≪通巻33号≫
“良く効く薬”とは?/JPS製薬全国大会レポート/JPS製薬栃木工場見学レポート

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  ★彡☆-=★彡  それさえもおそらくは平凡な薬局  ★彡☆-=★彡
                  ≪通巻33号≫
  提供 : まぐまぐ http://www.mag2.com/
  発行 : 北園薬局 http://plaza2.mbn.or.jp/~kitazono/
  編集 : 北村俊純
  窓口 : kitazono@a1.mbn.or.jp
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~~~~~~~~~~~~~ 今回の日記の主な話題 ~~~~~~~~~~~
※11月1日(土)……“良く効く薬”とは?
※11月2日(日)……JPS製薬全国大会レポート
※11月3日(月)……JPS製薬栃木工場見学レポート
************************* 今回の平凡な日記 ***************************
◆11月1日(土)/2003年◆
 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)を求めて患者さんが来店。
 風邪のひき初めとの事だったが、葛根湯(かっこんとう)の方は家にあり、すでに飲み始めているそうだ。
 今回は、さらに症状が進んだ時に備えて柴胡桂枝湯を買いにみえたという。
 進まなければ良いが、備えは大事。備えあれば憂い無しである。
 旦那さんが胃が痛むという事でお客さんが相談にみえた。
「良く効く薬をちょうだい」と言われたものの、もう少し細かな情報が無いと選びにくい。
 症状や体質に合う薬が“良く効く”のであって、薬の方で“良く効く”という物は無い。
 空腹時に胃が痛くなるようだと胃酸過多だったりするが、食べると胃が痛むとの事。
 また、体格はいい方なのだが風邪をひきやすいらしい。
 食べ過ぎて胃が痛くなるようであれば胃熱が考えられるから半夏写心湯(はんげしゃしんとう)を服用しつつ、痛みが強ければ芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を合わせて飲むように勧めた。
 ちなみに、胃潰瘍があったり風邪をひいているようであれば柴胡桂枝湯の方が良いだろう。
 近所の患者さんの家のパソコンが故障したようで、ちょっと見て欲しいと頼まれて訪問した。
 パソコンが起動しないという事だったのだが、HDD(ハードディスク)のランプが点灯せず、BIOSもチェックしたものの、どうにも原因が分からない。
 急ぎでプリントアウトしたい物があるという事で、じゃあ代わりにウチで入力して差し上げましょうと申し出た。
 安請け合いもいいところである。プリントアウトしなければならないという物が、名簿なのだ。名前の入力は漢字変換で意外と手間がかかる。
 できれば明日にでもという事で、正直ウゲェと思った。
 明日は私もJPS製薬の全国大会に出席しなければならないのに、今から間に合うかしらんσ(^◇^;)。 
 その後は美容院で散髪して、新調したスーツの裾上げを頼んでおいた紳士服のお店に行った。
 新調したと言っても、今まで来ていたのとあまり変わらないデザインで茶系のスーツ。
 本当は、20代の頃に購入したのと同じ若草色のスーツが欲しかったのだが、時はバブル絶頂の頃で、現在はそのような明るい配色のスーツは無いとの事。
 仕方なく、紺や灰色を排除していくという消去法で選んだ。
 なにも不況だからって、暗い色のスーツを買う事もないと思うのだがなぁ。こういう時代こそ、明るい雰囲気を自分で演出した方が良いのではないか。
 しかし、さんざん探し回ったにも関わらず、仕立てるための生地からして明るい色が無く、断念した次第。
 奥さんにも、お母んにも「同じようなのを買ってもしょうがないでしょ」と言われたが、とりあえず着ている人が少ない配色の方が、会った人に覚えてもらえる。
 家に帰ってから、ダダダダダという勢いで引き受けた名簿をパソコンに入力していく。
 ところが、体調が思わしくなく落ちそうなほどの眠気に襲われて中断。
 続きは朝にやる事にして、ゴソゴソと寝床に入った。
