≪通巻7号≫
自己診断はア・ブ・ナ・イ/アニメ評『最終兵器彼女』/蝶が来店/無水アルコールに注意/『第12回日本トンデモ本大賞』参加/映画評『ザ・コア』/映画評『宣戦布告』/病院に行って下さい

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★彡☆-=★彡  それさえもおそらくは平凡な薬局  ★彡☆-=★彡
               ≪通巻7号≫
提供 : まぐまぐ
発行 : 北園薬局 http://plaza2.mbn.or.jp/~kitazono/
編集 : 北村俊純
窓口 : kitazono@a1.mbn.or.jp
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~~~~~~~~~~ 今回の日記の主な話題 ~~~~~~~~
※6月3日(火)……自己診断はア・ブ・ナ・イ
※6月4日(水)……アニメ評『最終兵器彼女』
※6月5日(木)……蝶が来店
※6月6日(金)……無水アルコールに注意
※6月7日(土)……『第12回日本トンデモ本大賞』参加
           映画評『ザ・コア』
※6月8日(日)……映画評『宣戦布告』
※6月9日(月)……病院に行って下さい
******************* 先週の平凡な日記 *********************
                                   
◆6月3日(火)/2003年
 前々から、作らなきゃ作らなきゃと思っていた漢方薬の処方ごとの成分などを解説したページに手をつけ始めた。
 漢方薬の基礎概論についても解説しようか迷うところ。
 漢方薬は体質や症状に合わせて選択が変わるのだが、この基礎概論が分かっていないと、なかなか合う処方を見つけられない。
 しかし、一般的には症状から探す事が多いので、ホームページでの商品の選択も症状別の表にしている。
 分かれば簡単、分かるまでが難しい基礎概論の解説。果たして需要があるかどうか。
「風邪じゃないんですけど、熱があって……」という患者さんが来店。
 しかし、完全に風邪である。
 しかも、かなり進行してしまっている。
 自分で風邪だと自覚できないのは、疲れていて体が風邪に対抗できないため、熱が一気に上がる事が無く微熱のまま長引いてしまったのだろう。
 熱が出るのは、風邪に対抗するためのいわば防御機能が働くからで、そのためには基礎体力が必要なのだ。
 しかし、仕事などで疲れが溜まっていたりすると、熱を出して対抗する気力も無くなってしまい、微熱が続くという事がある。
 この場合は、「微熱だからたいした事は無い」のではなく、むしろ「高熱を出せないほど体が弱っている」と認識しなければならない。
 だから、薬局を訪れた時には自分で病気を特定しないで、あくまで症状について相談した方が良い。
 店員が、たまたま知識の少ないアルバイトの場合は合わない薬を勧められてしまう事もありえる。
 また、本来は良い事ではないのだが店員も人間である。せっかく症状に合った薬を勧めようと思っても、頑強に「××じゃないから」と自己診断して否定されると、しまいには合う薬を考える気力が萎えてしまう。
 今回の患者さんは、ちゃんとお話を聞いた上で、かつ自分で考えて治療しようという人で良かった。
 やはり、「なんとしても治してあげたくなる患者さん」と、「もう勝手にして」と投げやりな気持ちになってしまう患者さんがいる。
 そんな事ではイカンのだが……。
◆6月4日(水)/2003年
 風邪が治ったものの、咳が残っているという患者さんが来店。
 しかし、欲しいのは咳止めのノド飴との事。
 確かにノド飴で少しは楽になるだろうが治らないだろう。
 そう思って、漢方薬の麦門冬湯(ばくもんどうとう)も勧めてみたのだが、やはりノド飴が欲しいという。
 ウチのスタッフたちも、ノド飴では治らないと説明したのだが、聞く耳は持ってもらえない模様。
 どうして風邪が治ったのに咳が残ってしまっているのかも説明したのだが…。
 結局、ノド飴を買って帰っていった。
 パートのNさんが「私って押しが弱いのよねぇ」と漏らしていたが、納得してもらえなかったのだから仕方が無い。
 初めから欲しい物が決まっている患者さんに、より効果のありそうな薬を勧める事のなんと難しい事か。強要はできない。
 しかし、治せる可能性のある患者さんを治す事が出来ないというのは、なんとも歯がゆい。
 効かない物を買って無駄な出費をさせたくないのだが、逆に高い薬を勧めてるように思われたりしているのだろうか。
 ちょっと切ない。ハアッ=3
 切ない気分になってるというのに、切ないアニメを観てしまった。
 『最終兵器彼女』である。
 http://www.saikano.net/
 北海道に住んでいるごく普通の高校生カップルのごく普通の恋愛が、“地球最後のラブストーリー”として描かれているこの作品は、かつて草薙 剛主演でテレビドラマにもなった『いいひと』と同じ人が原作者である。
 http://www.threeweb.ad.jp/~maluko/magast/bs/iihito/

 全13話なので、毎日2~3話づつをビデオで観ていて、今日は最終回を観たのだ。
 ここから先はネタバレになるので、これから観ようという人は翌日の日記まで跳ばして読んでいただきたい。
 ネタバレ警報発令! ネタバレ警報発令! ネタバレ警報発令!
