プロの患者になれば、プロに合わせた情報が提供されます

 常連のお客様から、『アレグラFX』と『アレジオン』の比較を尋ねられた。
 前者は1日に朝夕の2回の服用で、1日に2回は舞うとされている花粉に対応するのに優位と考えられ、生活スタイルが朝に出かけて夕方に帰るなら向いていることを、後者は1日1回就寝前の服用で楽な反面、飲み忘れたら翌日に繰り越しとなり、どちらも本来は予防を目的として毎日の服用が効果的なため、1日単位で飲み忘れてしまい症状を抑えきれない可能性を説明した。
 現在は『アレグラFX』を使ってるというため、悪夢などの副作用が無いのであれば継続するよう勧めて、追加をお買い上げいただいた。
 働きは同じでも成分が違い、身体との相性もあるから、変える理由が無ければあえて乗り換える必要もあるまい。
 ただ、発症した場合に主訴が鼻づまりになりやすい場合は、『アレジオン』の方に優位性があることを伝えた。
 そして、病状がある時に相談されると直接的には言えないことがある例として、鼻づまりと鎮痛剤の話をした。
 鼻づまりは、鼻の奥の血管が炎症して膨らんでいる状態だから、炎症を抑える効果のある成分の鎮痛剤によって鼻づまりが改善したというデータがあるのだけれど、効能として書いていないため、鼻づまりを主訴として販売することはできない。
 ただし、鼻づまりによって頭痛が起きているとすれば、頭痛の方を主訴として使うという解釈はできる。
 ちなみに、鼻水は胃が冷えていたり疲れていると現れる症状で、実は胃の働きを助ける胃腸薬を使うことにより、鼻水の改善が期待できるものの、鎮痛剤と同様に鼻水を止めるのを目的に販売することは出来ない。
 でも、薬を選ぶさいにパッケージに書いてある情報だけで選ぶことはできないことを知ってもらうためには、この手の情報をストックしておく必要がある。
 とはいえ、初見のお客様や、安易に薬を使いそうな人には提供しにくい情報なので、ぜひ通って常連になって下さいな。

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 若いお客様から『クレアラシル』を求められ、売り場を案内したけれど、ニキビに『ペアアクネクリームW』を使っていたというため、内容が異なることを説明した。
 『クレアラシル』は成長期の炎症の強いニキビに向いていて、『ペアアクネクリームW』は不摂生などによる大人のニキビに適応する。
 すると、お客様は病院から処方されてる塗り薬があると分かり、覚えていた名前で調べてみると、表皮の角化を抑える市販されていない薬なので、病院を再受診するよう勧めた。
 また、『ペアアクネクリームW』は1週間しか使っていないというので、皮膚の表面の薄皮一枚が新しくなるだけでも約1ヶ月はかかるため、長期の連用が必要なことをお話したところ、追加を購入されてしまった。
 医師が処方した意図から推察すると、市販薬ではヘパリン類似物質も考えられることをお話したところ、『ピアソンHPクリーム』も一緒にお買い上げとなった。
 しまった!!
 お客様に聞く姿勢があったもんだから、つい余計なことをお話してしまった(;´Д`)
 でも、お客様がレシートを置いていかれようとしたため、『医薬品副作用被害救済制度』のことを伝えて、お持ち帰りいただいた。
 入院が必要な副作用が起きた場合に、救済給付をしてもらえる公的な制度なのだが、申請するには購入した証拠が必要なんである。
 それにつけても、病院で処方された薬を使い切ったからと全く別な系統の市販薬に乗り換えて、今度は聞いたままに薬を買われたうえにレシートも置いていってしまうのは困りもの。
 お話を聞いてもらえたのは良かったけれど、ぜひ患者のプロになることを目指して欲しい。

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 お客様から『カユピット』や『キュアレアα』などの質問を受けヒアリングしたところ、主訴はマスクによるニキビで、痒みがするほどでもないということだったが、患部の赤味が強いため炎症にはステロイド剤をと提案したところ、怖いというので古い誤情報が現在も生きてしまっていることを説明した。
 ステロイド剤が危ないとされたのは、内服薬と混同されたことと、塗り薬で酷い副作用が現れたというのは20年以上も使っていたというもので、他の要因について全く考慮されていないのを、週刊誌などが拡散したから。
 どんな薬もそうだが、用法・用量を守り、経過観察を怠らないことが大事なんである。
 また、お客様には弱い薬をダラダラと長く使うよりも、強い薬で短期決戦、そして症状が軽減するのに合わせて薬も弱い物に乗り換えていくステップダウン方式が良いことをお話した。
 そして『プレバリンα』を紹介し、軟膏とクリームの使い分けをお話したところ、病院ではステロイド剤が処方されていたと分かり、それは医師の治療方針を知る上で重要な情報と伝えた。
 できれば、もっと早い段階で教えてもらえると良いのだけれど。
 剤形による使い分けとしては、軟膏はベトつくことで絆創膏の代わりの役割を果たし、今回のように患部が布や皮膚同士で擦れる場合に向いている。
 一方、皮膚は毒などを通さないようバリア機能が高く、それを破って浸透するように調整されているのがクリーム剤なので、症状が激しい場所に向いている。
 お客様は、患部が気になって触ってしまうというため、手が肩より上に上がったら下げるようにとお話した。
 そういう意味でも軟膏のほうが良いと思うのだけれど、『プレバリンαクリーム』をお買い上げとなった。
 マスクの下だから、ベタつくのが嫌だったのかもしれない。
 お客様に成分表をお薬手帳に貼るよう勧めると、スマホのアプリを使ってるというため、直近の情報を印刷しておくよう勧めた。
 大規模な災害で避難した先で電源を確保できるか分からないし、出先で事故に遭った場合に救急隊員がスマホのアプリを起動するより、所持品を確認して気づいてもらいやすい。
 お客様からは、「やっぱりアナログの方が強いんですね(゚∀゚)」と言われた。

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