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◆11月2日(日)/2003年◆
 早く起きるつもりが起きられず、朝食もそこそこに名簿の入力の続き。
 名前の漢字変換に悪戦苦闘。IMEを人名優先にしても、結局のところ人名に使われる漢字の読みは一発で変換される事は少なく、別な読みで一文字ずつ変換する事になる。
 なんとか頑張ってみたものの、あと三分の一を残して出発時間になってしまった。
 会場はJR新横浜駅の近くの新横浜プリンスホテルなので、方向音痴の私でも駅から道に迷う事は無いだろうが、いかんせん電車の接続時間によって1時間半で到着するか2時間かかるか幅が広くて見当が付かない。
 泊まりだというのに泊まりの用意もしてなくて(馬鹿だねどうも)、慌ててバッグに必要な物を詰めて家を飛び出した。
 駅に向かう途中で、頼まれていた名簿の方は明日届けますと電話で連絡。電車の中でやる算段。大甘である。
 行きは電車が込んでいて座ることができず、当然作業もできなかった。
 しょうがない、ホテルの部屋でやるか。
 道に迷わないはずが、JR新横浜駅の目の前には『新横浜国際ホテル』があり、『横浜プリンスホテル』を捜すハメに。
 http://www2.princehotels.co.jp/app_room/piq0010.asp?hotel=015
 おそらく混乱を避けるためなのだろうがJPS製薬からの案内状には、『新横浜国際ホテル』が書いてなくて、『新横浜プリンスホテル』との位置関係が良く分からない。
 ぐるりと周囲を大きく回って、30分遅れで到着した。
 社長の挨拶などはすでに終わった模様。大抵の社長挨拶は聞いても役に立たない事が多いので、まぁ良し。
 ちょうど特別講演が始まったところで、講師は木村政雄氏。吉本興業で、やすし&きよしのマネージャーを務め、吉本新喜劇を立て直して東京進出を果たした立役者である。現在は吉本興業を退社して、フリープロデューサーとして活躍しているようで、吉本興業を退社したのは偉くなって現場を離れてしまう事が、逆に自分の“賞味期限”が切れるかのように思っての事らしい。
 そんな木村氏の今回の講演のテーマは、「不透明な時代を打ち破る、オンリーワンのすすめ」というもの。不況になってからというもの、この「ナンバーワンよりオンリーワン」というのは良く言われている言葉。
 しかし、いかにも旧態依然としたJPS製薬には合うんだか合わないんだか分からないテーマだな(笑)
 http://www.jps-pharm.com/index.html
 木村氏は、かつて日本マクドナルド社の藤田田氏が言った「富国強兵から富国楽民」という言葉を引用し、「人間の背の成長は二十代で止まっても人格成長は続く」と説いて、常識を捨てて新たなモノを獲得していく時代になったと力説する、いかにも芸人を育ててきたという感じで、普通の会社人とは違う印象。
 人格が成長するものかどうかは、やや疑問だが(苦笑)。
 それとは別に、歳をとっていくと人間は「否定する事でしか自分のアイデンティティを持てなくなる」という言葉には同意できるが、それがマイナスになるという捉え方は私は賛同しかねる。
 年寄りが若者のする事にあれやこれやと文句をつけてくれないと、今度は若者の方が自分の立ち位置を見失ってしまう。若者は、年寄りに反発する事で自分のアイデンティティを確立していくのだから。
 私が特に「そうだそうだ」と思ったのは、今まではライバルは同業同士だったが、これからは異業種間で競っていく事が必要という話。
 その例えとして、吉本興業の東京進出の話を持ち出した。
 吉本興業はかつて“お笑い”という同じカテゴリーの中で勝つ事を目指してきたが、時代とともにジリ貧になっていくばかり。そこで、ライバルをジャニーズと定めて新しい展開をしていく事で吉本興業は東京進出を果たして成功する事ができたという。
 日本人は、奇妙な仲間意識を持つという事の例えでは、タイタニック号の話を持ち出した。
 実際に以下のやり取りがあった訳ではないだろうが、沈みゆくタイタニック号で数に限りがある救命ボートに女子供を優先的に乗せるにあたっての国ごとの説得方法の違いに笑う。
 ドイツ人には、「規則ですから」。
 イギリス人には、「貴方は紳士でしょう」。
