市販薬の販売には、確認したいこと、伝えたいこと、いっぱいありすぎて頭の中は大混乱

若いお客様が『イブA』のお得セットをレジに持ってきたさいに、無印との違いを説明したうえで、お買い上げいただいた。

パッケージのデザインが似ているから、勘違いされてるケースもあるので、声掛けしない訳にはいかない。

特に、無印以外の『イブ』には鎮静成分が入っているのを伝えると驚かれることがある。

いわゆる「眠気」と表現される副作用が現れるのだが、それは分かりやすく伝えるためで、実際には脳の認知機能の低下。

たまに、使ってるお客様から「眠くなったことは無い」(だから大丈夫)と言われることがあるけれど、車を運転していて信号を見ているようで認識していない、あるいは「眠くなってることにさえ気づいていない」という可能性があるから、やっぱり使用時は安静にできる状況でなければ危険だ。

お客様の主訴は偏頭痛というため、ズキズキする偏頭痛は胃の不具合と関係することを説明し、胃に優しい食事に切り替えないと頭痛と鎮痛剤の使用がグルグルと循環してしまうことを伝えた。

最近では「気圧頭痛」というのが知られるようになったが、ストレスを受けやすい胃が気圧の変化によって具合が悪くなり、その影響が脳の血管を収縮を引き起こし、その後に急激に血管が開いたおりに血流が血管の内壁を擦って炎症となるのが、ズキズキする偏頭痛。

そして、痛みの伝達物質であるプロスタグランジンなどは胃の保護を指示する役割も担っているため、痛みの伝達を薬によって阻害すると、胃の保護機能も止まってしまう。

つまり、胃が悪くなって偏頭痛となり、薬を飲んで軽減する代わりに胃の保護機能が止まり、そこへ普通に食事をしてしまうと胃が悪くなって、また偏頭痛を引き起こす。

この円環を断ち切るためにも、偏頭痛になったら、あるいは予感がしたら、早々に食事を寝込んだときのような食事に変更するのが良い。

お客様には、興味深く聞いていただけたけれど、なんだかお客様にデジャヴ(既視感)を感じた。

以前にも来店して、同じ説明をしたような気がするのだ。

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若いお客様から『ロキソニン』を求められ、薬剤師のいない店舗なので置いていないことを伝えたところ、主訴は歯痛だというので代用に化学構造式の似たイブプロフェンの『イブ』を紹介したうえで、末梢神経に効くアスピリン製剤の『バファリンA』も案内した。

歯痛となると痛みが持続する訳だから、早く効く代わりに身体から抜けるのも早い『ロキソニン』より、1.5倍は長く効くイブプロフェンの方が便利だろうし、アスピリンは痛い場所、炎症している場所で効果を発揮する分だけ優位性があると考えられる。

急性の偏頭痛のほうが、『ロキソニン』の早さを活かせるはずである。

また、同じ銘柄でも『バファリンプレミアム』と『バファリンルナi』は、イブプロフェンとアセトアミノフェンという二種類の鎮痛成分を組み合わせたもので、前者にはさらに鎮静成分を加えてあるため、鎮痛剤ごとにも性格が違うことを説明したところ、3回ほど繰り返すことになってしまった。

私の説明が、早口すぎたのか。

お客様が急いでるように思えたので、私のほうが焦ってしまったのだけれど、痛みの伝達物質と胃の保護機能の関係のお話をすると、興味を持って聞いていただけたようだ。

今回は『バファリンルナi』を購入され、歯科医院の予約は入れてあるとのことで一安心。

歯痛の原因が風邪のウイルスなどの一時的な症状なら回復する見込みがあるけれど、虫歯だと一時的に痛みが解消しても放置できないので、受診は必須。

若いお客様が、『イブクイック頭痛薬』を手に点鼻薬を尋ねてきて、売り場を案内したうえで、鼻水と鼻づまりの違いを説明したところ主訴は鼻づまりとのことだったので『パブロン鼻炎アタックJL』を提案したけれど、『パブロン点鼻』を購入された。

鼻水は風邪にしろアレルギーにしろ異物を排出するのが目的で、内臓が冷えていると現れやすい。

一方、鼻づまりは異物の侵入を阻止できなかった場合に、鼻の奥の血管を炎症させて免疫力の向上によりウイルスなどを倒すのが目的で、そのさいに内蔵が冷えていると昇った温かい空気が降りてこないため、炎症が無駄に持続してしまう。

鼻水への薬による対処法はシンブルで、鼻水の出る穴をキュッと締めるだけ。

ただし、血管など体液に関わる部分まで締めてしまうため、使いすぎると鼻炎の原因となり、今度は鼻づまりを引き起こしてしまう。

そして、同じ点鼻薬でも『パブロン点鼻』や『ナザールポンプ』などは鼻水を止めるのは得意でも、炎症に対しての効果は弱い。

そのため、主訴が鼻づまりの場合は炎症を抑える力の強いステロイド剤入りの点鼻薬である『パブロン鼻炎アタックJL』などのほうが頼りになる。

ただし、ステロイド剤入りの点鼻薬は、1年間のうちに使用できるのは合計で3ヶ月以下という使用制限が設けられている。

お客様には、せめて養生法での対処をと思い入浴の有無を尋ねると、湯船に入ろうと思えば入れるもののシャワーで過ごしてるというため、体内の熱を循環させることにより患部の熱を下ろせるから、入浴してお腹を温める重要性を説明した。

どうしてもシャワーで済ませたい場合には、太い血管の通っている背中側と首の周囲に集中的に浴びて血流を良くするよう勧めた。

お客様がお帰りになってから、直接的に効能書きに書いていないものの、鎮痛剤の消炎作用が鼻づまりへの効果を期待できることを伝え忘れた。

そもそもの、『イブクイック頭痛薬』の用途の確認も、鎮静成分のリスクをお話するのも忘れてしまった(´・ω・`)

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