予防、予防と言うけれど、過ぎたるは及ばざるが如し!

 お客様が『新コルゲンコーワうがい薬』を購入されるさいに、効果的な使い方は外から帰ってきたときではなく、口の中に雑菌が増える朝の起き抜けと伝えたところ、妊婦にも使えるか尋ねられたので『イソジンうがい薬』と違って大丈夫と答えた。
 『イソジンうがい薬』の主成分であるポピドンヨードは、妊娠中に過剰に摂取すると胎盤を介して子供に移行し、甲状腺の機能を低下させてしまう恐れがあり、そうでなくとも使いすぎて体を守る菌も殺してしまうのは好ましくないことをお話した。
 特に気をつけたいのは、薬剤を飲み込んでしまう『のどスプレー』のタイプで、授乳中の人も母乳から子供に移行してしまう可能性があるため避けたほうが良い。
 毎日うがいするのであれば水道水で充分だし、喉が痛む場合のうがい薬や口腔スプレー剤は、抗炎症成分のアズレン製剤を使う。
 今回の件で云えば、『新コルゲンコーワうがい薬』の主成分であるセチルピリジニウムは妊婦でも安全だけれど、本当は買う前に確認してもらえたほうが最善である。
 どうも、奥さんの頼まれ物で薬を買いに来る旦那さんは、お会計をした後になってから妊娠中でも使えるかを尋ねてくるというポンコツ(言い過ぎ)が多くて困る。

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 子供を2人連れたお客様が『イソジンうがい薬』を手に『手ピカジェルプラス』のアルコール濃度を成分表示で確認してる様子だったので声をかけ、「消毒」と「殺菌」の表示の方が大事と説明した。
 アルコールにも種類があり、イソプロピルアルコールなら濃度は50%もあれば充分だし、海外と日本とでは消毒における濃度の基準が違ったりするし、濃度にも重量濃度(wt%)と体積濃度(vol%)の2種類あって、それぞれの表記を確認するなんて面倒というもの。
 それよりは、厚生労働省の認可を受けていることを示す「消毒」か「殺菌」の表記が容器やパッケージにあるかどうかを確認するほうが、遥かに簡単で確実である。
 もちろん、『イソジンうがい薬』にも『手ピカジェルプラス』には表記されている。
 ただ、『イソジンうがい薬』の殺菌力は強力すぎて、体を守る菌も殺してしまうから、使うとすれば家族に風邪を発症してる人がいるか職場で流行っている場合というように限定的とお話したところ、そちらはキャンセルとなり『手ピカジェルプラス』のみを購入された。
 ちなみに、ピンクの蓋の『手ピカジェル』と黄色い蓋の『手ピカジェルプラス』の違いは、後者のほうが添加されているリン酸によってウイルスへの効果が高いとされている。
 でも、新型コロナウイルスにしても一番の予防策は手洗いですとお話すると、子供達にも伝えてもらえた。

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 高齢のお客様が『キズニコ』をレジに持ってきたので、もしかしてと思い『マキロンs』もありますと伝えると、そちらを探していたようだったため『デシンA』も交えて違いを説明したところ、かえって迷わせてしまったようだった。
 ありゃん(;^ω^)
 基本の消毒効果は変わらないものの、『キズニコ』が消毒のみなのに対して、『マキロンs』には皮膚の修復成分が入っており、『デシンA』には局所麻酔が加わっていて傷の疼きを抑えてくれる。
 だから例えば、ピアスの穴の消毒に修復成分は要らないとか、小さい子供には傷の疼きを抑えるほうが向いているといった選び方ができる。
 今回は結局、そのまま『キズニコ』を購入された。
 お客様が、成分の違いまでは分からなかったというので、うがい薬も殺菌が目的の物と炎症を抑えるのが目的の物とがあるので、目的を伝えて相談していただくのが良いことをお話した。
 そもそも最近では、この手の消毒液は使わないのが主流ですし。
 家で自己注射をするとか、水を確保できない場所に行くというのでなければ、水道水で傷口を洗えば充分。

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