薬を買うお客様の気持ちが今日もやっぱり分からない

 お客様が『アレジオン』を購入されるさいに、飲み始めたら花粉が飛んでいても飛んでいなくても毎日続けるのが効果的なことをご存知か確認したところ、使うのはご主人で、知っているかは分からないとのことだった。
 ただ、昨年は効いたが今年は駄目だというので、点鼻薬を併用するか、一旦『パブロン鼻炎カプセルSα』などで症状を抑えてから乗り換えるという方法もあることを伝えた。
 すると一旦お帰りになり、ご主人と相談したとのことで返品になった。
 そして『コンタック600プラス』を使ったことがあるというお話だったが、お客様が『ストナリニS』を選んで購入された。
 どういう基準で選ばれたのかは分からない。
 前に使って効いた経験のある薬を選んだほうが無難とも言えるし、成分違いの薬の使用感を試してみるという選択もあるとはいえ、使う本人の判断なのだろうかという疑問が残る。
 差し出がましいとは思ったが、薬は本人が相談のうえ購入した方が良いとお話しして、うちの店より遅くまで営業している近くのドラッグストアーを紹介した。
 そして、花粉症は外敵だと勘違いして攻撃してしまうことで起こる症状であり、その敵味方の識別は腸が担っているため、腸に負担をかけない消化の良い食事をして、積極的に温かい物を飲み、下半身に厚着をし、入浴をしっかりするという養生法があることをお話しすると、ご主人はシャワー派だというのでシャワーは正面から浴びずに、皮膚の近くを太い血管が通っている背中側の首から腰にかけて浴びる方法を教えた。
 腸の環境を整えることについては「乳酸菌が免疫力を下げる」という話を聞いたがことがあるというため、反対であることを説明した。
 いったいどこに、そんな話があるのだろうか……。
 ただ、そもそも免疫力を上げるとか下げるとかいう場合の、免疫力の意味が不明ではあるのだけれど。
 よく花粉症にヨーグルトが良いと語られるさいに「免疫力を上げる」と言うけれど、免疫力の暴走が花粉症なのだから、「免疫力が正常になる」というほうが正確なのではなかろうか。
 そうそう、ご主人はドカ喰いするそうなので、腸に負担をかけないために、食事を食卓にいっぺんに出さずにお代わりをさせて、満腹中枢が満足する時間を作る方法を提案してみた。

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 子供を連れたお客様がトローチなどを見ていたので気にかけていたところ、レジに持ってきたのが『セイロガン糖衣A錠』だったので、『正露丸』とは内容が異なることを説明した。
 具体的には『正露丸』から、抗炎症成分と鎮痙攣成分を抜いてあるのが『セイロガン糖衣A錠』なのだ。
 そのうえ、腸には味覚も嗅覚もあるので、『正露丸』特有のあの匂いも効果には必要と考えられる。
 また、大幸薬品の『正露丸』とキョクトウの『正露丸』とでも処方内容が違うのがややこしいところで、大幸薬品の『正露丸』に下痢止めや胃酸の分泌を抑えるロートエキスを加えているのがキョクトウの『正露丸』であり、用途によって選択が異なる。
 お客様は ご主人からの頼まれ物とのことで買わずに一旦売り場を離れられたため帰ったのかと思ったら、ご主人も来ていたらしく同じ子供を連れた男性が『セイロガン糖衣A錠』を購入された。
 一緒に来ているのであれば、どうして自分で最初に買おうとしなかったのか。
 どんな商売でもそうかもしれないが、お客様の気持というのは自分の身で想像してみても謎だらけである。

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