皮膚の損傷で怖いのは感染による化膿! 火傷の薬は無いので、初期の手当が重要です

 子供を連れたお客様が『キズニコ』と絆創膏をレジに持ってきたさいに、もしかして本当は『マキロンs』を探していたのではないかと思い、念のため『デシンA』も交えて紹介し、違いを説明した。
 うちのお店では、指定医薬部外品の『キズニコ』は絆創膏等の衛生用品の売り場に並べてあって、第3類医薬品となる『マキロンs』と『デシンA』は消毒薬の棚に置いてあるため、衛生用品に直行していると見落としているお客様がいたりする。
 ちなみに、『オロナインH軟膏』を探し回っているお客様は、たいてい皮膚薬の棚を探して見つからず尋ねられるのだけれど、中身の処方は傷を治す成分が入っていなくてワセリンに消毒薬を混ぜた物だから、消毒薬の棚に置いてある。
 お店によって商品の仕分け方が違うから、初めて入ったお店では店員に尋ねたほうが良い。
 おっと話が逸れた。
 『キズニコ』は消毒成分だけが入っているのに対して、『マキロンs』は消毒成分に皮膚を修復する成分が足してあり、『デシンA』は消毒成分と局所麻酔という構成。
 考え方の一つとして、ピアスの穴の消毒には修復成分は不要だし、小さい子供には傷口の疼きを抑える局所麻酔が入ってたほうが良いというように使い分ける。
 今回のお客様は、子供が転んだばかりとのことで、傷口は大したことないというため、水道水で洗えば充分と伝えたところ、絆創膏のみお買い上げいただいた。
 怪我や傷で心配なのは患部が化膿することだから、抗生物質の塗り薬があったほうが安心で、わざわざ消毒薬を用意するというのは医師から指導されたか、綺麗な流水が確保できない野外活動などのときに限られる。

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 お客様から火傷の薬を求められ、家に『オロナインH軟膏』があるというので、先に使ってみてはどうかとお話した。
 先にも書いたように『オロナインH軟膏』には治す成分は一切入っていないが、実のところ火傷を治す薬なる物も存在しない。
 患者自身の掌を広げた大きさより患部が広かったり、深くまで火傷していると思われる場合は救急車を呼ぶか救急診療を受けるのが最優先。
 それより軽度であるのなら、とにかく流水で30分以上冷やすしか手はない。
 この時、急激に冷やそうとして氷を患部に当てるのはNG。
 急激に冷やすのは、火傷と同じく皮膚を刺激して損傷するのと同じだからだ。
 また、『熱さまシート』や『冷えピタ』などは患部から熱を奪う気化熱を奪う冷感でしかなく、持続的に冷やすのとは違うので役に立たない。
 患部への刺激を避けるため、水道水などの流水を患部から少し離れた上部から当てて、優しく、そして持続的に冷やしていく。
 火傷で訪れた患者さんに冷やして時間を尋ねると、たいてい5分くらいと短いが、慌てて薬を買いにくるよりも30分以上冷やすのを優先してもらいたい。
 そして、その後は患部を保護する。
 気になって患部を触ったり、服とこすれたりしないよう『ワセリン』や『オロナインH軟膏』を塗り、患部の大きさに合わせて絆創膏、あるいはガーゼで覆う。
 もし患部が疼くようであれば、『メモA』など局所麻酔の入った塗り薬を使うことも考えられる。
 炎症を抑えるためにステロイド剤を使うのは、副作用として患部の免疫力を弱めて皮膚の再生を阻害してしまうから勧められないものの、手元に『クロマイP軟膏』のようなステロイド剤と抗生剤を合わせた薬があるのなら、使っても構わないだろう。
 火傷で怖いのは、患部が菌に感染して化膿することなので。
 そのためお客様にも、患部が可能した場合には抗生剤を使うよう伝えたところ、すでに患部がジュクジュクしてるというため『テラマイシン軟膏』を案内して、お買い上げいただいた。
 火傷もそうだが風邪薬などを求めるときも、“病名”より“症状”や“状態”の情報のほうが大事なので、自身が患者であればその説明を、患者の代理である場合にはよく確認しておいてもらいたい。

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 お客様からご主人の湿疹の相談を受け、病院で処方された薬を使っていたというため、医師がどのように判断したかを知るのにも薬の種類の情報が必要なことをお話して、ご主人に電話で確認していただいた。
 するとステロイド剤であることが分かり、さらにヒアリングしてみるとか患部に傷があるとのことだった。
 おそらくステロイド剤が処方されたのは、弱い薬を長く使うよりも強めの薬で症状を抑える方針と思われるため、症状が和らいだら薬も弱い物に乗り換えていくステップダウン方式があることを説明をしたうえで、消毒薬入りの『プレバリンα軟膏』をお買い上げいただいた。

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