セカンドオピニオンの医師は治療はしてくれない! 「紹介状」の上手な使い方とは?

 やや高齢の常連のお客様から、塗り薬の温感タイプを腰痛にと求められたけれど、置いていないため『キンカン』を紹介した。
 に『キンカン』を買う人もいるけれど、実は止めや炎症を抑える成分は一切入っていない。
 灼熱感によって、を誤魔化しているだけなのだ。
 痒いところを叩くと、痛みや痺れ感でが気にならなくなるのと同じである。
 その灼熱感であるが、血行を良くする作用はあるので肩こりには向いている。
 ただ、腰痛には明らかに力不足である止め、お客様にもそう説明して『ハリックス55EX温感A』をお買い上げいただいた。
 他にコンドロイチンについて訊かれ、病院を受診してから使った方が良いとお話したところ、病院では手術を勧められたそうだが、亡くなった母親からは手術も飲み薬も駄目と言われたそうだ。
 そんな呪いのような言葉を残さないでほしい………。
 手術について心配であれば、お客様には担当医から紹介状をもらってセカンドオピニオンを受けるよう勧めた。
 ただし気をつけなくてはならないのは、セカンドオピニオンは主治医の治療方針の妥当性について見識を確認するだけなので、仮に別な治療法を提案されたとしても、そこで治療を受けることはできない。
 先に私は「紹介状」と書いたけれど、正式には「診療情報提供書」と呼び、セカンドオピニオンを引き受ける医師の側も、患者の経過観察をしていないことから、紹介状に書いてあるデータを元に答えるから、別な治療方針を提案することは滅多に無い。
 もし、担当医は別な治療方針を望むのであれば、セカンドオピニオンではなく病院を移るための紹介状を担当医にお願いすることになる。
 それを担当医に遠慮したり、失礼になるのでは考えて、勝手に病院を変えるのは良くない。
 何故なら、それで来られた病院はまた最初から診察をし直し、場合によっては経過観察の日数を要することになるからだ。
 それよりは紹介状を書いてもらい、それまでの診療データを携えて移ったほうが無駄な診察を省いて、早めに治療に入ることができる。
 また紹介状を書く側の病院にも診療報酬が入るので、普通は嫌がる医師はいないはずだから、何も遠慮する必要は無い。
 でも、できるなら元の病院に戻る前提のほうが望ましい。
 同じ病院に自分の診療データを積み重ねていくほうが、長い目で見れば安心だからだ。

 お客様が『トクホンチールOX』をレジに持ってきたので、弱めの薬で良いか尋ねると、昨日に突き指をしたというため、インドメタシン製剤かジクロフェナクトリウム製剤をと提案した。
 捻挫や打撲などもそうだが、急性症状には強めの薬で始めて、症状が軽くなるに従って薬も弱い物に乗り換えていくステップダウン方式のほうが良い。
 今回は、インドメタシン製剤の『バンテリンEX液』をお買い上げいただいた。
 また、初日は患部を氷水で冷やした方が良いことと、一週間しても痛みが引かない場合には病院を受診するようお話した。
 最初に氷水で冷すかどうかで、痛みの残り方が違う。
 というのも、異常が起きたことを脳に知らせるために、患部では痛みの伝達物質が急速かつ大量に作られてしまうからだ。
 痛みを感じないと怪我をしたことにも気がつかないから、痛みの伝達物質が作られるのは必要なこととはいえ、あまり多く作られてしまうと、それだけ長い間、痛みと炎症が続いてしまう。
 そこで氷水で冷やし、患部の生体活動を強制的に止めることにより、痛みの伝達物質の生成を抑えるんである。
 つまりは、患部の感覚が麻痺するくらいに冷す。
 今回は昨日のことだったけれど、当日に薬を買いに来る人もいるから、その前にまず冷すようにして欲しい。

 お客様から初めに消毒薬を求められ、『マキロンs』と『デシンA』を並べて違いを説明した。
 基本の消毒成分は同じで、『マキロンs』には患部の修復成分が、『デシンA』には傷口の疼きを抑える麻酔薬が加わっている。
 でも、流れる水が確保できない野外活動をするのでなければ、水道水で傷口を洗えば充分なことをお話しすると、一旦売り場を離れていった。
 そしてハンドクリームの『アトリックスポイント集中ケア』をレジに持ってきたのでヒアリングしてみると、毎年あかぎれになるのに備えてというため、あまり効果のある物ではないことをお話したところキャンセルとなり、治療目的には医薬品をと『ヒビエイド』と『ヒビケア』を案内したところ、前者を購入された。
 入浴はしてるというので、良い事と伝えたうえで養生法として、お風呂に入ったら手も湯船の中に手を入れることと、部屋でゆっくりしている時間には、お湯を入れた湯呑みを握って過ごすことを勧めた。
 指先の細い血管を開いて、修復する材料を血液に運んでもらうためである。

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