 アメリカ人には、「ヒーローになりたくありませんか」。 
 そして日本人には、「みんなそうしてますよ」。
 そして木村氏の話の中で何度も何度も繰り返し出てきたのが“賞味期限”という言葉。人間にも賞味期限がある。その賞味期限を延ばすためには、自分を変えなければならない時があると。
 現在は画家になったジミー大西は、芸人としての伸びは限界に近づいていたが、画家への道を選ぶ事で新しい人生が拓けた。
 やすし&きよしは初めはやすしがツッコミで、きよしがボケをやっていた。
ところがやすしが不祥事を起し再び漫才界に戻るには、何か違う味付けをしなければ難しい。そう判断した木村氏はツッコミとボケを入れ替えるように勧め、それによってやすし&きよしの漫才コンビが延命したという。
 また、島田伸介をニュースキャスターに推したのも木村氏だそうである。暴走族あがり(この一点だけで私は大嫌いなのだが)のイメージを払拭して新しいファンを作らなければ寿命が尽きると読んで、テレビ局側に持ちかけたのだとか。意図からすれば、大成功である。(でも嫌い。)
 特別講演が終わり、おそらく社員の女性だと思うのだが「素晴らしいお話をしていただき、新しい事に挑戦する大切さを教わった気がします」と感想を述べた。でもそれを、原稿に目を落としながら棒読みしてどーする(笑)
 講演の内容とは関係無いが、ジミー大西が病院で点滴を受けた時に女友達から電話があり、早く会いに行きたいと思ったジミー大西は点滴の残りを飲んでしまったというのには爆笑(笑)
 そりゃあ、飲んでも害は無いかもしれんが(無いことも無いけど)、飲むかね普通。
 ちなみに私は私で入院中に、「この点滴、甘すぎて気持ち悪い」と言って種類を変えてもらった事がある。
 その時の看護婦さん曰く、「点滴の味を言われたのは初めてです」との事。
 だって、ホントに甘い味が口の中でしたんだもん(^_^;
 休憩を挟んで、特に売り上げの伸びたお店による報告。
 そもそも立地条件が違ったりして参考になる事は少なかったりするものの、双参(そうじん)を風邪の漢方薬とセットで販売するというのは、なるほどと思う。
 ウチでも風邪用漢方薬セット(症状別・医薬品)を始めたが、双参とのセットも加えてみようか。
 それと、「来るのが楽しいと思える薬局」というのは大いに頷いた。
 そもそも薬局は病気や怪我をした時に用がある所で、本来ならば用が無いにこした事ない。そして、一度治れば次に体調を悪くするまで普通は来ないという、商売としては矛盾を抱えている。
 そこで大手のドラッグストアーでは、薬と相反するんじゃないかと思えるような、あまり健康によろしくない菓子類などの販売を行う事で、顧客の獲得に成功している。
 実店舗の方は小さいので、ちょっと畑違いの物を置くスペースは無いし、なにも体に良くないと分かっている物を置くつもりも無いが、ホームページの方は薬を求めに来る人ばかりではなく、何か別な楽しみで来てくれる人を開拓したいところ。
  
 その後さらに、痛みに関する漢方薬での治療や新商品の紹介などがあったのだが、まとめないと混乱するだけなので割愛。
 3~4時間ほど勉強と相成ったものの、内容に対する時間が不足しており、いや正確には時間に対して内容を詰め込み過ぎてて駆け足気味だったため、結局は時間が無駄になった感じ。抜け出して、近くのビッグカメラにでも行ってれば良かった=3
 食べるのが楽しみな私としては、今回参加したのは夕食が目当て。(あとは、明日の工場見学。)
 JPS製薬の全国大会には初参加なため顔見知りは地元の薬局の人たちくらい。地区別のテーブル配置だったが、誰が誰やらまったく分からない。
 そこで、苦手だけれど少々挨拶回り。どうぞヨロシクお願いします。何をヨロシクするのは自分でも良く分からんが。
 各支部の支部長が壇上にあがって乾杯……というのは、やはり定番なのだろうか。儀式といえばそれまでだが、古臭い印象は否めない。
 http://magical-shop.web.infoseek.co.jp/photo/200311/index.html
 オードブルは、サーモンやハムなど。それからリンゴを甘く煮たもの。期待していなかったけど、美味しくて満足。
 食べるのが好きな割りには詳しくなくてなんだが、まぁ食べ物は頭で食べるモノじゃないのでと言い訳。(誰に?)
