≪第8回≫当帰飲子

漢方薬症例クイズ≪第8回≫

 実際の症例を元に、患者さんの症例データーを提示します。
 “書いてある内容”から推理して、適応すると考えられる漢方薬の名前を当てて下さい。
 基本的に当店で扱っている漢方薬としますが、解答としては必ずしも限定しません。「なるほど、その方法もあるか」と思われる解答であれば、正解とする事があります。(生薬のみや民間療法などは除外します。)
 正解者の中から、抽選で3名様にパーソンズ
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を進呈いたします。
 絶対の正解というものはありませんのであくまで、“あそび”として楽しんでいただければと思います。
 皆様の参加をお待ちしています。(終了しました)

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for Person’sの美意識に彩られたティースプーンの5本セットを、3名様にプレゼントいたします。

募集期間:~10月4日(月)
正解発表予定:10月11日(月)

問題
 女性。38歳。
 次男を出産後、髪が抜けやすく、肌荒れ、立ちくらみも起こるようになった。授乳中の母乳の出も良くなかった。
 肌がカサカサになり、指先にはあかぎれ、踵(かかと)にはひび割れが現れた。
 手足や背中が乾燥しているようで痒みを感じる。爪が割れやすい。
 生理の量は少なく、期間が短い。
 症状が広範囲に渡っており、主訴を掴みにくいが、子供を出産した後からという点に注目して出した漢方薬は何か?

正解
 正解は当帰飲子です。

 当選したのは、以下の3名の方です。おめでとうございます。
  ※かとう様…選んだ理由:生理の量・期間から血虚であると判断し、かつ乾燥によるかゆみにも効くようだったのでコレにしました。(四物湯と迷いました。)

 正解者が1名でしたので次選の漢方薬として、四物湯を挙げ、なおかつ理由を明記されていた方の中から抽選で2名の方を当選とさせていただきました。  寺山雄一郎様…選んだ理由:皮膚が枯燥した人の産後の疲労回復によい。  ※エド様…選んだ理由:皮膚の乾燥があり、自律神経の機能不全もありそうだから。

解説
 患者さんが、いわゆる“産後の日だちが悪い”という状態である事は疑いありません。
 そして疲労感などよりも、皮膚疾患に関する訴えが目立っている事から、皮膚への養栄が特に必要だと考えられます。
 患者さんの肌はカサカサと乾燥した傾向にあり、痒みも生じているので、皮膚疾患に用いる漢方薬の中から当帰飲子を選びました。
 当帰飲子は、四物湯に六つの生薬を加えた漢方薬で、荊芥(けいがい)と防風(ぼうふう)は皮膚の痒みの緩和として働き、黄耆(おうぎ)と何首烏(かしゅう)が皮膚の栄養を高める強壮薬として作用します。
 また、しつり子(しつりし)は一種の強壮薬として働きがあるとともに、お血性の皮膚疾患の掻痒を治す効果があります。
 つまり、効能に産後の疲労回復とある四物湯に、より皮膚疾患に適した処方が当帰飲子なのです。
 問題では症状が広範囲に渡っていて主訴が掴みにくいと書いていますが、産後である事に注目した上で、その中でも目立っている症状を拾っていく事で治療方針を立てるというのが今回の症例の指針となります。

補足
 今回、一番多かった回答は四物湯でした。
 確かに四物湯は構成生薬の全部が温性・補性・潤性で、且つ血液の循環を良くする効能がある事から、産後の疲労回復に適応し、また軽度の皮膚疾患にも用いられます。また、血虚による神経症状を癒す効果もあります。
 しかし、四物湯を単独で用いるというケースは多くありません。
 というのも、構成生薬である当帰(とうき)・地黄(じおう)・芍薬(しゃくやく)・川きゅう(せんきゅう)の四つを当サイトの検索窓でカテゴリーを“漢方薬処方”に限定して検索すると、この四つが含まれている処方が多く見つかります。
 つまり、体を補う作用のある四物湯を基本として、症状に合わせて他の効能を加えるという使い方をするのです。
 今回の場合は、四物湯をより一層皮膚疾患向けに作り変えたのが当帰飲子だと見る事ができます。
 さて、そうなると次に解答が多かった当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)も適応するように思えます。
 ところが、四物湯の地黄の代わりに入っている茯苓(ぶくりょう)と沢瀉(たくしゃ)はいずれも燥性で、体に湿(水分)がある人向けの処方のため、乾燥肌の人に用いるのは好ましくありません。
 生薬構成にまで踏み込んで考えるというのは企画の主旨からは難し過ぎるという面もありますが、効能書きに適応する条件として“腰脚の冷えやすいものの”とあり、今回の患者さんは冷えについては訴えていない事を考慮すると良いでしょう。
 他に挙げられていた漢方薬としては、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)がありました。
 桃核承気湯は、お血を強力に取り除く駆お血剤として用いる漢方薬で、冷やす力も強いため、のぼせ症状が無い場合には適しません。
 今回の患者さんは、冷えものぼせも体感としては訴えておらず、お血よりも血虚だと見る事ができるので使わない方が良いでしょう。
 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)という解答もありましたが、今回のケースでは鎮静効果以上の作用は期待できないため、除外されます。産後の育児ノイローゼなどでの軽い欝状態の時には試してみるのも良いかもしれません。
 毎回、解答にあたっては他の漢方薬局の方にも意見を伺ったりするのですが、今回の場合は特に四物湯の解答が多かった事に、皆驚かれました。
 単独では効果が薄いという認識なのですが、何か四物湯についての詳しい文献などがあるのでしょうか。興味深いところです。
 解答のさいに、参考にした物などもありましたら、それらについても教えていただければと思います。

解説:北村俊純 

参加者コメントより
 寺山雄一郎:トップページに10月4日23:59締め切りとありましたので応募させていただきます。
 これは失礼いたしました。ご指摘ありがとうございます。直後に訂正させていただきました。

 鈴木陽子:これだけ種類があると扱う人は大変ですね。
 奥が深いぞ漢方(^.^)少しずつ生薬の情報も増やしていきますので、それが分かるようになると選ぶさいの参考になるかと思います。

 李玲:貴サイトに役立つ情報が満載で大変良い参考になりました。これからも訪問したいと思いますので、宜しくお願いします。
 お役に立てればなによりです。今後ともよろしくお願いいたします。

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