「充血取り」の目薬の使いすぎに注意! お客様の選んだ薬に、どこまで介入して良いのかという迷い

 若いお客様が『ロートリセb』をレジに持ってきたさいに、充血があるのかを尋ねると「いつも使っている」というものの充血は無いとうため、主成分である塩酸テトラヒドロゾリンのリスクについて説明したところ、興味を持ってもらえた。
 製品によって濃度が違うので、一概に同様のリスクがあるとは言えないが、「充血を治す薬ではない」というのは知ってもらいたいところ。
 効能に「充血の除去」とある目薬の多くには、この成分が入っているのだけれど、やっているのは「血管を収縮させて、血が通らないようにしている」だけ。
 つまり、充血していないように見せかけているのだ。
 そのため極端に連用していると、ただでさえ細い目の血管が狭くなり、栄養が行き渡らず眼精疲労の原因になるばかりか、細い血管が固くなって充血する原因にさえなってしまうのだ。
 だから、1週間のうちに「今日は出かけないから使わない」というように、休息する日を入れてもらいたい。
 今回のお客様の主訴は目の疲れだったので、ビタミンB6が担うことを説明し、他に目の材料となるビタミンAと、血流を良くするビタミンEが入っている『スマイル40 EX 』を勧めて変更となった。
 また、効果的な目薬の点し方も教えると、喜んでいただけた。
 目薬を点してからも、何秒間か顔を上に向けているという人は要注意。
 そうしていると、目薬は鼻の裏を通って喉へと流れ込んでいき、肝腎の目に薬液が残らない。
 瞬きをするのも駄目で、それをすると睫毛に薬液が持っていかれてしまう。
 そして、目から溢れた目薬をティッシュに吸い取らせるのはもってのほか。
 一部の目薬は、「瞼に付いたら拭き取る」という指定があるが、ビタミン剤やコンドロイチンなどの修復成分が主体であれば、いっそ目元に塗り拡げてしまった方が肌のためにも良い。
 とにかく、目薬を点したら閉じ込めて目に行き渡らせたいから、目を閉じて少し下を向き、重力に任せて5分ほどそのままにしておくのが、もったいなくない使い方である。
 下を向いたままであれば、瞬きをしても表面張力によって薬液が睫毛にもとわりつくので無駄にならない。

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 常連のお客様が『南天のど飴』と、喉を殺菌する『ポピショット』を購入されるので、念のため前者は喉の炎症を抑えるというより喉を開いて自身の唾で潤し、後者は体を守る菌も殺してしまい、刺激物でもあるため喉が痛むときには向かないことを伝えたところ、「いつも使っている」とのことだった。
 情報提供したら、そこから先は患者さん自身の選択である。
 私としては、喉が痛むのであれば『南天のど飴』は効果が弱いから『パブロントローチAZ』や『マードレトローチ』のような抗炎症成分が入っている物を勧め、喉のスプレーも抗炎症成分の入った物を勧めたいところ。

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 高校生のお客様から、コンタクトレンズをしたまま使える目薬を希望され、主訴は目の乾きで他の症状は無いというため、『NewマイティアCLクール』を案内し、お買い上げいただいた。
 まぁ、要するに涙に近い塩水である。
 ソフトコンタクトレンズに悪影響があるのは一部の抗炎症成分で、例えば『ロートアルガードコンタクト』と『ロートアルガード』を比較すると、前者は後者から炎症を抑える成分が抜いてあり、炎症に対して効果が劣る。
 コンタクトレンズをしたまま点したいという気持ちは分かるけれど、目薬を点して15分ほど離せばコンタクトレンズをして構わないので、裸眼で使う目薬を使ったほうが効果的。
 そして、このことからも分かるように実は目薬は極めて短時間で、目から追い出されてしまう。
 これは、人間の異物を排除しようとする力が優れている証拠でもある。
 なので、先にも書いたように目薬を点したら5分は閉じ込めて行き渡らせる必要があるのだ。

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