 国籍不明の軍隊によって日本が軍事的侵略を受け、彼女が最終兵器に改造されてしまうと言う荒唐無稽で無茶苦茶な設定から、雑誌での連載当初はてっきりギャグマンガだと思っていた。
 なので単行本の1巻しか読んでいなかったのだが、その後話題になり、アニメになったという事で今回見たのだが、そのシリアスな物語には驚かされて、グイグイと引き込まれた。
 引き込まれたが、恋愛モノとして観ると、ひさびさに“イタイ”作品だった。
『彼氏彼女の事情』のように、綿密な取材をしたのではないかと思えるくらい、リアルな恋愛事情が描かれているのだ。
 http://www.gainax.co.jp/anime/karekano/
 セリフの一つ一つが、「ああ、そんなこと言った事ある」とか、「そうそう、そんな事を彼女に言われたよ」と、青春時代の極めて嫌な思い出が頭の中を駆け巡って、そうゆう意味で観ててツラかった(苦笑)
 特に主人公のシュウジは、彼女のちせになんて言えばいいのかと迷うと困ったような顔をしてしまい、それをちせに「どうして困った顔するの?」と責められるのだが、私の場合は(自覚は無いのだが)ニコニコと笑顔を作るらしく、彼女から「アンタって、ニコニコしてる時は怒ってるのよね」と指摘された事を思い出したりした。
 他にも、つねに“セックス”を意識したやり取りがあり、思春期の性に対する意識をストレートに出していて気恥ずかしくなってしまった。
 ただし、ウチの奥さんは「えー? 高校生の頃にそんなこと考えてた? 私、そうゆうの考えたこと無いよー」とは言っていたが。
 むしろ、奥さんはシュウジの男としてのダメっぷりに怒っていたが、それこそ私は「うんうん、そうだよな」と同情を憶えてしまい、さらにイタかった(笑)
 それから、一番ツラかったのは、シュウジの幼なじみのアケミが怪我をして死ぬシーンだった。
「あんたのこと好きだから、私の体をあげようと思ってたのに、こんなになっちゃった。ゴメンね」
 そんな告白をして死んでいくアケミのセリフは、ちょっと私には衝撃的だったのだ。
 と言うのも、相手の女性は亡くなったわけではないが、私のある女友達が病気になった時に、まさに同じセリフを言われた事があるからだ。
 一方、戦争モノとして観ると、これもかなりツライものがあった。
 爆撃でクラスメイトが目の前で死ぬシーンのショッキングさは他の作品でも見かけるとしても、その後では何事も無かったかのように日常を過ごしつつ、しかしやはりトラウマとして抱える苦しみなども描かれていて、観ていて息苦しくなる思いがした。
 さらには、志願して戦争に行くと決めた友達が、「俺は好きな人を守りたい」と言うと、シュウジが「殺すんか? そのためにお前は人を殺すんか!?」と問い詰め、しかし愛する人を守りたいと思い気持ちも当然のように分かるため、じゃあ自分はどうするのかと苦悶したりする。
 そして、死んでいく兵士たちも決してカッコイイ死に方などせず、極めてリアルに描いていた。「死にたくない死にたくないよぉ」とか「痛い痛い」と呻きながら死んでいく。
 そうかと思うと、部下たちが次々と死んでしまった兵士が重傷を負った時には、「もう死んでもいいかなぁ……。死んでもいいよな…」と、つぶやくシーンなどもあって、寒気がするほどの残酷さがあった。
 そんな描写の中で、やはりテーマとして大きなウェイトを占めていたのは、「愛する人が自分を守るために人を殺した時に、それでも愛せるか」という事だったろう。
 最終兵器となった彼女、ちせは人殺しは嫌だと思いながらもシュウジの住む町を守るために何千何万という人々を殺戮していく。
「人を殺さない兵器なんて無いんだよ」とつぶやき、「私を怖がらないで。」
と「私を嫌いにならないで」とシュウジとの交換日記に書き綴るちせと、好きなのに人殺しでもあるちせにどう接していいのか分からずに苦悩するシュウジとのやり取りは、観ていて本当にツラくなってきてしまい、その日ビデオを観終えたら、代わりに明るいコメディー作品を観ないと寝付けなかったくらいだ。
 また、北海道が舞台と言う事で登場人物たちは方言を使っているのだが、これがまた実に効果的に使われていた。
 例えば、ちせはやたら謝るのだが、その「ゴメンね」というセリフのイントネーションが「ン」で下がり、「ね」で上がりつつ押す感じで(上手く伝わらないかもしれないが)、標準語に慣れてると切なく聞こえる。
 ラストは、“この星で一番最後のラブストーリー”と宣伝されてる通りで、宮崎駿監督の作品『もののけ姫』のキャッチコピーでもあった、「生きろ!」というセリフは、むしろこの作品にこそ相応しいように思えた。
 ところで、私はこの作品は“反戦アニメ”としても良い作品なのではないかと思う。
