自分が専門家ではないことを忘れずに! 専門家は使い倒しましょう♪

 お客様が抗生剤の『ドルマイシン軟膏』をレジに持ってきたけれど、火傷(やけど)に使うそうで、しかし既に数日経っており主訴は痛痒いとというため炎症を抑えるステロイド剤を提案したうえで、皮膚の再生を助ける成分も入っている『メディクイッククリーム』と『エフェクトプロ軟膏』を案内した。
 火傷した患部は感染症を起こしやすいから初期であれば抗生剤を使うことに意味はあるけれど、『ドルマイシン軟膏』には炎症を抑える成分が入っておらず、さりとてステロイド剤単独だと患部の免疫機能を低下させて感染症を引き起こしやすくし皮膚の再生も阻害してしまうから、『クロマイP軟膏』のような抗生剤とステロイド剤の合剤を使う方法がある。
 そして、成分が浸透しやすいように調整されているクリーム剤と、ベトつくことで患部を保護して服などとこすれないようにする軟膏との使い分けを説明したところ、今回は『エフェクトプロ軟膏』をお買い上げいただいた。

 お客様から両足の足裏が痒いのと皮膚が剥けるとのことで水虫の相談を受けたけれど、湿疹との見分けが難しいことと、薬を間違えると良くないことを説明して受診勧奨した。
 皮が剥けるのを水虫と考える人が多いが、湿疹もまた読んで字の如しで皮膚がふやけて剥けるのは珍しくなく、水虫との区別は真菌が関わっているかなので、それは見た目では分からない。
 水虫に痒み止めや抗炎症剤の入った湿疹の薬を使うのは、治らないものの副作用の心配が少ないのに対して、湿疹に水虫の薬を使ってしまうと殺菌剤は刺激物でもあるため患部が治ろうとするのを邪魔してしまうから避けなければならない。
 ステロイド剤の入った痒み止めの薬を使えば、患部の免疫機能が低下して水虫ならば悪化するという副作用を利用して見分けるという乱暴な方法もあるけれど、もちろんオススメはしない。
 お客様は以前に『ブテナロックVα』か何かを使ったことがあるようで、しかし痒みが治まると使うのをやめていたというため、もし本当に水虫ならば痒みが治まっても一ヶ月以上は使い続けないと完治しない。
 そういう指導を受けるためにも、病院を受診するよう勧めたところ、今回はお帰りになった。

 息子さんから『イボコロリ』の貼るタイプを頼まれたとお客様が来店したのだけれど、主訴は膝頭にあるイボで液剤が家にあるというため、先に使うよう勧め動く部分でもあるから、絆創膏を貼って浮かないように薄いサポーターを併用することを提案したうえで、『イボコロリ絆創膏 ワンタッチM』をお買い上げいただいた。
 しかし、お会計してから病院で何か内服薬が処方されていると分かり、専門家に観察してもらうためにも再受診を勧めたところ、スポーツをしてるとのことでサポーターの代わりに靴下を改造して使う方法も教えた。
 なんにしても、病院を受診しているのに途中でやめて自己判断で市販薬を使うというのは好ましくない。
 市販薬を使うにしても、事前に担当医に確認しておくか、あるいは次に病院に来る必要があるかを退室する前に質問しておくのが良い。

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