市販薬は、3人家族だと1人は効かない? 一人ひとりに合わせては作られていません

 お客様が『第一三共胃腸薬プラス』を購入されるさいにヒアリングしてみたけれど、「いつも使ってるから」というものの症状は教えてもらえなかった。
 『第一三共胃腸薬』よりも健胃剤が多いことと、胃だけでなく腸の症状に傾けてあることを伝えて、お湯と水での簡易的な鑑別方法を教えた。
 お湯を飲んで症状が和らいだり気持ち良くなるようだと、胃腸の血流が悪くなるような胃の冷えや疲れがあると考えられ、『第一三共胃腸薬プラス』が向いている。
 一方、水を飲んで症状が楽になるようなら、冷やすのが気持ち良いのだから胃炎や胃熱を起こしている可能性が高く、『第一三共胃腸薬』が適応する。
 お客様から「違うと効かない?」と訊かれたので、効かないということは無いけれど、総合胃腸薬は胃酸の出過ぎを抑える物と、消化を助ける物というように、相反する効果の成分も入っていて、効果が浅くなることを伝えた。
 また、入っている成分の種類が多いほど、他の薬や持病と影響しやすく、しかもその関係性の判断が難しいことを説明した。
 例えば、『第一三共胃腸薬』とプラスのどちらもナトリウムは入っていないが、『キャベジンコーワα』な『太田胃散』などの有名どころには入っており、高血圧の人は避けた方が良いし、いずれにも入っている他のミネラル成分は鼻炎薬の効き目を落としてしまう。

 お客様から『大正漢方胃腸薬』と『第一三共胃腸薬』の比較を尋ねられたので、前者は普段から食が細いか胃の疲労に良いことと、胃痛を抑える鎮痙攣成分が入っていて、後者は普段から元気な人が食べ過ぎてしまったようなケースに適応することを説明した。
 主訴は胃痛と軟便で、胃よりも腸が気になるというため『タナベ胃腸薬ウルソ』も紹介した。
 軟便は腸での消化が上手くいっていない可能性があり、腸の消化力の改善に向いている。
 一旦は『大正漢方胃腸薬』を選ばれたけれど、錠剤の小容量が品切れで躊躇われたため、胃壁を守って胃痛を軽減しつつ健胃剤も入っている『スクラート胃腸薬S』の購入となった。
 同シリーズの無印の『スクラート胃腸薬』の方は、水を飲んで楽になったり食べ過ぎが思い当たる場合に適応するというように、同じシリーズでも成分が異なれば適応する症状も変わる。
 やはり、胃腸薬を選ぶのは難しい。

 夫婦のお客様が『イブA』をレジに持ってきたさいに、無印と違う物で良いか確認すると「いつも使っている」というものの、両者のパッケージは似ていて、実際にはどっちだったか覚えていないとのことだった。
 イブプロフェンのみの無印の『イブ』に対して、『イブA』には認知機能を落とす鎮静成分と、興奮作用のあるカフェインの入っている。
 鎮静成分は痛みを軽減するのに役立つものの、車の運転などは避けなければならないし、使用頻度が多いと飲んでいないときにイライラするといった副作用が懸念されるし、カフェインも血管を拡張して血流を良くして症状を緩和する反面、こちらも繰り返し使っていると飲んでいないときに血管が収縮しカフェイン頭痛を引き起こす可能性がある。
 また、イブプロフェンが痛みを発する末梢神経と、その痛みの信号を受け取る中枢神経に働きかけるので鎮痛効果が高いのに対して、『バファリンA』のアスピリンは末梢神経の炎症を抑えるのが得意なので、肩こりや歯痛のように「痛い場所」に効果的。
 そう説明すると、頭痛の他に生理痛にも奥さんが使っているというため、イブプロフェンに鎮痙攣成分を加えた専用薬の『エルペインコーワ』を紹介したところ、家族で使いたいという話もあったので鎮静成分は入っておらず、鎮痛成分にアセトアミノフェンを合わせた『バファリンルナi』を勧めた。
 しかし、そのまま『イブA』を購入となり、製薬メーカーが市販薬のアンケートを取ったところ、1/3の人が「良く効いた」と答え、他の1/3の人は「効いたと思う」とし、そして残りの1/3が「効かなかった」と答えることが多かったことをお話した。
 つまり3人家族だと1人は効かない計算になるので、家族でも薬を分けた方が良いこともあることを伝えたのだけれど、伝わらなかった気がする……。

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