 私は、いわゆる“反戦アニメ”は無駄だとさえ思っている。
 何故なら、自分から反戦アニメを観ようという人たちは、すでに平和は大切なものだと思ってるわけで、もしも反戦アニメの目的が「平和の大切さを訴えたい」というものであるのなら、その目的はまったく的外れになっているからだ。
 「平和の大切さ」や「命の尊さ」を訴えるのなら、“関心の無い”人たちに見てもらわなければ意味をなさないはずだ。
 その意味で『最終兵器彼女』は、ティーンエイジャーにとって最も感心があると思われる“恋愛”を中心にすえ、戦闘シーンなどの視覚的な派手なシーンやハードな設定は、SFとしての面白さも持ち合わせている。
 それでいて、先にも述べたようにリアルな死を描いている。
 すでに過去の事でもある太平洋戦争で逃げ惑う子ども達が死んでいくシーンよりも、「彼女ともっとエッチしたかったなぁ」と死んでいく高校生のシーンの方が、何倍も自分を重ねて感じる事ができるだろう。
 平和運動をしている人たちには、もっとそういう事も考慮していただきたい。
 余談だが、反戦アニメとして宣伝されている『ほたるの墓』は原作者の野坂昭如氏自身は「妹の分の食べ物を空腹に耐えかねて自分が食べてしまった自責の念と、自分たちに冷たくした親類への恨みを書いたもの」で、反戦小説として読まれるのはやめてもらいたいという主旨の事を語っている。
 また、アニメ版の監督を務めた高畑勲氏も、「無力で不器用な現代っ子」というつもりで描いたのだそうだ。戦争の可哀想な犠牲者という単純な構図にしないところが高畑氏の卓越した作家性とも言えるのだが、肝心の視聴者が反戦アニメなんだとフィルターをかけて観ているというのは皮肉なものだ。
◆6月5日(木)/2003年
 今日は長期治療の患者さんが次から次へと来店。
 前回に出した薬の量から、次に来る日を予想して薬を用意していたのだが、新しく処方された薬もあって備蓄センターに取りに行く事に。
 薬の備蓄が無い患者さんには、暑い中を来てもらったのに申し訳ない。
 せめてもと、店頭に用意しておいた冷えたしょうかち茶をお出しして一休みしていただいた。
 ちなみに、しょうかち茶はダイエットティーで高血圧や糖尿病の予防になる。今のところホームページでは取り扱っていないが、ニーズがあるようであれば用意しようと思う。
 なにしろお茶は嵩(かさ)があるので、商品の値段に対してどうしても送料が高くつく。送料無料ではウチがやっていけないし、お客さんに負担してもらうにしても割高感があるので、ちょっと躊躇しているのだ。
 お店の中に黒い蝶が迷い込んできた。
 デジカメで撮影を試みたが、あえなく失敗。動く物を撮るのはデジカメでは難しいと改めて痛感。
 http://magical-shop.web.infoseek.co.jp/photo/200306/index.html
 羽根をヘタに掴むと飛べなくなるという話を聞いた事があるので、店内の灯りを消してみたのだが、ドアの上の方の開かないガラスにコツコツと何度もぶつかって、なかなか外に出て行けない。
 ちょっと下がってくれれば、開け放したドアから出られるのに。
 仕方が無いのでいったん灯りを点けたところに問屋さんが来て、それに驚いたのか無事に外へと出て行った。
 
◆6月6日(金)/2003年
 パート薬剤師のIさんの親族が危篤のため、お休みするとの連絡。
 まるでそれを狙いすましたかのように、FAXで処方箋が頻繁に入ってくる。
 しかも、予定外の患者さんで、おもに小児喘息だ。
 そう言えば、私も3日ほど前から気圧が不安定なせいか喘息が出て、ろくに寝ていない。私が喘息が出るという事は、同じような患者さんも増えるという事か。
 患者さんの予想を立てるのには役に立つかな(苦笑)
 『無水アルコール』が欲しいという人が来たが、常備はしていないので取り寄せますかと尋ねたら帰っていった。何に使うのかも尋ねたのだが、教えてくれなかった。
 しばらくすると、別な人がまた『無水アルコール』を求めに来た。
 お話を聞いてみると、『スパスパ人間学!』というテレビ番組でやっていたらしい。
 http://www.tbs.co.jp/spaspa/
 目的は、“ムダ毛をうぶ毛のようにする”との事。
 しかし、『無水アルコール』などは、たまにレコード盤の洗浄などのために買いに来るような物で、あまり肌に付けるような物ではない。
 『無水アルコール』は皮膚を乾燥させてしまい、肌荒れの原因になるはずだ。
 豆乳に混ぜるようなのだが、それで肌の乾燥を軽減させる事が出来るという事なのだろうか?
 「必ずパッチテストをしてから」と記載されてはいるが、肌荒れは使用し続けないと分からないわけだから、その辺りの実験データはあるのだろうか?
