪は後期に差しかかっていると思われることを説明して、『柴胡桂枝湯』を勧めた。
 風邪の後期での市販薬選びの難しいところは、実質的に『柴胡桂枝湯』しか選択肢が無いこと。
 現代薬の風邪薬は、「症状の緩和」を目的とした処方で、いわば「熱が出るのを抑える」とか「咳が出るのを抑える」とか「鼻炎などの炎症を抑える」とか、とにかく「症状を抑える」のが主目的。
 ところが、風邪の治りかけとなれば、それらの症状はすでに弱まっている訳で、今さら抑えることに意味は無く、微熱を抑えるのなんか、這いつくばってヨロヨロと前進しようとしている背中を踏みつけるようなもんである。
 つまり、杖となり、土台となり、「体を起こす」働きが、現代薬の風邪薬には無い。
 あるとすれば、せいぜいが栄養ドリンクくらいか。
 そして、栄養ドリンクがガソリンだとすれば、風邪で弱ってるのはホディでありエンジンであり各部の部品だから、ガソリンを入れたところで車体のメンテナンスがされなければ、やっぱり車は正常に走れない。
 その点『柴胡桂枝湯』は、効果範囲が名前に現れており、柴胡は肝臓を助け、桂枝は胃腸を助ける。
 暑さ寒さの温度変化に弱い肝臓は、もちろん発熱によってもダメージを受け、風邪薬などを服用したとすれば、その代謝と解毒のために過労状態になっている。
 胃にしても、発熱で消化力は衰え、風邪のウイルスが内蔵に及んでいれば、胃腸炎を引き起こしているかもしれず、腸の機能の低下は栄養の吸収を悪くする。
 だから、風邪の後期には『柴胡桂枝湯』が適応するのだけれど、患者さんが「漢方薬は嫌い」という事になると、もう選択肢が無い。
 漢方薬が嫌で、どうしても薬をと言われたら、生薬配合の栄養ドリンクを候補に挙げて、「ゆっくり休んで下さい」としか……。
 でも今回は、そのまま『柴胡桂枝湯』で承知して頂けて、正直ホッ(*´∀`)=3

 やや高齢のお客様が、湿布を求めて来店。
 ご主人が手の神経痛に病院から湿布を処方されており、同じ物をと注文されたものの、お薬手帳や説明書のたぐいを持ってきていないため不明。
 しかも、今回買いに来た目的はその、手の神経痛のためではなく膝の痛みのためだという。
 どうやら、膝の痛みに同じ湿布を使っているもんだから、次の診察までに使い切ってしまったらしい。
 そして何故か、膝の痛みについては担当医に話していないそうな。
 整形外科に通ってる患者さんが、胃の不具合とかは科が違うからという理由で相談しないケースにはよく遭遇するけど、同じ科目と考えられるのに相談しない理由がよく分からない。
 次の通院までの期間に膝が急に痛くなったのではなく、前から痛がってたみたいなのに。
 とりあえず湿布をとの注文に、『フェルビナク』を案内してお買い上げいただくことになった。
 膝の方は、冷えると痛むようだというお話もあったため、『桂枝加苓朮附湯』を紹介してみたけど、興味は持ってもらえなかった。
 まぁ、それは仕方無いとして、通院先の病院の担当医には、今回購入した湿布を使ったことを報告して、膝についても相談するよう勧めた。

 
 

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治りかけの風邪に使える風邪薬は無い!?への4件のコメント

  1. アバター junko itoh
    junko itoh コメント投稿者

    免疫力を上げたいのですが?

     
  2. アバター はぐれ薬剤師
    はぐれ薬剤師 コメント投稿者

    免疫力を上げる。免疫力を下げる食べ物の方が沢山ありますから、それを除いたほうが合理的です。足すよりも除くです。お食事傾向、嗜好物の情報を頂いておりませんので回答は出来ませんがこの辺が鍵です。
    はぐれ薬剤師。

     
  3. アバター はぐれ薬剤師
    はぐれ薬剤師 コメント投稿者

    追 免疫を下げる食べ物、血流を悪くして、体を冷やす代表の甘いもの果物もそうですね。数ミリグラムのビタミン、ミネラルに目がいくと、グラムに換算してその何万倍の不要なものを食べている事に気が付く人はいません。

    はぐれ薬剤師

     
  4. アバター 北村俊純
    北村俊純 コメント投稿者

     確かに、免疫力を上げる物を選んで食べるより、下げてしまう物を避けるほうが実行しやすそうですね(゚д゚)(。_。)(゚д゚)(。_。)

     お酒を飲んでも肝臓を悪くしない物を探すより、お酒を飲むのをやめた方が早いのと一緒(笑)