予測値タイプの体温計、冷たく感じるだけの冷感剤、家族間での薬の共用、注意点がいっぱいです

 お客様が電子体温計を購入されるさいに、発熱時には実測値を測るようにと伝えると分からない様子だったため、最初の音が鳴ってからそのまま待つと、また音が鳴ることを教えた。
 電子体温計には、実測値しか測れない時間のかかるタイプと、予測値が早く測れるタイプとがあり、前者のほうが価格が安い。
 ところが、両者の区別がついていないお客様は案外と多く、前者を購入される方には時間がかかることを、後者を購入される方には実測値も測れることを伝えると、驚かれるか、良く分からないという返事があるため、声掛けが欠かせない。
 また、予測値タイプの特性として、体表面から身体内部の熱を予測するため誤差が生じ、平熱時には低めの体温が、発熱時には高めの体温が表示されやすい。
「いつも平熱が低い」という人は、念のため実測値で誤差が出ているか、たまに確認したほうが良い。
 また、発熱時には「なかなか熱が下がらない」と勘違いしやすいため、必ず実測値で測るようにするのが望ましい。
 お客様に、発熱時には日時の記録をつけるよう勧めると、「いつもつけてる」というので「素晴らしい」と答えた。
 いざ病院に行って医師から、体温が「何日前から何度くらいあったか」を尋ねられても、答えられる人は少ない。
 しかし、病気について医学的な判断を行なう「臨床診断」においては、定点観測による体温の変化は重要な重要な情報の一つなので、当日の体温だけでは情報不足。
 自身の健康に責任を持つ“セルフメディケーション”の観点から云っても、発熱、もしくは他の症状が発現したら記録をつけておくことを忘れずに。

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 若い夫婦のお客様が何か探してる様子なので気にかけていたら、『冷えピタ』を見つけてカゴに入れ、その後に衛生用品のコーナーに行ってから棚に戻して、今度は『熱さまシート』を購入されるので、誰か発熱してるのか尋ねてみると買い置きとのことだった。
 探していたのが『熱さまシート』だったのだろうが、実のところ『冷えピタ』より価格が高いからといって、冷却効果が高い訳ではない。
 どちらを選んだところで、あくまで「冷感」でしかない。
 発熱して熱が38度を超えるようならば氷枕を使うよう勧め、こうして声を掛けているのは火傷や捻挫など、適さない症状に使う人がいるからと伝えた。
 火傷なら患部を刺激しないよう水道水などの流水で30分以上冷やすのが最優先だし、捻挫や打撲などでは痛みの伝達物質の生成を阻害するために氷水で患部の感覚が無くなるまで急冷する必要がある。

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 やや高齢のお客様が解熱鎮痛剤を次々と見ていたので気にかけていると、『バファリンA』をレジに持ってきて、新型コロナウイルスに使って大丈夫か尋ねられたため、特に問題は無い一方、インフルエンザの場合にはアセトアミノフェン製剤の方が安全とされてることをお話した。
 常備薬にするそうで、病院では『カロナール』を処方されたことがあるというため、市販薬では『タイレノール』が同じ薬であることを伝えると、『バファリンA』をアセトアミノフェン製剤だと思っていたようだ。
 名前のAは、アスピリンのAなんだろうか。
 ちなみに『カロナール』という名前は症状が「軽くなる」の駄洒落、『タイレノール』の方はアセトアミノフェンの正式な化学名「N-acetyl-para-aminophenol」から命名されたそうな。
 医療用のほうが駄洒落で、市販薬のほうが化学名というのが意外。
 お客様は、新型コロナウイルスが心配だから「家族みんなで使える薬を」と思って選んだというため、体質や年齢などの違いもあるから、一人一人自分の薬を持っていた方が良いこともあるとお話したものの、どうやらお客様には不満を残してしまったようだ。
 アスピリン製剤の方が副作用が発現しやすいから、使う人を選ぶのだけれど、そのまま『バファリンA』を購入された。

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