 医師の指示薬ではない以上「売らない理由が無い」ため、どうしてもと頼まれれば売らないわけにはいかないが、できれば売りたくは無い。
 詳細なデータが公表されていないため推測するしかないが、例えば傷口を痛めつければ傷の治りは遅くなる。それと同じように、毛根を痛めつければ毛の成長が阻害されて細くなるというだけなのではないだろうか。
 だとすれば、市販のムダ毛用の脱色剤を使った方が安全だと思う。
 どうして、ちゃんと人体への影響などの実験を経て販売されている物よりも、たいして実験もされていない手作りの物の方を信用するのか。
 そりゃあ確かに市販されてる物の中でも、後から副作用が報告されるケースはあるが、それにしたってテレビで放送されたものをそのまま信じるというのは、どうにも理解できない。
 子供の頃に、「知らない人にはついていっちゃいけないよ」と教わらなかったのだろうか。
 テレビに出ていて有名な人だからといって、“知らない人”を信用してはいけないのである。
 
◆6月7日(土)/2003年
 今日はお店に出る日なのだが、お休みをもらって日暮里に出かけた。
 と学会主催による『第12回日本トンデモ本大賞』が催されたのだ。
 http://togakkai.hp.infoseek.co.jp/

 前売り券を買い逃してしまったので、当日券を手に入れなければならない。
 なので早めに家を出たのだが、会場に着くまでは徹夜組がいたらどうしようかと不安だった。
 しかしなんとか整理券をゲットする事が出来た。
 会場は12時半からなのに、11時の時点でずいぶんとロビーに人がいる。
 あとで主催関係者のホームページを見たら、9時にはすでにお客が集まりだしていたらしい。
 ウチの奥さんも連れて行ったのだが、「嬉しそうねー」と言われた。
 嬉しいのである。なにしろ、好きな作家さん達による自主興行なのだ。
 テレビタレントなどと違って、作家さんを目にする事など滅多に無い。(中には、「早く本を出せよ」と言いたくなるテレビタレント化してしまった作家もいるが。)
 とりあえず当日券の販売は12時半の開場と同時との事なので、日暮里周辺をブラブラと散策した。
 http://www.nippori.net/
 ウチの奥さんが好きそうかと思い『かえる屋ケロリン堂』と言う、カエルグッズのお店に行った。
 http://kkd.ne.jp
 すると、お店の人に「覚えてます」と言われて少しビビッた。
 前にIちゃんとデートした時にも来たからだ(苦笑)
 詳しくは、5月11日の日記を参照。
 http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000109927
 まぁ、Iちゃんとの関係はウチの奥さんも黙認してるので、別に隠す事ではないのだが、しっかりとグッズをねだられてしまった。
 そうこうしているうちに開場時間が近づいてきたので会場に戻る事に。
 事前のタイムテーブルによると4時間の長丁場になるようなので、途中の総菜屋でパンを買った。
 なぜ、総菜屋でパンを売っていたのかは謎。
 ……と思って後で写真を見てみたら、お弁当屋さんであった。
 http://magical-shop.web.infoseek.co.jp/photo/200306/02.html
 チョコロールになぜか、『コアラのマーチ』が(笑)
 さて、会場に戻って開場するのを待つばかりである。
 しかし、ロビーはタバコの煙が立ち込めていて、始まる前に具合が悪くなってしまった(T-T)
 当日券の人は前売り券の人たちの入場が終わってからの入場と言う事でそれは良いと思うのだが、その当日券の販売が開場時間と同時というのは受付の混乱を招いたのではなかろうか。
 客席の方の準備が遅れたらしく、入場した人がロビーにまで溢れてしまい、物販の販売を先に始めた模様。
 それがさらに混乱に拍車をかけていたように思う。
 この辺りは、イベントの開催に慣れてないという事か。
 開演前にはテルミンの演奏が流れていて、異様な盛り上がりを見せている会場には妙にピッタリだった。
 http://theremin.asmik-ace.co.jp/
 司会には唐沢俊一氏と声ちゃんという組み合わせで、いよいよ開演。
 唐沢氏はモノカキが本業だが、公演慣れしているせいかやはり上手い。
 声ちゃんの方は、相槌を打つだけでやや精一杯という印象だった。
 ちなみに、唐沢氏は出版業界では“週刊カラサワ”と呼ばれていて、雑誌の穴埋め記事が必要な時には唐沢氏に依頼すれば大丈夫と言われている。
 文化論から専門分野に関すること、漫画や映画は言うに及ばず、エロや裏モノなど、あらゆる原稿を書き上げる事ができる人なのだ。
 そして、薬局関係者の間では『ようこそ、カラサワ薬局へ』という、やはり業界の裏側を書いた著者として知られている。
 さて、説明をし忘れたが『トンデモ本』とは、と学会の定義によれば「作者の意図とは別な所で笑える本」だそうである。
 例えば科学的に間違えてるとか、論旨が暴走してるとか、作者は極めて真面目に書いてると推察できるものの、なんとも笑いをこらえきれなくなる本という事だ。
 で、このイベントでは一年間に日本国内で発行された本のうち、「一番バカバカしい本」を選んで勝手に表彰してしまおうという企画なのである。
 なので唐沢氏も「シャレですから、作者や出版関係者、ファンの人が会場にいても怒らないで下さい」と念を押していた。
 実際、武道に精通した警備担当者も置いていたようである。
 初めて参加する人のための基礎講座では、文部省選定の高校用の国語教科書を紹介。なんと、『ガメラ』のスチール写真が載っていたり、『ウルトラマンレオ』に登場した怪獣のシルバーブルーメの解説まであった。こんな教科書で勉強してみたかったなぁ。
 今回の出演者でもある、と学会員の皆神龍太郎氏の名前も掲載されていて、「と学会も偉くなったもんだなぁ」と感動(笑)
 他には、パナウェーブ関連での大槻教授のいい加減な発言や、さらにアポロ月着陸否定番組のマヌケさなどを、ビデオと書画カメラで解説があり、一つ一つに満場、大拍手、大爆笑の嵐であった。
 続いて本以外のトンデモな物を会員の方が紹介してくれた。
 例としては、とてもテレビや雑誌では宣伝できない名前の煎餅『発狂くん』など。
 http://www.kawagoe.or.jp/kanko/bimi/butusan/shop/mikomorisenbei.htm
 他にも『日本一の波動水』などが紹介されて場内は大爆笑。
 http://www.gokkun.com/misumi-jyunsui2.htm
 なにしろラベルの解説に「磁場(波動)」という科学的に立証されていない事を平然と書いてあって、「良い波動の水をとることは、無意識のうちに体がよろこぶことになります。」とまで書いてあるのだ。
 「体がよろこぶ」ってなんだ(笑)?
