咳止めの薬のパッケージに書いてある「たん」も、湿性と乾性の違いがあります

 お客様が『パブロンSα』をレジに持ってきたさいに、念のため『パブロンSゴールドW』との比較を説明したところ、主訴は咳で、咳の音は湿っているようだというため『ブロン錠』を紹介すると変更になった。
 実は、必ずと言ってよいほど咳止め成分が入っている総合風邪薬の中では、『パブロンSα』は比較的体に優しい処方なのでは、個人的には常備薬にお勧め。
 一方で、咳がメインで考えるのなら『パブロンSゴールドW』の方が鎮める効果が高い。
 しかし、発熱していないのに総合風邪薬を使うのは体への負担が大きくなってしまう。
 解熱鎮痛剤も咳止めも、いわば身体機能を落として症状を抑える物なので、早い回復を望むのであれば、目的の症状を抑えることに限定した方が良い。
 そこで咳止め薬を提案した訳だが、咳止めにも呼吸をしやすくする成分と、咳をする神経を抑える成分、そして気道を潤す成分などがあり、その組み合わせは「咳に合わせる」ことが大事。
 例として分かりやすいのが、『ブロン錠』シリーズ。
 『ブロン錠』と『ブロン錠エース』のパッケージには、どちらにも「せき・たん」と書いてあるものの、両者の「たん」の意味は異なる。
 『ブロン錠』の方の「たん」は、咳をすると水様の痰が出るタイプで、ガラガラと痰が絡まるような湿った咳の音が参考の一つとなり、内臓が冷えている可能性が高い。
 『ブロン錠エース』の方でいう「たん」は、咳をしても痰が喉に張り付いて出にくいタイプで、咳の音はケホケホと乾いた大人のが特徴であり、胃などの内臓が炎症していることが多く、風邪の後に残る咳の殆どがコレ。
 しかも咳止め成分のうち、身体機能を落とす麻薬系の副作用が水分代謝の異常を起こして体内を乾燥させてしまうため、「咳止めの副作用で咳になる」という服循環に陥ってしまうから注意が必要だ。
 この場合には、気道を潤すことが必要なので、現代薬なら『ストナ去痰カプセル』などの去痰剤を、漢方薬ならば上半身に保水する『麦門冬湯』の出番となる。
 今回のお客様は、咳の出始めが3日前からで寒い日だったというため、内臓が冷えているのが原因と考えられることを伝え、積極的に温かい物を飲んだり入浴をするよう勧めた。

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 お客様が『パブロンメディカルC』をレジに持ってきたが、家族が咳のみ一週間以上続いていて、当初は喉の痛みだったとのこと。
 そして『ベンザブロックL』を使っていたそうで、咳の音はカラ咳のようなため、むしろ風邪薬の副作用か胃炎によって体内が乾燥してる可能性を説明した。
 少なくとも咳だけであれば鎮痛解熱剤は必要無いから、喉を潤す成分の入ってい『ブロン錠エース』と、上半身を潤して咳を治める『麦門冬湯』を紹介したところ、両方を購入された。
 また、咳というのは内臓への衝撃も強くダメージを受けていると考えられるので、消化に良い食事をするよう勧めた。

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