水虫の原因となる真菌は、患部以外にも繁殖しているかもしれません

 水虫の棚で次々とお客様が薬を見較べていたので気にかけていたところ、『ブテナロックVαスプレー』をレジに持ってきたため、薬剤が飛び散る分だけコストパフォーマンスが悪い事をお話した。
 殺菌剤だから、拭き散らかすより密着するよう塗布する方が有効性が高い。
 そして持っも大事な点として、水虫であることが確定しているか尋ねると、病院は受診していて次までの繋ぎというので、液剤とクリーム剤手の水虫の場合の使い分けをお話した。
 痒みや炎症を止める塗り薬とは、使い分けの考え方が異なる。
 何度か日記に書いているように、人間の皮膚はバリア機能が高くて薬が浸透しにくくて、そのバリアを破るように調整されているのがクリーム剤。
 液剤のほうが浸透しにくく、しかし塗り拡げるのに適しているため、患部が広範囲なら液剤を使い、症状の激しい場所にはピンポイントでクリーム剤を塗る。
 ベタつく軟膏は、そのベタつきにより皮膚同士や服と擦れるのを防ぎ、絆創膏代わりに患部を保護するのに役立つ。
 一方、水虫薬は原因となる真菌を退治する殺菌剤で、皮膚に浸透させることは考えなくて良い。
 むしろ必要なのは、患部だけに塗るのではなく、殺菌のために周囲にも塗り拡げること。
 それこそ、足裏全体に。
 ところが、手を汚さないで済むからと液剤を使うと、指の間とかにピンポイントで垂らすだけというのをやりがち。
 症状が現れていない場所にも真菌が繁殖している可能性があるから、液剤でもクリーム剤でも、効果的に使うためには塗り拡げる必要がある。
 そういう意味では、スプレー剤は便利なように錯覚してしまうが、先にも書いたように薬剤が拡散してしまい費用の面で考えると無駄が多い。
 今回のお客様には、塗り広げるのに便利な物として『BTプラスV8クリーム』をお買い上げいただいた。
 ただ忘れてはならないのは、本当に水虫なのか医師の診断を受けることである。
 殺菌剤は皮膚の再生の邪魔をしてしまうので、湿疹なのに間違えて水虫薬を使っていると治るのを遅らせてしまう。
 反対に、水虫なのに湿疹薬を使っていては、いつまでも治らないうえ、知らずにステロイド剤を使うと免疫機能が落ちて水虫を悪化させてしまう。
 今回は、病院を受信していることが分かったから、その点の心配が要らなくて助かった。

 若いお客様が、ヘパリン類似物質の『ピアソンHP ローション』をレジに持ってきたさいに、塗り広げるのに便利な一方、症状が進んでいる患部にはクリーム剤の方が浸透力があることを説明したところ、『ピアソンHPクリーム』に変更となった。
 ヘパリン類似物質は、血流を良くして肌を潤したり栄養をは運びやすくしたりして患部を治すので、塗った後に手を洗うのはモッタイナイから、先に手を洗い、患部も正常にして素手で塗り伸ばしたら、塗ったてはそのままにしておくよう勧めた。

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 お客様から膝の裏の痒みの相談を受け、ベビーローションを使っていて駄目だったというため、軟膏やワセリンなど油分のある物で患部を保護した方が良いことをお話したうえで、やはり油分の多い痒み止めとして『メンソレータムADボタニカル』を紹介し、お買い上げいただいた。
 乾燥した皮膚をローションで潤そうと考えがちで、確かにベビーローションに含まれているグリセリンは水分の蒸発を防ぐとともに空気中の水分を引き寄せる効果があるけれど、その性質は体内の水分が多い赤ん坊だからこそ有効。
 残念ながら体内の水分量が減ってくる大人になったら、ヘパリン類似物質で血流を良くして水分を運ぶほうが効果的だし、もしくはワセリンなどの油分で膜を張って皮膚から水分が蒸発するのを防いだほうが良い。

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