 危ないネタとしては女流小説家の開田あや氏は、珍しいコンドームをあれこれと紹介してくれた。
 ステージに出てきて開口一番「おマンマとおマンコに手を抜くな!の開田あやでございます」とやらかして、ちゃんと観客が引かないで笑わせる事が出来るのは、この人だからこそであろう。
 紹介されたコンドームの中で、『ゴルゴ13』がデザインされてる物があったが、“100発100中”の命中率じゃ困るんじゃないのかね(笑)
 他の人たちの紹介した『ハーレクイーンロマンス』なども面白かったが、なんといってもトリを飾った占い師の稗田おんまゆら氏の「最低ですかー?」の掛け声に、客席からちゃんと「最低でーす!」と返したのには、出演者と観客の一体感を味わえて楽しかった。もちろん、『法の華三法行』の福永法源をちゃかしたものである。
 ちなみに、稗田氏は「バードウォオチングの会に紛れ込んだ鳥」と言われている。何故なら、占い師などという商売はそれこそ、と学会に“トンデモ”として観察される側だからだ。
 この辺が、と学会の活動が決してトンデモな物を世の中から廃絶しようというのではなく、あくまでシャレとして楽しむ学会だというのが良く分かる。
 http://www.s-garden.com/fortune.htm
 いよいよ本日のメインイベントである本年度の『トンデモ本大賞』のノミネート作品の紹介である。
 会長の山本弘氏がステージに出てノミネート作品を紹介していくのだが、どれもがお腹を抱えて笑える物ばかりであった。
 阿部照雄著『私説アルプスの少女ハイジその後』、漢大人著『お笑い機動戦士ガンダム』、森昭雄著『ゲーム脳の恐怖』、村津和正『歯は中枢だった』の4作品などの紹介が一通り終わったところで30分の休憩。
 その休憩中に投票をして、即日開票となる。
 事前の下馬評では、森氏の『ゲーム脳の恐怖』が大賞ではないかと噂になっていたのだが、その内容があまりにも酷すぎるので、私はトンデモ本大賞をあげるのも癪だと思い、面白さ一辺倒で『私説アルプスの少女ハイジその後』に投票した。
 ウチの奥さんは、『歯は中枢だった』に投票したようだ。
 休憩時間中に『発狂くん』が1人一枚配られたので、試しに食べてみた。
 一口目は「あっ、大丈夫」と思ったが甘かった。ではなく、辛かった。
 半分も食べないうちに舌が痛くなり、唇がヒリヒリしてきた。
 持って来ていたペットボトルのお茶500mlを2本飲んでもまだ辛い。
 そこで苺ミルクティーを買って飲み、やっと少し落ち着いた。
 そう言えば、辛さというのは味覚ではなく純粋な痛みなのだそうだ。
 だから辛い物を食べた時には水やお茶ではなく、甘い物など他の味のもので舌を麻痺させるのが良いらしい。
 韓国では、キムチは辛い物を食べた時の口直しに食べるのだと聞いた事もある。
 少し落ち着いた所で、お弁当屋さんで買っておいたヤキソバパンと紅茶パンケーキを食べた。ヤレヤレ。
 しかし、お腹はまだ熱い( ̄▽ ̄|||
 休憩時間が終わって後半は、立川談之助氏のトンデモ落語。
 立川談志のお弟子さんである。
 確か立川流は、お弟子さんを全員破門したという事件があったが、その後どうなったのか。
 http://www.danshi.co.jp/
 トンデモと銘打つだけあって、普通の寄席じゃできないネタのオンパレード。
 最初に、パナウェーブの白装束のマネをして全身ピンクでマスクまでして出てきただけでも大爆笑。
 先日は、普通の世席で同じ事をやって客に引かれたとかで喜んでいた。そりゃ引くだろう(笑)
 相撲は男が裸で抱き合うトンデモないスポーツだとか、そんな破廉恥なスポーツが国技でいいのか。でも、浩宮様は××だからいいんだとか。
 横綱はとうとう日本人がいなくなって、土人とモンゴル人だけになって嘆かわしいとか。
 みなさん、コレはシャレですよ。好きでなければ調べたりしてネタにする事なんて出来ません。
 落語家の話を真面目に聞いてはいけません。
 私が一番ウケたのは、「戦後補償を言うのなら、蒙古来襲の戦後補償を日本はまだ受けてません」というヤツ。
 他にも、サッカーのワールドカップのFIFAは陰謀組織だというネタが観客のウケが良かった。
 IFAの部分は、インターナショナルフットボールアソシエーションの略で意味が分かるが、頭のFはなんなのか。その回答が、「フリーメーソンの頭文字だ」というオチ。
 ちなみにフリーメーソンとは、世界を裏から操っているユダヤ人による悪の組織だと言う事にされてしまった、石工組合の事。陰謀論関係の本は、それこそ良くトンデモ本として、と学会に取り上げられている。
