患者を直接知ることができないと市販薬を案内するのも難しい

 幼児を連れた夫婦のお客様が皮膚薬の棚を見ていて、販売期限間近で値引きの『エンクロンUFクリームEX』を購入されるので、念のためヒアリングしてみた。
 値段だけに惹かれて、症状に適応しない薬を選ばれることもあるから。
 ご主人が、汗疹(あせも)かは不明だが、かぶれてるというので適応することを伝えた。
 炎症が強ければステロイド剤も考えるところだけど、とりあえず非ステロイド剤の『エンクロンUFクリームEX』で充分だろう。
 お客様には、虫刺されの薬でも代用できることをお話して、他に『ムヒSクリーム』と『液体ムヒS』では中身が別物なことを説明した。
 前者は痒み止めがメインの非ステロイド剤で、後者にはステロイド剤が入っており炎症が強い場合に効果的。
 同じ名前の薬でも、市販薬は剤形が変わると処方内容も異なることがあるから要注意。
 そしてお客様には、市販薬の購入は最初に用途と使用者を店員に知らせて相談をするよう勧めた。
 家族だからといって自分の使う薬が家族にも合うとは限らないし、同じ症状に思えて実は原因からして異なる場合もあるので。

エンクロンUFクリームEX

 皮膚薬の棚を見ているお客様に声をかけてみたところ、11歳の子供が足の付け根を掻きむしってしまい、傷になっているとのことだった。
 『ユースキンあせもクリーム』を使ってみたものの効かなくて、虫刺されの薬は家に無いというため、ステロイド剤と抗生物質を合わせた『クロマイP軟膏』を案内し、お買い上げいただいた。
 ステロイド剤は炎症を抑える力が強い代わりに、患部の免疫機能を落としてしまい、皮膚の再生を遅らせてしまうから、炎症していて傷口がある場合に重宝する。
 また、お客様には「患部を保護する軟膏」と、「患部に浸透させたいクリーム」との使い分けを説明した。
 軟膏はベタつくからと避ける人がいるが、ベタつくことによって患部が服などとこすれないように保護してくれるのが利点。
 一方、人間の皮膚は異物を侵入させないためのバリア機能が強いので、それを破って浸透しやすく調整されているのがクリームなんである。
 それから余計なことではあるけれど、健康相談は大人でも難しいので、本人を連れて薬を買う練習をさせてみるよう勧めた。
 なにより今回のように、患者を直接知ることができないと市販薬を案内するのにも難しいので、患部を写真に撮っておいたり、症状の感じ方や強さなどを本人から聞き出してメモしておく方法を教えた。

 お客様から『マキロンS』を求められ、売り場を案内したうえで『デシンA』との比較も説明すると、常備薬にするとのことだった。
 同じ消毒薬でも、前者には皮膚の再生を促す成分が入っていて、後者には傷口の疼きを抑える局所麻酔が入っているから、小さい子供がいるようならば後者がオススメ。
 ただ、ちょっとした傷ならば水洗いで充分なため、化膿に備えて抗生物質を用意する方法を提案してみた。
 本日は『デシンA』をお買い上げいただき、薬箱を持ってくるかスマホで写真に撮ってきてもらえれば、必要な物の案内も致しますと伝えた。
 実は薬箱というか救急箱に必要なのは、家族が風邪などの感染症にかかった場合に備えて、使い捨ての手袋だったりする。

救急箱
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