下痢をしていないのに下痢止めを使う理由を知りたい

 やや高齢のお客様から『ヘパリーゼHiプラス』をレジに持ってきたけれど、旅行に持っていくというお話とアルコール対策だというので、『ヘパリーゼHiプラス』は疲労向けの処方内容であり、価格からするとアルコール対策に使うのはモッタイナイとお話した。
 そこでアルコール対策には『ヘパリーゼプラス2』の小分けを勧めて、脂っこいものを食べた時のためにと『タナベ胃腸薬ウルソ』を紹介したところ、『ヘパリーゼHiプラス』を取り止めて、後の二つをお買い上げいただいた。
 特に、『タナベ胃腸薬ウルソ』は面白い胃腸薬。
 食べ物を消化するのは胃を思い浮かべがちだけど、肉や脂質などは腸で消化をし、その消化には胆汁酸が使われる。
 そして腸の消化力が落ちると、胃から食べ物が送られてくるのをストップさせるため、これが胃もたれを起こす。
 胃の機能が低下した時の胃もたれには胃薬が有効な訳だが、腸で消化しきれなくて滞っている場合の胃もたれには胃薬では対応できないことがあり、その時に使えるのが『タナベ胃腸薬ウルソ』なのだ。
 というのも胆汁酸は体の中でグルグルと使い回しされていて、車のオイルが次第に汚れてくるように胆汁酸もまた劣化してくる。
 体が正常であれば再生産されて大丈夫なのだけれど、アルコールなどで肝臓が酷使され機能が低下してくると、それもままならない。
 『タナベ胃腸薬ウルソ』の主成分であるウルソデオキシコール酸は胆汁の主成分でもあり、これを摂取することで、いわばオイル交換をするんである。
 だから『タナベ胃腸薬ウルソ』は、胃もたれの症状がある時だけでなく、一週間分なら一週間、2週間分なら2週間通して服用するのが効果的。

 常連のお客様が来店し、勤務先の若い人から『ストッパ下痢止め』を頼まれたとのことだったのだが、腹痛のみで下痢はしていないというお話だった。
 腹痛だけであれば『コムレケア』(芍薬甘草湯)が使えることを説明したうえで、『ストッパL下痢止めEX』の方になら筋肉の痙攣を抑える芍薬が入っていることを伝えると、『コムレケア』は自分用にと両方購入された。
 それにしても、下痢をしていないのに下痢止めを使うというのは、どういう発想なのだろうか。
 どうにも、そういうのを察するのが私には欠けている。

 お客様から『アイリスCL-I ネオ』を、コンタクトを使ってなくても良いか尋ねられたので、大丈夫とお答えしてお買い上げいただいた。
 コンタクト用の目薬は、別にコンタクトそのものに影響させるための成分が入ってる訳ではないから、目的の効能が得られる処方ならば、コンタクトをしていない人が使っても問題は 無い。
 ただ、ただこうして確認してもらえるのは良いことである。
 ついでながら、お客様に目薬をさしたら目を閉じて下を向くように伝えると「なるほど」と感心された。
 目薬をさしたまま上を向いていると鼻孔を通って薬剤が喉に落ちてしまい、肝心の目に残らない。
 目を閉じて下を向けば、重力に引かれて目の周囲に薬剤が行き渡る。
 メーカーの研究員さんの話によれば、そのまま1分ぐらいは目を閉じていて欲しいそうだ。
 ……1分は長いなぁ(^_^;)

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