 その後もワールドカップは世界的陰謀が仕組まれてるのだという話しに。
 これはいわば、「軟膏と理屈はどこにでも付く」と言うように、どんな事でもこじつければそれらしく思えると言う事を実践してみせたようなものである。
 トンデモ落語が終わり、続いてと学会の運営委員によるパネルディスカッション。
 司会を務めていた唐沢氏がトークに加わる事になった。私は、これが目当てで来たようなものだ。あまりに私がワクワクしてるので、奥さんに呆れられてしまった。
 今日から封切られた映画『ザ・コア』の話から始まって色々と雑談。
 テレビや雑誌で取り上げられてから、しきりに『ザ・コア』を観たがっいていた奥さんは、トークの内容を聞いて不安になったらしい。
 なにしろステージ上の誰一人としてフォローをせず、ケチョンケチョンに貶(けな)されるばかりなのだ。
 まぁ、観る前から馬鹿映画だと分かる設定だものなぁ(苦笑)
 あと、「昭和天皇にはニセモノがいて、あちこちで目撃されている」という話から、「実はホンモノがお忍びで
歩いていたんではないのか」という話になったところで、「『暴れん坊天皇』ってやつですかね?」と。
 これには抱腹絶倒。観たい、観たすぎる(⌒▽⌒)
 そうやって盛り上がっている途中で声ちゃんが「お話の途中ですが、そろそろ発表の時間です!」と割って入り、ステージ上のメンバーが全員起立して発表となった。
 大きなリボンの付いたハサミが山本会長に手渡され、照れたのか「道路の開通式みたいですね」と言っていた(笑)
 投票の結果、大賞に選ばれたのは『歯は中枢だった』という作品。
 『私説アルプスの少女ハイジその後』は惜しくも次点となった。
 もっとも、大賞に選ばれた作品は「歯は実は内臓だった」という飛躍した主張からさらに飛躍して「歯は中枢だった」と言うのだから、対象に選ばれたのも納得できる。
 むしろ怖いのは、著者が現役の歯科医だという事だろう。
 http://homepage3.nifty.com/hirorin/tondemotaisho2003.htm
 全てのプログラムが終了して会場の扉が開いたものの、なかなか観客が帰ろうとしない。あまりの面白さに名残惜しいのだ。
 そうしたら陰マイクの放送で、「もう、面白いことは何もやりません、お帰り下さい」と入り、これもまた笑った。
 さて、『トンデモ本大賞2003』の方には奥さんを付き合わせたので、今度は私が『ザ・コア』に付き合う事に。
 急いで新宿に出て、映画館へ向かった。
 http://www.thecore.jp/

 19時からの遅い部とはいえ、初日なのにガラガラである。
 完全に『マトリックス リローデット』に客を食われたか。
 駄目さ加減ではドッコイだとも思えるのだが、この時点ではまだ両方とも観ていないのでなんとも言えない。
 しかし、少なくとも『ザ・コア』に関しては始まってからものの5分で、映画館に来た事を後悔させてくれた。いや、トンデモ的な視点から観れば期待通りか。
 ココから先は、ネタバレ注意報発令である。注意! 注意! 注意!
 冒頭で、ペースメーカーを埋め込んである人たちがバタバタと倒れて行き、主人公は磁場が乱れてるのではないかと“直感”で当ててしまう。
 おいおい、科学的な裏づけはどうした(笑)
 監督はインタビューで、この映画は「サイエンスフィクション(科学的空想)ではなく、サイエンスファクション(科学的事実)です」と語っていたはずではないのか。
 ペースメーカーをいったいなんだと思ってるんだ!?
 ペースメーカーは体に埋め込むだけ合って何重もの安全対策がとられている。
 よく携帯電話が医療機器の誤作動を起こす恐れがあると電車などでアナウンスしているが、それはまったくの嘘である。あれは、車内で迷惑な音声通話をやめさせるための方便で、実際にはペースメーカーを埋め込んでる人も携帯電話を平気で使っている。(ちなみに病院などでは、より安全性を考えて携帯電話ではなくPHSを使用している事が多い。)
 磁場が乱れて計器類が狂ってしまい、コースをはずれたスペースシャトルが着陸するシーンは無茶だけど楽しめた。
 『アストロノーツ』という漫画で空母に不時着するというのもあってアレも良かったけど、リアルさとの兼ね合いで言えばこっちの方が正解だろう。
 しかしその後には、鳥が狂って人々を襲うのだが、主人公はその原因は磁場が乱れて鳥が方向感覚を失ってしまったからだとして、さらに地球の内部がおかしくなっていると推測する。
 あのー、それで科学的な根拠は?
