市販薬を商品名で探すのは大変

 今日は、狐につままれたようなお話。
 以前に、成人の息子さんの「肘の痛み」を相談されて、『バファリンプレミアム』を購入したお客様が、追加を買いに再訪した。
 私が提案した、『疎経活血湯』については担当医は処方してくれなかったとのこと。
 まぁ、それはそれとして、狐につままれたというのは、確かに「肘の痛み」について相談されたはずなのに、何故か今日のお話では「足の肉離れ」になっていたこと。
 店頭では個人情報の取扱の問題もあって、お客様の名前などは記録していないけれど、できるだけ前回の相談内容を覚えておこうと、お客様の外見的な特徴と相談内容、そして案内した薬や実際に購入された薬の銘柄などは極力メモをするようにしている。
 だからこうして日記に書くときに細かな描写は省きつつ思い出せるし、それによって後から改めて症状と適応しそうな薬の検証をしたり、参加している医療関係のSNSで治療の情報を集めたりして、後で役立つ場面もあったりする。
 でもって、過去のメモを調べてみると、やはり間違いなく同じお客様。
 なのに、息子さんの症状が前回と違う。
 これはいったい、どうした事か(・。・;
 いずれにしても、痛み止めだけでは治療にならない事を前回と同じく説明して、病院を変えてみることも検討するよう勧めた。
 今回は、お客さまご自身の体調のことも相談され、鼻水が出る鼻炎の模様。
 鼻水は内臓が冷えると起きる症状であることを説明すると、町内で消防訓練があり、この季節としては寒かったようだ。
 現代薬として『ベンザブロックS』を、漢方薬として『小青竜湯』を案内してみたが、普段は『パブロンエース』を風邪の時に服用しているとのことで、そちらを購入された。

 口内炎の薬で、スプレーの物を探していると、お客様から相談された。
 しかし、商品の名は分からないというので、お店の情報端末でも探しようがない。
 水溶性アズレン系の『のどスプレー』の効能に口内炎とある製品は存在するものの、メーカーを限定されるとカタログを調べないと分からない。
 でも、そのカタログが今は無い。
 うちのお店、第一三共さんの営業マンが訪問したことすら無いし。
 後で調べたら、第一三共で『トラフルクイックショット』というのがあるらしい。
 でも、現物は見たこと無い。
 そのうえ、これはスプレー式というよりポンプ式だ。
 もちろん、人によってスプレー式かポンプ式かは、見解が分かれるかもしれませんが。
 不勉強で申し訳ない。
 実のところ、製品名で尋ねられても流通している薬を網羅するのは無理というもの。
 せめて成分構成が分かれば、同じ処方や似た処方の薬を案内する事も可能なのだけれど。
 もし本当に、今回のお客様が探しているのが『トラフルクイックショット』なら、それこそ成分は水溶性アズレンなので、『のどスプレー』で良かった事になる。
 結局、お客様は他のお店を探してみると出ていかれたけど、成分じゃなくて商品名で探している限り、見つけるのには苦労するんじゃなかろうか。
 一応、口内炎の多くは胃が悪くなっているのが原因なので、神経性胃炎に用いる『半夏瀉心湯』と、口内粘膜の材料になる『チョコラBBプラス』も紹介してみたけど、探している物じゃないから、たぶん耳に入らなかったであろう。
 店員の販売トークに簡単にノセられてしまうお客様も心配だけど、特定の銘柄の薬を求めて、同じ成分の薬すら眼中に入らなかったり、根治治療を考えられなかったりするお客様も心配┐(´~`;)┌

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市販薬を商品名で探すのは大変への2件のコメント

  1. アバター はぐれ薬剤師
    はぐれ薬剤師 コメント投稿者

    お客様に成分を求めるのは無理ですよね。これはやはり企業の努力しかありませんね。普段机に座って能書、パンフレット、パッケージデザインなど考えてる企業の学術担当の方も時々街に出て現場を見学するといいですよ。お客様になったりして。自分も昔はこれ本当にやってましたよ。

     
  2. アバター 北村俊純
    北村俊純 コメント投稿者

     製薬メーカーの営業さんが、パンフレットに書いてある説明しかできないこともありますね(;´・ω・)
     逆に、某メーカーさんは法的な面を考慮して、パンフレットに書いてある以上の説明はしないように、指導しているそうですが。