『正露丸』は下痢止めではありません

 お客様から、のど飴を希望されたので、医薬品と医薬部外品のどちらが良いか尋ねると、医薬部外品という答えだったから、『ヴィックスドロップ』を案内した。
 私としては、内服薬を勧めたかったんだけどね。
 そこは、客商売だからお客様の希望を優先という事で。
 ただ、喉の痛みは「風邪の初期」と勘違いされがちだけど、胃の不調と関係があったりするので、その可能性は伝えた。
 胃炎を起こしていたりすると、喉と胃は直通だから胃の熱が喉を乾燥させて痛めてしまうのだ。
 だから、喉が痛いだけでは、風邪の前兆なのか胃の不調なのか判断が難しい。
 そこで、風邪にしろ胃の不調にしろ、共通する対応策としては、「消化の良い食事に切り替える」という事になる。
 お客様でもあり、患者さんでもあるので、買い物の内容に関係無く、治療を第一目的に。
 まぁ、売上は経営者が考える事だから(o ̄∇ ̄)o

 『ストッパEX』を購入されたお客様に、念のため用途を尋ねたら、海外旅行に持っていくとの事だった。
 そこで、海外では水などの汚染による腹下しも考えられるため、『正露丸』を一緒に持っていくよう勧めた。
 元々は、日清戦争で不衛生な水源による伝染病に悩まされた陸軍が、感染症を防ぐために活用した物で、主成分のクレオソートは化膿の治療にも使われていたから、「下痢止め」というよりは「消毒薬」に近いとも考えられ、虫歯に詰めるという使い方も、この事に由来している。
 逆に言えば、飲食物の汚染による下痢以外には、別な対処を検討した方が良いケースが少なくないので、下痢になりやすくて『正露丸』を常用しているという人は、一度は専門家に相談をしてみて欲しいところ。
 今回のお客様は、自宅にあるかもと言っていたので、忘れないようにと伝えた。

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