 そんな曖昧で非科学的な根拠だけで、あれよあれよいう間に地球のコアが止まってしまったという事実を突き止めて、人員が集められ、巨額の予算が投じられて、主人公はテラノーツ(地中潜航士)のチームリーダーになってしまう。
 製作者が馬鹿なのか、それとも観客が馬鹿にされてるのか。
 観ているこっちが戸惑ってるうちに、いよいよ地底に向けて出発。
 主人公がヒロインのレベッカと親密になったり、自分の名誉しか考えていなかった地球物理学者のコンラッドが改心したりするのだが、どうも人間関係の心理描写が貧弱で、あまり面白くない。
 そのうえ地底を進んでいくシーンも、映像としては面白いが延々と続くと飽きてきてしまい眠くなってしまった。
 政府の陰謀も明かされるものの、やや空振りぎみ。
 キャラの使い方としては、ハッカーのラットが良かったように思う。
 最初は遊び感覚でやっていたのが、チームが1人また1人と死んでいき涙を浮かべるシーンなどは、少しわざとらしい演出ではあるが、心の動きがちゃんと描かれていてホロリとさせられた。
 なのに、コアの中心部で核爆弾を爆発させ、しかし威力が足らなくて地中探査艇のバージルの核燃料をエンジンから取り出すのに、人間が燃料棒を引っこ抜くと言うのは、最大の山場で笑いを取ってどーする(^-^;;;
 この辺りは、やはり被爆国ではないアメリカ人の感覚なのだろうか。
 バージルの船体の設定なんかはSF的には正しいと思うのだが、やはり全般的に科学的な正確さがほとんど無いというのは、日本広告審査機構JAROに訴えたい(笑)
 http://www.jaro.or.jp/
 それと映画のバランスとして気になったのだが、無事にコアの活動を再開させた後の脱出が、行きに比べてやけにアッサリしていた。
 どうせなら、コアの再活動を中盤で済ませて脱出劇にしても良かったんじゃなかろうか。その途中で犠牲者が出た方が、ある意味悲劇性が増して感動できたと思うのだが。
 ラストで主人公とヒロインの2人だけが生き残ると言う予定調和にするなら、もう少し帰るところでハラハラさせて欲しかった。
 例えば、なんとか主人公を救出しようとする現場の人間たちと、主人公たちを葬り去りたい軍の上層部との息詰まる攻防を描くとか。
 または、最後の最後でラットがネット上に情報を流して事を公にしていたが、バージル号を救出に向かうと見せ掛けて実は始末してしまおうと軍艦が向かった先に、情報を知った民間船が集結して阻止するとか。
 政府に対して市民の力で勝利を勝ち取るなんてのは、いかにもアメリカ人が好きそうな展開だと思うのだが、あまりにベタ過ぎて駄目かね。
 観終わって奥さんの一言が全てを物語っている。
「ビデオで観れば良かった……」
 そうそう、個人的にはもう1つ納得いかない事があった。
 映画のパンフレットだ。
 映画からの写真ばかりが多くて、解説やインタビューなどの読み物がものすごく貧相なのだ。
 観た映画は、どんなクズ映画でもパンフレットを買う事にしているのだが、これがありがたいことに大抵はパンフレットだけでも愉しめたりする。
 ところが、『ザ・コア』のパンフレットは、まったく面白く無いのだ。
 映画を観て後悔して、パンフレットを買って後悔すると言う、久しぶりに大後悔を味わってしまった。
 せめてもの救いは、その前に『トンデモ本大賞2003』で面白い事を貯蓄できていた事だろう。
  
◆6月8日(日)/2003年
 昨日は仕事をお休みしたので、パソコンに入力されていないデータをせっせと入力。
 日曜日は、いたって静かである。
 午後になって、調剤室にエアコンを取り付けるためにLaOXから派遣された工事担当者が来た。
 http://www.laox.co.jp/laox/index_tone.jsp
 とりあえず設置する場所などを見てもらったのだが、工事担当者が頭を抱えていた。
 ウチのお店は、もともと2軒並んでいる貸し店舗を、間の壁を取り払って無理矢理1軒にしてしまったのだ。
 なので、エアコンの排水などもトイレの壁をぶち抜いたりしなければならないのに、管の傾斜が足りなかったりして工夫が必要なのだ。
 一応エアコンを購入するときに店員には説明した上で下見が必要だろうと伝えたのだが、現地に行く担当者にお任せ下さいという事で下見はしない事になっていた。
 しかしやはり現地に来た担当者は、「下見をしておきたかった」とボヤいていた。
 以前にNTTに工事を依頼した時にも、受付担当者は下見は必要無いと言って、当日工事に来た業者は下見をしておきたかったと漏らしていたのを思い出した。
 受付担当者と工事担当者の意思の疎通は、どこの企業でも上手くいかないものらしい。
 それでもそこはプロ。予定より時間がかかったが、なんとか設置して帰っていった。
 昨日観た映画がダメダメだったので、何か別な物を観たいと奥さんが言い出す。
 それはまったくもって賛成なのだが、それで奥さんが借りてきたのが『宣戦布告』という選択はどうか。
 http://www.sensenfukoku.jp/
 公開前は北朝鮮問題もあって話題になったが、いざ上映されたらパッタリと噂を聞かなくなった。
 一抹の不安を抱えつつ鑑賞。
 画面の前で、「うー、うー」と唸ってしまった。
 外国の潜水艦が日本海海岸に座礁し、調べてみると乗員は行方不明、しかし武器を積載していた可能性がある事が分かる。
 そこで行方不明の乗員たちを捜索してみると、捜索中の警察官(SAT)が襲撃を受けたため自衛隊の出動となり本格的な戦闘へと発展していく。
 途中には、内閣調査室と敵国のスパイとの諜報戦も描かれている。
 テーマは面白い。こんな面白くなるはずの作品で、どうしてこんなに退屈なのか。