 刺身も美味しかったと私は思ったのだけれど、何故か残す人がいて譲ってもらった。意地汚いことこのうえない(苦笑) 
 スープは、おそらくフカヒレスープ。とろみが付いていて、飲むほどに食欲が増す感じ。
 サラダは、帆立貝とブロッコリー。ドレッシングが軽めのもので、素材の味が楽しめたのが好印象。 
 メインディッシュは牛ヒレよりも、添えてある黄色い揚げ物の方が美味しかった。なんだったんだろう(^_^?
 ホテルでの料理の〆に茶蕎麦が出る事があるが、これは感心しない。ツユに入れられているせいで、麺が伸びており、口の中でボソボソとして今までの料理が台無し( ̄^ ̄)
 デザートには、チーズケーキ、
ストロベリーケーキ、チョコレートケーキの3種類が用意されており、好きな物を選べるということで、3つとも食べてしまった(苦笑)。甘さ控えめで美味しかったんだよぅ(^_^;
 そして、給仕をするホテルマンの方だが若手のホテルマンは「少々お待ちくださいませぇ」とか「畏(かしこ)まりましたぁ」と、語尾伸ばしと語尾上がりの合わせ技で、まるで居酒屋のようだった。
 言葉遣いには私は拘(こだわ)らないけれど、できれば“非日常”の演出は心がけて欲しいところ。せっかくの料理が、一気に大衆酒場のオツマミになってしまう。
 ただし、言葉遣いと心遣いは必ずしも一致しない。
 頼めばワインなどの飲み物は持ってきてくれるのだが、忙しそうなのを煩わせるのもなんなので、自分で飲み物のカウンターに取りに行った。
 何度かそうしていたら、若いホテルマンはすかさず他の手を休めて注文を尋ねたり、「お注(つ)ぎします」とグラスに注いでくれたりした。
 ところが、上の人間らしいホテルマンに「(ワインの)白はどれですか?」と尋ねたら、ふんぞりかえって「こちらです」と瓶を手で示すだけ。何か別な作業をしている訳でもない。ニコリともしない。なんなんだ、この偉そうな態度は(-_-メ)
 言葉遣いの丁寧さよりは、心遣いの方がいいなぁ。
 食事の後には別室にて軽食をつまみながら親睦会。
 そこでも他のお店の方たちにご挨拶。
 丸テーブルに椅子が置いてあるため、皆座ったら動こうとせず、イマイチ交流の場になっていないように思う。
 座りたい人のための椅子は壁際に並べて、立食のようにした方がいいのではないか。
 それでもホームページを開設しているお店の人たちと、しばしホームページの活用の仕方と、苦労話などの情報交換。
 インターネット上では、他店との値段の比較が容易なため、価格で競争してもまず勝てない。
 一方で親身な相談で信用を得ていくにしても、インターネットで相談してくる患者さんの多くは、他の病院や薬局での治療が思わしくなくてという難しい症例だったりする。
