お店には薬の情報があり、患者さんは症状などの情報を持っているので、その情報の突き合わせが肝心

 お客様から口内炎に使うステロイド剤の『ケナログ』を求められ、2年も前に終売になったことを説明したうえで『オルテクサー軟膏』を案内してお買い上げいただいた。
 念のため、症状が軽い場合や日数が経ってる場合の『サトウ口内軟膏』と『口内炎軟膏大正A』も紹介した。
 違いとしては、『サトウ口内軟膏』にはステロイド剤より弱いものの炎症を抑える成分が入っており、『口内炎軟膏大正A』は殺菌剤と皮膚の修復成分で構成されている点。
 口内炎の薬を注文されて売り場を案内すると、そのまま相談せずに選ばれることが多いけれど、患部の状態で使う薬が変わるので、今回のように初めから薬を指名するというのは、ちゃんと成分を把握していない場合には避けたほうが懸命。
 店頭で働いている登録販売者や薬剤師には、『ケナログ』のように終売の情報がお店に寄せられたり、代替商品を研修で教わったりしているから、その点においても市販薬は指名買いするより相談してから選ぶほうが良いだろう。
 お客様は口内炎を繰り返してるそうなので、ウイルスや菌が棲み着いてる可能性や、口に起こる症状は胃でも起きていると考えられることをお話して、胃腸に負担のかからない食事を心がけるよう勧めた。
 それから養生法として、体を冷やす夏野菜も避けるようお話した。
 体としては患部を炎症させることで免疫機能を高めてウイルスなどと戦い、血流を良くして壊れた細胞を修復する材料を運ぶという理由があるため、体を冷やす物を飲食すると、体はもっと炎症しようと頑張ってしまうからだ。
 入浴したり、患部にしみない程度には温かい物を摂ることで、体に頑張って炎症する必要が無いことを教えてあげるのも大事なんである。
 また、ストレス性の胃炎が関係する可能性もあり、その場合に適応する『半夏瀉心湯』を紹介した。

 高齢のお客様から『キズパワーパッド』を求められ売り場を案内したけれど、使うのは家族で、「薬が塗ってある絆創膏」だと勘違いしてるようだったためヒアリングしたところ、犬の散歩中に転んで目の脇と手を怪我したとのことだった。
 ところが、どの大きさのサイズが合うか尋ねられたものの、傷口の大きさは分からないという。
 本人が、傷を見られるのを嫌がっているのだとか。
 えっと……、それでは選びようがありません(^_^;)
 そして他のお店で傷薬を買ったそうだが、「チューブに入っていた」というだけで何の薬か分からず、現物は家に置いてきたというため、判断のしようが無いことをお話すると、お帰りになった。
 家には『オロナインH軟膏』があるというため、目の脇など絆創膏を貼りにくい患部の保護には有効と伝えた。
 せめてスマホで患部の写真を撮ってきておいてもらえれば判断の材料になるし、家にある薬や買った薬も写真に撮ってあればアドバイスのしようもあるのだけれど。

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 子供を連れたお客様が分包になってる目薬『HP抗菌アイリス』を購入されるさいに、痒みが強いようなので『アイサット抗菌目薬』を紹介しようと思ったけれど、しょっちゅうなる訳ではないとのことから、そのままお買い上げいただいた。
 一般に、瓶のタイプの目薬は開封したら1ヶ月以内に使い切るのが目安で、プラスチックの容器に入った『ソフトサンティア』などは1週間以内が開封後の期限となる。
 そして、抗菌剤の効果の持続時間は約5分と極めて短いため、目に点したら少し下を向いて5分間は目を閉じておくようお勧めた。
 疲れ目の目薬のように、すぐに目を開いてしまっては充分な効果を得られないので、ご注意あれ。
 それから、菌に対抗するために免疫機能を向上するのには体温を高めに保つことも重要だから、積極的に温かい物を飲み、入浴などで内臓を温めることを意識するのが良い。

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