 ちょっとした事変から雪ダルマ式に事態が大きく進展して深刻になっていく。
 本来なら観ている者をグイグイと引き込んでくれないと困るのだが。
 押井 守監督がそうゆうのが得意なので、見習ってほしいなぁと見ている間ずっと思ってしまった。
 だいたい、作中で官房長官が「どうして潜水艦が一隻座礁しただけでこんな事になるんだ」と言っていたが、潜水艦が座礁するなんてのは些細な事じゃないだろう(笑)
 外国船籍の漁船や貨物船が座礁して、そこから事件が発展していけば、それこそ日常が非日常へと転がっていく怖さと言うものが出ると思うのだが。
 それに加えて、警察や自衛隊の作中での運用方法にも疑問を感じる。
 行方不明の乗員が武装している可能性があるものの即時に自衛隊を出動させるわけには行かないと言う事で警察を出動させる訳だが、何故だかSATを出動させている。
 確かにSATは警察の一部だが、スペシャルアサルトチーム、略してSATは直訳すれば“特殊突撃部隊”となる。
 その主な任務は、ネオ麦茶というハンドルネームをネット上で使い高速バスをハイジャックした馬鹿な高校生を逮捕した事からも分かるように、まさに突撃して人質がいれば救出し、犯人を即時拘束する事のはずだ。
 どこに潜伏したか分からない犯人を“捜索する”ために出動させると言う事が果たしてあり得るのだろうか。
 そして、SATが全滅して自衛隊の出動となったが、武器の使用許可が途中で撤回されたため、やはりほぼ全滅してしまいレンジャー部隊の出動となった。
しかし、山岳地帯だというのは分かってるのだから、初めから普通科連隊じゃなくてレンジャー部隊を出動させてもおかしくないはずなのだが。
 ただ、武器の使用の制限というのがある意味この作品のテーマでもあり、それに関してはなかなかに面白い描写をしていた。
 今まさに敵と対峙し戦闘している時に「手榴弾の使用許可を申請」とか、「バルカン砲の使用許可申請」などをして、首相官邸の作戦司令室では「手榴弾を使用できる法的根拠を考えろ」というように悠長(でもないが)に議論している様子などは、ブラックユーモアを含みつつそれが現状なのだと感じさせて、なかなかに面白かった。
 しかし、いかんせんテンポが悪くて演出が稚拙で今一歩の感が拭えない。
 先に名前を出した押井 守監督の作品『機動警察パトレイバー2
the Movie』では、実に上手く演出していた。
 http://homepage1.nifty.com/~yu/p/p2.html
「ゴングより本部。当該勢力の脅威、更に増大中。発砲の許可を要請する」
「交戦は許可できない。現在、カナダ隊がそちらへ急行中。繰り返す。交戦は許可できない。全力で回避せよ」
「回避不能。本部聞こえるか」
 脚本と演出が一体になった見事な作品が前例としてあると、それを越えるのは容易ではない。
 しかし、やはりもう少しセリフの一つ一つを吟味して、緻密な演出をしてもらいたかった。
 途中の諜報戦にしても同じ。
 これまた押井 守監督の方が諜報戦の描き方が上手い。
 押井 守が監督をせずに脚本だけを担当して若手にまかせた作品『人狼
JIN-ROH』の諜報戦などは、どの時点でどちらが相手より優位にあったのかを考えると実に面白い構成になっている。
 http://www.production-ig.co.jp/anime/jin-roh/
 そんなわけで、腰砕けのラストシーンですっかり疲れてしまったため、口直しに『機動警察パトレイバー』の初期OVA版の、第5巻と第6巻を観て、満足してから就寝した。
◆6月9日(月)/2003年
 親指の爪が黒く変色していると言う患者さんが来店。
 正確には旦那さんが患者さんで、奥さんがウチに薬を求めて来たのだが、なにしろ状態が分からない事には判断のしようがない。
 旦那さんは水虫だと思って水虫の薬をつけていたそうだが、悪化する一方だと言う。
 普通、水虫が手にできると言う事は無い。もちろん全く無い訳ではないが、手は頻繁に洗うので白鮮菌が繁殖する事は少なくて、もし手に出来るとすれば菌に対する抵抗力が弱くなってると言う事で、体そのものが衰弱している場合だ。
 それに、水虫ならば白くなる事はあっても黒くなると言う事も無い。
 黒くなってるという事は、組織が死んで腐っている可能性がある。
 旦那さんは病院が嫌いで、簡単に手に入る薬での治癒を望んでいるようだが、どうも話を聞く限りでは、薬局で対応できる範囲を越えている。
 一刻も早く病院で診察してもらった方が良いと奥さんには話した。
 もし腐ってるとすれば、それがさらに進行して指を切断しなければならないなんて事にも成りかねない。
 奥さんは納得してくれたが、果たして旦那さんがおとなしく諭されてくれるかどうか。
 薬局は、往々にして「病院に行くほどではないんだけど」と、“自己診断”をした患者さんが訪れる事が多い。
 それが信頼されていてならいいが、病院に行くのがめんどくさくてと言う患者さんは遠慮したい。
 自分の体のことに対してめんどくさがる様な人は、薬を買ったって自分の判断で勝手に服用するのをやめて、あとで「この間の薬あまり効かなかったよ」と文句をつけてくる。
「だからあれほど病院に行くように勧めたのに」なとどは言えないし、言ったところで聞く耳なんか持ちやしない。
 それに、先の人のように病院に行かずに悪化するなんて事にでもなったら、とてもではないが責任を持てない。
 そもそも薬局では、診察することも法律上は認められていない。相談に乗ることしか出来ないのだ。
 病院で原因や病態を診断してもらってから、それに基づいた薬を相談する。
 それが賢い薬局の利用の仕方である。
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