 それぞれのお店で得意分野があったりするので、その辺りでの連携を模索しつつ、ホームページへのリピーターを増やす方策も考えなければならいなだろう。
 酔いが回りすぎて頭がクラクラしてきたため早めに部屋へ辞去。
 ニュース番組はあらかた終わっていて、今日一日の世相は分からずじまい。
 たまには、そんな日もいいか。
 そして、お約束(?)の有料放送でアダルトモノを観てみた。どうしてホテルに泊まると観てみたくなるのだろうか。男って馬鹿だねぇ(私だけ?)。
 しばらく観ないうちに、ずいぶんと過激な内容の作品がホテルで観られるようになったんだなぁと妙な感心。
 高校生の頃に修学旅行でホテルに泊まった時には、あらかじめ観られないようにスクランブルがかけてあったのだが、かけ忘れたらしい部屋があって、何人かが集まって観たものである。今思い出しても、わざわざ有料で観る必要も無いソフトな内容ではあったが、先生に隠れて観るのが楽しかった。
 翌日、視聴した分の料金が発生して、先生にはバレバレであったけれど(笑)
 ………あっ、頼まれていた名簿作成の続きをやるのを忘れてた(^-^;;;
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◆11月3日(月)/2003年◆
 今日はJPS製薬の工場見学に行くという事で、6時半に起床。
 7時集合なので、急いで支度して2階のレストランに向かった。
 http://magical-shop.web.infoseek.co.jp/photo/200311/02.html
 朝食はバイキング形式。
 えてしてバイキング形式は、取り放題でも有難くないほど不味かったりするのだが、ここはハズレ無し(∩_∩)
 できればもう少しゆっくりと味わいたかった。
 ロビーに集合したものの、集まりは良くない様子。
 JPS製薬の社員が、参加予定者をロビーに集めるのに奔走していた。
 待っている間に、ロビーに展示してあったホテルの模型を撮影。
 どうせなら、近くを走っている新幹線などの模型も一緒に組み合わせて作ってあれば面白いのにな。 
 参加者が揃ったところでホテルを出発。
 関東地区で工場見学を希望したのは私だけだったらしく、九州地区の人たちと同じ班になった。
 JR新横浜駅から東京駅で乗り換えて宇都宮駅へと向かう。
 たかだか新横浜駅と東京駅の間を新幹線で行くなんて、普通はしないだろう。わずか10分の乗車。なんだか、ものすごく贅沢な事をしたような気分。
 途中で品川駅に停車して、「そういえばそうだった」と思い出した。“新幹線品川駅開通フィーバー”は、今はいずこへ。
 東京駅で乗り換える時に、乗車券と特急券と乗り換え用の乗車券の3枚を自動改札機に通すように駅員から案内された。
 自動改札機の挿入口を見ると、手書きで「3枚同時にお入れ下さい」とある。なぜ手書き(笑)?
