薬は個人の使用に留まらない相互扶助の考え方を

 やや高齢のお客様が、おずおずと「よそのお店で買ったんだけど……」と、申し訳無さそうに尋ねてきた。
 いえいえ、何処で買ったかなんて関係無いですよ。
 つい訊き損ねてしまう事もあるでしょう。
 詳しくお話を訊いてみると、目の充血で『サンテボーティエ』を購入して使ってみたところ、目が痛いという。
 成分でアレルギー起こした可能性もあるため、病院での受診を勧めたら、外箱も添付書も捨ててしまったそうな。
 ありゃん(;´・ω・)
 ちょっと待っていただいて、添付書の一覧を探そうとしたけど見つからず、外箱の成分表示をコピーして、お渡しした。
 ちゃんと、普段から資料を整理していないと駄目だと反省……。
 ああ、でも言い難くて、うちのお店を訪ねたのかもしれないけど、こういう時は遠慮せずに購入したお店の方に相談してもらった方が良いです。
 もし本当に薬効成分でのアレルギーなら、情報としてお店側は把握しておくべきだし、そうでなくてもこういう経験は積み重ねないと意味が無いので。
 こう言っては何だけど、医薬品というのは販売開始後も継続的に人体実験をしているようなもの。
 自分が使ってみて、「効いた、効かなかった」という情報は、思っている以上に大切な情報なのだ。
 それによって薬害の拡がりを防いだり、あるいは報告された副作用で別な用途に使える新薬の開発につながったりするものだから、個人の使用に留まらない相互扶助の考え方を、ぜひ持ってもらいたいところ。

 頭痛に使うとの事で、『バファリン』と『イブA』を比較して相談された。
 単純な効き目の強さで言えば、『イブA』の方が後発だし効き目の上だけど、薬効成分と体との相性というものもある。
 今回のお客様は、いつも頭痛に悩まされるという訳でもなく、以前に『バファリン』を使用していたそうなで、悪寒などの風邪の兆候が無いのを確認して『バファリン』の方を勧めた。
 ただし、自分の体に合う薬を多く知っておくというのも有用なので、別な薬を選択するというのは悪くない。
 その時には、お薬手帳に自分で感じた効き目をメモしておくよう、お話した。
 お薬手帳は、なにも病院で処方された薬を記録しておくためだけの物ではないので、充分に活用して下さいな。

以下の記事も読まれています。


 
登録販売者から一言 壱の巻 登録販売者から一言 肆の巻「おくすり手帳と個人情報の使い方」 市販薬購入前チェックシート