お客様の求めているモノは物とは限らない

 常連のお客様が来店し、『コンドロイチンZS』と『コンドロイザー』の違いを質問された。
 『コンドロイザー』には防已という生薬が入っており、より関節部の痛みや炎上が強い場合に適していることを説明した。
 すると、お客様自身が使うのかと思ったら、高齢の母親が『コンドロイチンZS』を服用しているそうで、病院からは『アリナミン』が処方されているという。
 『アリナミン』は商品名だから、フルスルチアミンのことかな?
 そして、『コンドロイチンZS』の使用感については本人からは聞いていないというのに、『コンドロイザー』を買っていかれた。
 いや、まぁ害は無いと思いますが、安くない買い物ですよん(;^ω^)?

 スマホを見ながら『龍角散ダイレクト』や『パブロントローチAZ』などを眺めていたお客様から、咳の相談を受けた。
 5日ほど続いているそうで、ご本人曰く「これほど続くのは初めて」なうえ、朝方に喉がガサガサするそう。
 それは、体内の乾燥が原因かと思われますと説明して『麦門冬湯』を案内してみたけど、トローチを希望されたため、抗炎症のアズレン製剤の『パブロントローチAZ』を勧めた。
 すると、「ネットでは『龍角散トローチ』が効いた」というのを見たとか。
 もちろん『龍角散トローチ』は鎮咳去痰剤だから悪くない選択ではあるものの、患部を冷やすのがメインであり、痰が絡む訳でもなく、喉の痛みも無いというから、症状からすると外しているように思われる。
 そう説明すると、以前に病院で処方され残っていた抗生剤を飲んだけど、効かなかったという。
 ありゃん、それは駄目ですよぅ(;´Д`)
 咳が必ずしも菌に関係している訳ではないですし、抗生剤は体内を乾燥させてしまいます。
 って、咳が長引いている原因は、その抗生剤のせいなんじゃ……。
 それに、応対中にも出ていた咳の音はカラ咳で、やはり『麦門冬湯』が適応しそう。
 しかし、途中から話が無限ループに入り込んでしまい、どうも不安神経症か精神疾患があるように感じられた。
 うむぅ、となると『龍角散トローチ』を選択肢から外すような話をしたのはマズかったか(・_・;)
 ネットで見たという情報を、肯定してもらい安心感を得たかったのかもしれない。
 結局、何も買わずに帰られた。

 やや高齢のお客様が来店し、主訴は鼻水と悪寒という話だったけど、「パブロンの良く効くヤツ」と注文された。
 しかし、喉の痛みや咳などは無いという。
 うう、となるとパブロンのブランドで適応する物は無いんだよねぇ。
 パブロンシリーズは、痰の絡む咳や喉の痛みの方で、鼻については添え物程度の処方構成なんで。
 鼻風邪ということを考えると『葛根湯』が使えそうだけど、現代薬でとするのなら『ルルアタックNX』や『エスタックイブNT』と『ベンザブロックS』が候補に適していますと紹介した。
 『ルルアタックNX』をお買い上げ頂き、入浴して体を温めるよう勧めたりしたものの、養生法には興味を持ってもらえなかった。
 風邪薬は症状を抑えるだけで、治すのは自身の体だから、養生法の方を大事にしてもらいたいんだけどねぇ。

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