栄養は摂取した物がそのまま活用される訳じゃないですし

 お客様が、おずおずと質問してきた内容は、「肝油は骨折に効きますか?」というものだった。
 一瞬、何を言われたか分からず面食らってしまった。
 失礼な態度に見えたのではないかと、ちと反省。
 よくよく訊いてみたら、中学生の息子さんが指を骨折していて、近所の幼稚園で骨の成長のためにと園児たちに『肝油』を配っていたのを思い出し、早く治るようにと考えての事らしい。
 ああ、なるほど(゚д゚)(。_。)(゚д゚)(。_。)
 確かに、幼児期の発育不良を防ぐためや、高齢者の骨粗鬆症を改善するために、カルシウムだけじゃなくてビタミンDを補う事がありますね。
 ただ、幼児や高齢者に必要なのは、食事の量や種類が限られたりするからで、よほど偏った食事をしていなければ、取り立てて必要な物ではないでしょう。
 栄養素は何でもそうだけど、摂取した物がそのまま活用される訳じゃなくて、いったん体に吸収され代謝され再構築される事で初めて肉体を構成する。
 それこそ骨にはカルシウムが必要だけど、カルシウムだけでは駄目でビタミンDの協力も欠かせない。
 しかし、もっといえばビタミンD以外の栄養素も複雑に影響し合っている。
 また、その栄養素を体中に運ぶ血液の流れも関係してくるから、栄養を行き渡らせるには血流を良くするというのも必要。
 だから、偏食で明らかに不足している特定の栄養があるというのでなければ、ありきたりだけど骨の再生のためには丸ごと食べられる小魚をメニューに加えるとか、根野菜を食材の中心にするとか、全方位的な栄養の摂取の方が望ましい。
 なにしろ、成長期ですし。
 あー、でも『肝油』の在庫は抱えてるんだよなぁ。
 売っておけば良かったかしらん。

 中学生の息子さんが、部活をしていて体育館で床に擦って火傷をしたという相談を受けた。
 火傷するほど擦るって、何をしたんだろう(^_^;)
「オロナインで効きますか?」と尋ねられたので、本当は『紫雲膏』を勧めたいところだったけど、独特の赤紫色と匂いがあるので、『アピトベール』の方を案内した。
 本人さえ嫌がらなければ、『紫雲膏』は皮膚疾患の応用範囲が広くて良いんだけどね。
 効能書きを読むと、どんな万能薬だよって思わなくもない(笑)
 まぁ、できれば、何の薬を買うにしても本人を連れてきて欲しいな。
 病態や体質なんかを知りたいのもあるけど、なにより本人の要望を確認したいので。

以下の記事も読まれています。


 
登録販売者から一言 壱の巻 登録販売者から一言 肆の巻「おくすり手帳と個人情報の使い方」 市販薬購入前チェックシート