薬剤師の対応が必要な市販薬を、いつでも自由に買えると思ってるうちは、使うのをやめたほうが良いかも?

 やや高齢の夫婦のお客様が風邪薬の『改源』と『太田漢方胃腸薬II』を購入されるので、後者は内面的なストレスで向いてることを伝えると、使うのは奥さんで「合いそう」とのお返事だった。
 内面的ストレスとは、起こってもいないことをアレコレと心配してしまうのを指し、その処方内容は胃を安らかにする『安中散』と水分代謝を改善する茯苓を組み合わせた『安中散加茯苓』である。
 同じストレスでも、人から怒られたりして縮み上がるような思いをする時には外面的ストレスとなり、その場合には血流を改善し手足の冷えを解消する『四逆散』『安中散』との組み合わせが適応し、以前には『大正漢方胃腸薬アクティブ』というのがあったのだが、残念ながら終売となってしまったので、個別に入手するしかない。
 話の流れで『改源』の用途も確認しようとしたけれど、話題が気温の変化に移ってしまい、できなかった。
 寒暖差の激しい時期には、暖かい日にも温かい物を飲み、小まめな水分補給を欠かさないようにとお話をした。
 暖かくなったからと冷たい物を飲んでしまうと、身体の方は温め直そうと熱を発してエネルギーを消費し、それが疲労につながってしまう。
 また、暖かい日には水分が蒸発しやすくなるのだが、寒い日には喉が渇きにくく、その感覚で暖かい日にも喉が渇いたときにだけ水分を飲むので、水分不足に陥りがち。
 そして、腸は一度に吸収できる水分の量が決まっており、吸収できなかった分は排泄されてしまうため、喉が渇いたときに一度に飲んでも水分不足となる。
 だから、「小まめな水分補給」は「30~60分ごとに10mLから多くても100mL」が望ましい。

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 お客様から『ガスター10』を求められ、うちのお店には薬剤師がおらず、薬剤師のいるお店でも勤務時間中でないと購入できないことを伝えると、すぐに踵を返されたので、背中に向けて適応する症状と似た働きをする『ガストール』ならあることを告げたけれど、背を向けたままお帰りになった。
 果たして、症状に合っているのかどうか( ´Д`)=3
 確かに『ガスター』は劇的に効いた感覚を得やすい薬の一つではあるけれど、胃酸の出過ぎを抑える効果が強く、それは同時に胃の機能を低下させるということでもある。
 適応する症状は、胃が「焼けるような感じがする」「ジリジリする感じがする」「苦い水が上がってくる」といった、逆流性食道炎が疑われるような場合で、「胸焼けがする」程度だと効果がありすぎることが懸念される。
 だからこそ薬剤師による対応が必要なのだが、自分で自由に買えると勘違いしている段階で、使わないほうが良いのではないかと思ってしまう。

「ホントは難しい胃薬の選び方」

 お客様から内服の『ロキソニンS』を求められ、薬剤師がいないため置いていないと伝えたうえで、同じプロピオン酸系の消炎鎮痛剤で化学構造式の似たイブプロフェン製剤での対応を提案したところ、偏頭痛に病院で『ロキソニン』と一緒に使うようにと処方されている薬があるというため、お客様が覚えていた薬の名前で調べてみるとセロトニン5-HT1B/1D受容体作動型片頭痛治療剤で、注意事項に「原則として入院中に処方される」と書いてあった。
 他に、チエノトリアゾロジアゼピン系に属する抗不安薬も処方されているというから、調剤薬局にも市販薬の相談をするように勧めたうえで、鎮静成分入りが効果的と考えられるため『イブクイック頭痛薬 DX』を試していただくことになった。
 ただ、処方されている薬と一緒に服用して良いか尋ねられたので、それは良くないことと、もし一緒に使いたいのであれば鎮静成分の入っていない無印の『イブ』に変更するようお話をした。
 また、今回使った薬については医師に報告するようお願いした。
 そして、使っている薬の名前を覚えているのは良いことだけれど、単独の薬の名前だけでなく使用した履歴が大事な情報であることを説明した。
 なによりも、お薬手帳は病院に行かない日でも、普段から持ち歩くことによって出先で事故に遭った場合の救命措置に役に立つし、災害時に避難生活になったさいには医師の診察を受けなくても必要な薬を受け取ることができるというのを教えると、お礼を言われた。

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