15歳になれば薬の選択の幅が一気に広がるので、本人にとっても薬のことを知るチャンスです

 子供を連れたお客様が雑貨を購入されるさいに、子供が備え付けの消毒液を使ったので必要な量と正しい使い方を教えると、お客様に驚かれた。
 よくお店の入口やなどに備え付けてある消毒液を一吹きしただけで、掌の内側だけをハエのように擦り合わせて済ませている人がいるけれど、それなら使わなくても同じである。
 必要なのは、手の隅々にまで行き渡らせること。
 まぁ、消毒薬を備え付けている事自体が、感染対策を「やっている感を出すため」とも考えられるものの、その使い方で充分と思われてしまうと、いざ家族間感染が起きた場合に、正しく消毒液を使いこなせない可能性がある。
 手の消毒をするさいには、まず片手の掌を皿のようにして消毒液を惜しみなく出し池を作る。
 その池に反対側の手の爪先を浸したら、今度は爪を消毒した側の掌を小皿にして同じようにする。
 両手の爪先を消毒したら、いよいよ掌の内側を擦り合わせ、続いて左右の手の甲を掌で交互に擦ったら、指の間を擦り合わせる。
 最後に忘れてならないのは、手首を交互に掌で擦ることである。

 これは、普通に水道で手を洗う時にも応用できるのだが、見て分かるように掌の内側を擦るというのは、手の消毒の過程の一部にしかすぎない。
 とはいえ、手洗いをこの手順に近い方法でやっていれば、普段の対策としては充分でもある。
 子供からは、「ありがとうございます」と言われた。

「除菌グッズに御用心・空間除菌の罠」

「除菌グッズに御用心・空間除菌の罠」

 『小中学生用ノーシンピュア』を見ていたお客様が『バファリンルナJ』を購入されるので、念のため両者の違いを説明した。
 基本の鎮静成分であるアセトアミノフェンは共通しているものの、前者には鎮静成分が加えられており、後者は単味剤である。
 鎮静成分は気持ちを落ち着かせてくれる分だけ鎮痛効果を高める一方、脳の認知機能を落としてしまうため、大人ならば車の運転は避けなければならないし、仕事での能率は落ちるから子供でも勉強の妨げになると考えられる。
 そう説明したけれど、誰がどんな用途で使うのか教えてもらえず、単に子供用だからという点で選んだようだった。
 それでもようやく、使うのが中学生だと教えてもられたので、15歳になれば選択の幅が広がり鎮痛剤も頭痛などの痛みの種類で使い分けがあることをお話した。
 例えば、アセトアミノフェンは中枢神経に働きかけて痛みを感じにくくするものの、末梢神経での炎症は抑えてくれない。
 他の成分では、アスピリンは中枢神経は抑えてくれないが、末梢神経で炎症を抑える効果に優れていて、痛い場所に効くから歯痛や肩こりに向いている。
 イブプロフェンとロキソプロフェンは同じ系統で、痛みを発信するのも受信するのも止めてくれるので「良く効く」と言える一方、痛みを伝達するホルモンが胃を保護するホルモンと同じため、痛みを止めることは胃の保護機能も止まることを意味し、決して万能ではない。
 また、生理痛の場合には内臓の痙攣を抑える成分と鎮痛剤を合わせた『エルペインコーワ』といった専用薬もある。
 だから、市販の痛み止めではアセトアミノフェン一択しか選べない子供が15歳になった時には、痛み止めについて考えるチャンスでもあるので、本人が店頭を訪れるのが望ましい。
 また、親が私たちに伝える症状と本人の感じてる症状が違うこともあるので、やはり本人にお店で相談して選ばせるよう勧めた。

 子供を連れたお客様が店内を探し回ってる様子でいたので近づくと声をかけられ、ウオノメとのことだったから売り場を案内した。
 『ウオノメコロリ』も『イボコロリ』も主成分は同じで、やっているのは皮膚をわざと腐らせて新しい皮膚を作ること。
 ただし、『ウオノメコロリ』の液剤には絆創膏タイプと違い、皮膚を柔らかくする成分が入っていて長患いに向いていることを説明した。
 市販薬は、剤形が変わると処方内容も異なることがあるから気をつけてもらいたいところ。
 今回は絆創膏タイプを購入され、薬剤が刺激物なので患部に貼った後には手を良く洗い、目に入らないように気を付けて下さいと伝えた。

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