風邪や体がだるいときに、無理に栄養を摂ろうと食事をするのはブラック企業の発想です

 お客様から、うがい薬を求められ売り場を案内したうえで、『イソジンうがい薬』の場合は刺激物だから喉が痛む場合には避けたほうが良いし、予防という観点からは体を守る菌まで殺してしまいかえって無防備になるから、普段は水道水で充分なことを説明し、もしスッキリ感を望むのならば成分違いで身体にも優しい『コルゲンコーワうがい薬』を、そして現に喉が痛む場合には抗炎症成分の『パブロンうがい薬AZ』をと紹介したところ、後者の両方を購入された。
 これはこれで、複雑な気分である。
 信用してもらえたということではあるけれど、あまり素直に受け入れられると、それで良いのかと不安になる(´・ω・`)

【第3類医薬品】【大正製薬】パブロンうがい薬AZ30ml

 若いお客様が鎮痛剤と風邪薬の棚を見て長考していたので声をかけたところ、常備薬としてと、身体がだるい時に使うというので、多くの風邪薬の咳止め成分が入っていて、そのうち麻薬系の成分は咳を抑えるために身体機能を低下させるので、だるいときに服用するとかえって身体がだるくなってしまうことと、現代薬の風邪薬には対応できるものが無いことを説明した。
 咳止め成分の入っていない、ほとんど唯一の選択肢として病院でも処方されることのある『PL顆粒』と、だるい風邪に適応する『柴胡桂枝湯』を紹介しつつ、常備薬には「解熱鎮痛剤」と「鼻炎薬」と「咳止め薬」を別々に備えておき、起きた症状に絞った薬を使う方法を教えた。
 すると、鼻水になることが多いというため、鼻水は内臓の冷えから来るので身体を温めれば良くなる可能性が高く、解熱鎮痛剤さえあれば大抵は対処できることをお話したところ、『イブクイック頭痛薬』を購入された。
 鎮静剤が入っている解熱鎮痛剤だから、だるいときに飲むと、やっぱりだるくなってしまうのだけれど。
 解熱鎮痛成分だけでど弱いと思われるのか、鎮静成分のリスクをお話しても選ばれる。
 中には、「眠くなる程度」だと考えて「自分は眠くならない」から安心と誤解されるケースも。
 確かに分かりやすく「眠くなることがあります」と説明してしまうコチラ側も悪いのだが、より正確に伝えようと「認知機能が落ちる」とか「思考力が低下する」といった説明では、今度は怖がらせすぎてしまうから、その加減が難しい。
 一方、車の運転でいえば、眠くならなくて目を開けていても信号を見落とす危険があるくらいには思ってもらいたいところ。
 それからお客様には、無理に栄養を摂ろうとするより内臓を休ませるようお話すると驚かれ、「ニンニクは?」と訊かれたので、それは「元気な時に、もっと元気になるため」と伝えたらウケた。
 ニンニクに含まれるオキソアミヂンなどは確かに疲労回復になるのだけれど、ニンニク自体には他の成分もあり、どのみ消化するのにエネルギーが必要になるから、固形の食べ物は避けたほうが良い。
 体が疲れた時に無理に栄養を摂るのは、疲労困憊の時に働けというブラック企業のようなモノという喩えもウケたので気分が良い( ^ω^ )

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 お客様から風邪薬は求められたけれど、主訴は鼻水と鼻づまりで咳は無いというため鼻炎薬を提案したところ、症状が進んだ場合の常備薬を兼ねたいとのことだった。
 総合風邪薬には必ずと言って良いほど咳止め成分が入っており、大きく分けると覚醒剤系と麻薬系。
 覚醒剤系は喉を開いて呼吸をしやすくしてくれる代わりに、興奮作用によって血圧が上がったり心臓に負担がかかったりするうえ、治っていないのに元気になったと錯覚してしまうリスクがある。
 麻薬系の方はというと、身体機能を落とすことで咳を止めるため効果は抜群な反面、心肺機能が弱まり保水機能も失われ体内の乾燥を招き、便秘したり乾燥性の咳へと移行してしまううえ、気力も萎えさせるので免疫機能も低下するリスクがある。
 だから風邪への対処で望ましいのは、発熱・喉の痛み、鼻炎、咳などの成分が全部入りの総合風邪薬を使うよりも、起きている症状に合わせて薬を変えていくこと。
 常備薬は、解熱鎮痛剤と鼻炎薬と咳止めをバラバラに置いておくほうが使い勝手も身体にも良い。
 そう説明したうえで、咳止め成分の入っていない唯一とも言える『PL錠』を案内してお買い上げいただいた。
 また、鼻づまりで頭痛にもなるというので、解熱鎮痛剤でも効果が期待できることをお話した。
 解熱鎮痛剤の効能に鼻づまりの記載は無いから、その目的には販売できないが、頭痛を主訴とすれば付随する症状が軽減する可能性を知っておくことは有益でろう。
 内臓の冷えから起きる鼻水と違い、鼻づまりは鼻の奥の血管が炎症して腫れてしまってる状態なので、解熱鎮痛剤の消炎作用によって症状が軽減するというデータがある。
 お客様はシャワーが多いというので、入浴の利点と浴び方を教えた。
 患部が炎症するのは、温めることで血流を良くして壊れた細胞を回収したり修復する材料を運ぶのと、免疫機能を高めて菌やウイルスなどの外敵と戦うため。
 つまり、入浴はもちろん温かい物を積極的に飲むとか、下半身に厚着をしてお腹周りを温めて、自身の体に無理に炎症しなくても大丈夫と教えてあげることが、炎症を弱めることにつながる。
 どうしてもシャワーしか使えない、シャワーで済ませたいという場合には、太い血管の通っている背中側に集中的に浴びると良い。
 特に鼻づまりは、温かい空気や水が上に集まるのと同じように、熱が上半身に篭もってる状態でもあるから、血流を良くして熱を循環させてやると症状が改善する。

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