新型コロナウイルスは「ただの風邪」だからこそ治す薬がありません

 お客様から『カロナール』を求められ、市販薬としての名前の『タイレノール』は品切れ中のため、アセトアミノフェン製剤なら子供用だけど単味剤の『バファリンルナJ』か、抗炎症剤のエテンザミドなどとの複合剤である『ノーシン錠』があることを伝えると、新型コロナウイルスが心配で、家には『ロキソニン』があるというので、アセトアミノフェンだからといって安全とは限らないとと、新型コロナウイルスに他の解熱鎮痛剤が駄目というエビデンスも無いことを説明し、今まで使っていた薬を変えない方が良いとも考えられることを説明した。
 お帰りになるさいに、新型コロナウイルスにかかっても何か治せる薬は無いかと尋ねられたので、もともとコロナウイルスは風邪をひく人の約2割の原因となる「ただの風邪」のウイルスであり、他の風邪のウイルスも含めて治療薬は存在しないことをお話すると、プイッと帰られてしまった。
 うーむ、話が通じないと思われてしまったか?
 しかし、事実なのだから仕方が無い。
 新型だろうとコロナウイルスが風邪のウイルスなのは変わり無く、それゆえに治す薬もまた無いから、感染して発症したら悪化させないための経過観察と対症療法をするのみ。
 だからこそ新型コロナウイルスを怖がる気持ちは分かるけれど、他の病気に感染する可能性を差し置いて、それも感染力は強くても致死性が低い一つの感染症だけを気にすることに意味は無い。
 正しい情報を提供するのと、お客様の機嫌を損ねないようにするというのを両立するのは、なかなかに難しい。

 子供を連れたお客様から『ロキソニン』と整腸剤を求められ、前者は薬剤師のいるお店でないと扱っていないことを伝えると、「じゃあいいです」とそれ以上は化学構造式が似ているイブプロフェンでの代用の提案などのお話も聞いていただけず、『新ビオフェルミンS』を購入された。
 『新ビオフェルミンS』を適応しない下痢などに用いる人もいるからヒアリングしたいところだったし、『ロキソニン』は早く効く代わりに身体から抜けるのも早いから、突発的な頭痛などには向いていても継続的に痛む生理痛には不向きだったりするので、用途を知りたいのだけれど。
 お会計しながら、痛みの種類によっては鎮痛剤も替えた方が良いので薬剤師に相談をするように伝えたけれど、耳には入れてもらえなかった模様。

 お客様から、成人の息子さんの痒みの相談を受けたので、虫刺されの薬が家にあれば使えるかもしれないとお話すると、一人暮らしの息子さんに常備薬として送るとのことだった。
 炎症や痒みを伴う皮膚疾患には、初めに強めの薬を使って症状が軽減するのに合わせ薬も弱い物に乗り換えていくステップダウン方式での対応が良いことを説明して、ステロイド剤に組織の修復成分と殺菌成分なども入った『オイラックスPZリペアクリーム』を案内してお買い上げいただいた。
 本当は、人間の体はバリア機能が優秀で薬といえども浸透しにくいから、そのバリアを破るように調整されたクリーム剤と、ベタベタすることで患部に膜を張って絆創膏のように服などと擦れることから守ってくれる軟膏との使い分けもあるのだけれど、これは本人に伝わらなければ無意味だろう。
 親心は分かるものの、常備薬にしても本人が買い求めるのが一番なんである。
 せめてもと思い、息子さんには行きつけのドラッグストアを見つけておくようお話するのを勧めたところ、「対面で相談できて良かった」とお礼の言葉をいただいた。
 恐縮ですm(_ _)m

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