「医薬部外品」は薬? 薬じゃない? 副作用かどうかは、目的によって変わります

 お客様から『新ビオフェルミンS』は薬か質問され、“指定医薬部外品”であることを『リポビタンD』を例に説明した。
 似た言葉に“医薬部外品”というのもあり、そちらがスキン系製品や歯磨き粉が主なのに対して、指定医薬部外品の方は整腸剤や栄養剤が多い。
 そして、どちらも元々は医薬品として世に出た物が、規制緩和によって「医薬品から移行された」物である。
 それは、利用する患者側から入手しやすくして欲しいという要望があったからだし、メーカーや販売店など売る側にしても販路を拡大したいという希望があったからなのだが、安全性の低い物をおいそれと自由化する訳にはいかない。
 そこで効能がありながら、比較的「副作用の少ない物」が医薬品から外れることとなった。
 この「副作用の少ない物」というのが解釈の難しいところで、一般には副作用そのものを「忌むべき物」「絶対にあってはならない事」と考える人がいるが、実は主作用と副作用というのは明確な物ではない。
 『ドリエル』のような睡眠補助剤の効能は、蕁麻疹などのアレルギーを抑える薬の副作用である眠気を利用しており、身体の中で起きていることは同じ。
 つまり、何が主作用で何が副作用かは、目的によって変わるのだ。
 これが何を意味するかというと、副作用が少なく安全性が高い薬は、薬としての効果が弱いか穏やかということ。
 お客様に例として挙げた『リポビタンD』の場合、主成分はタウリンで、タウリンは人間の体の中に普段から存在しており、疲労すると消費されることが分かっているのだが、外部から補給して疲労が解消されるのかは、実はまだ良く分かっていない。
 ただ、実は医薬品として採用されている成分の中には、「効果があるのは分かっているけれど、どうしてそうなるのかは解明されていない」という物も珍しくない。
 完全に解明されるのを待っていては、いつまでも実用化できないので、効果と安全性を検証して、得られる効果が大きいか安全性が高ければ認可し、研究を継続するというのが医薬品の現状である。
 サプリメントや健康食品等と較べれば効果は期待できるが、曖昧な位置づけでもあることは認識しておいたほうが良いだろう。
 同じ整腸剤でも、乳酸菌を腸で育てる納豆菌の入った物は第3類医薬品に分類されており、それは安全性が少し低くなることを意味し、しかし同時にそれは効果が高いことでもあることをお話して、『ザ・ガードコーワ整腸錠α3+』などを紹介した。
 するとお客様はヨーグルトを食べているそうで、そのコストパフォーマンスについて相談を受けたので、味気の無い錠剤を服用するのと食事として楽しむのを比較して考えることも大事とお話した。
 お腹の調子はストレスとも関係してくるから、よほど食が細いか偏食しているのでなければ、食事を楽しむのはストレスの軽減となる。
 お客様の場合は、どうやら筋トレをした後にプロテインを摂るとお腹がゆるくなってしまうのが本命の相談らしく、それは筋肉に血液が行って内臓の血液が不足し、胃腸の機能が低下しているのが原因と考えられることを説明した。
 一般的には、運動後30分以内のプロテインの摂取が良いとされているが、その仕組は未解明なので、身体の調子が悪くなるようならば、やめるようにと勧めた。
 そもそも胃腸の強さは筋肉とは違い、鍛えられるようなものではなく、人それぞれなので。
 ちなみに、私の探し方が悪いのか、「運動後30分以内にプロテインを摂取すると筋肉が付く」という根拠となるような論文が見つからない。
 人体の仕組みからすると、摂取したプロテインがただちに筋肉になるとは考えにくい。
 経口摂取した物は、いったん吸収され分解され合成されてから身体を作るはず。
 私が推察するに、プロテインを摂取することで筋肉を作るスイッチが入り、使われる材料は以前に摂取しているタンパク質か、すでに合成されているアミノ酸などではないかと思うのだけれど。
 詳しい人がいたら、教えて下さいm(_ _)m
 お客様には、お気に入りの乳酸菌を摂れる製品があったら安易に乗り換えない方が、仲の良い菌に助けてもらえるとお話した。
 どんなに身体のために良い菌だとしても、身体には防御機能が備わっており、外から来るモノは最初に敵として対峙してしまうからである。

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 お客様が『太田胃散』を購入されるさいに、血圧のことなど注意事項を伝えると以前に私が案内したことのあるお客様だった。
 胃腸薬というと、風邪薬などと違い警戒感を持たないお客様が多いけれど、血圧を上げる成分や腎臓に負担のかかる成分などが含まれている製品が多く、他の薬との相互作用の検証が複雑かつ持病との影響も多岐に渡るため、取扱の難しいジャンルなのだ。
 お客様は精神科を受診しており、三叉神経痛も患っているそうだ。
 どんな薬が処方されているかまでは分からなかったが、お薬手帳には使用した市販薬の成分表示を貼って、医師に使ったことを報告あるいは使用の可否を相談するよう勧めた。
 お客様は急いでるようだったので伝えられなかったけれど、お薬手帳は病院に行かない日にも普段から持ち歩いてもらいたいところ。
 買おうとする薬との飲み合わせを調べられるし、出先で事故に遭ったら救命措置には重要な情報源となるうえ、災害などで避難生活になった場合には医師の診察を受けなくても必要な薬を手配してもらえる特例がある。

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 70代のお客様がレジに持ってきた舌ブラシが、自分に合うか相談されたけれど、それは分からないので歯科医に確認をするよう勧めたところ、定期的に通っているとのことで購入は取りやめになった。
 また舌の苔を綺麗に取ってると、医師が診察に困るケースもあることを伝えた。
 特に漢方的には、白い苔が多く舌に歯型が付いていると内臓が冷えていて水毒の状態になっているとか、苔が黄色くなっていると反対に内臓が熱を持っているというように参考にするので。

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