 引率する営業マンのT氏からは、「若先生、若先生」と何度も呼ばれたが、こういうのに慣れると人間ダメになるんだろうな。気をつけよう。
 宇都宮駅で観光バスに乗り換えて、JPS製薬の栃木工場へ到着。
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 周りには民家らしい民家は無く、ホンダなどの様々な業種の工場が立ち並んでいた。
 ただし、工業地帯という感じでなく、空気も良い。また、排出する水に関しては厳しい規制が設けられており、そのお陰で近くを流れる鬼怒川も綺麗なのだそうだ。
 それと、この近くにキリンビールの栃木工場があるとも教えられた。以前にアルバイトをしていた事がある。
 何をしていたかというと、瓶の蓋のチェックである。ベルトコンベアーを流れてくる瓶の蓋を見つめ、異常が無いかを4人一組で目視確認をするのだ。
 異常を発見したらその瓶を取り除くのだが、ベルトコンベアーを止める訳にはいかないので、瞬間的に手を動かして取り出さなければならない。そして、異常が無かった場合は元の位置へ戻さなければならない。
 最初の頃は取り損なったり、異常が無い物を戻すのが遅れ、何度かベルトコンベアーを止めてしまった。
 恐ろしく集中力が必要で、まばたきをした瞬間に目の前を通り過ぎてしまうため目は開きっぱなしで、15分づつの交代でこなしていた。
 懐かしいなぁ。2度とやりたくないなぁ(苦笑)。
 工場では、所員の方たちが出迎えてくれた。今日は休日のはず。休日出勤という事だろうか。
 工場内では写真撮影はできないという事なので、外観のみを写真に収めた。
 生薬の標本なんか、ぜひ写真に撮りたかったのだが、残念。
 工場の中を見学する前に、工場の概要の説明などを聞く。
 科学的な合成薬と比べて漢方製薬の難しい点は、原料が天然なため成分の含有率が一定でないこと。しかし、製品はもちろんグラム中の成分量は一定でなければならない。
 また、同じ原料でも色や匂いが違ったりするのだが、服用する方は色が毎回違ったりすれば不安を感じてしまう。だから、色や匂いを安定させるというのにも工夫をしている。
 さらに生薬のほとんどはいわば農作物と同じなので、洪水や虫害などの被害が出た場合に備えて、複数の産地と契約している。しかし、産地が違えばやはり成分の含有量も色や匂いが違うのはもちろん、農薬の使用状況も異なるため、入荷した材料に対しては納入業者の申告だけに頼らずに自社で厳しい検査を行っているとの事。
 そして、生薬の中には通常1g中に10の100万倍個もの細菌がいるそうで、それを熱処理で1g中に10個~100個程度になるように殺菌するのだという。この時に、細菌は殺しても有効成分がダメにならないようにするのが、技術的に大変だったようだ。
 そしていよいよ、工場の内部を見学。
 白衣に着替えて帽子とマスクを装着すると、まるでパナウェーブ研究所の関係者みたいである(笑)。
 手を洗って空気洗浄室を通ってから工場の中に入った。
 空気洗浄室は狭い部屋なので2人ずつ入って下さいと説明されていたのに、3人で入るオッサンもおるし(苦笑)
 工場内部は気圧が高く、外部の空気が入らないようになっているそうで、確かにやや耳がツンとする感じ。
 なんだか漬物工場でアルバイトをしていたのを思い出した。漬物工場では、午前中に漬物をどんどん作っていって、今度は午後いっぱい時間をかけて機械の洗浄をするという、神経は使うは肉体的には疲労困憊になるはで大変だった。
 ………なんか、色々やってるな、オレσ(^◇^;)。
 見せてもらったのは麦門冬湯(ばくもんどうとう)を造る過程。
 麦門冬湯の原料を機械で攪拌(かくはん)しているところでは、思わず拝んでしまった。なにしろ喘息持ちの私にとっては命綱である。
「いつもお世話になっています( ̄人 ̄)」
 
 工場の内部は細い階段が入り組んでおり迷路のよう。
 置いてかれたら、自力で出入り口にたどりつける自信が無い。
 殺菌処理を終えて乾燥させている機械の中を覗かせてもらうと、乾燥機のように高速で回転していて、横殴りの雨みたいに見えた。1時間で約8tの水を飛ばすそうである。そうする事で、成分の分解や酸化を抑えるのだそうだ。
 葛根湯(かっこんとう)のように糖類の多い漢方薬の場合は、壁に付着してしまい、かなりのロスが出るらしい。また、大黄(ダイオウ)のような生薬が含まれていると、黄色い色が付着してしまい、機械の洗浄が大変との事。
 
 乾燥処理をした後には圧力をかけて板状にしてから砕くという工程を3回繰り返して顆粒にする。
 板状の漢方薬をポリポリ食べられたら面白そうだけど、味付けが問題か。
 顆粒の場合の製品チェックも厳しいが、錠剤の方もかなり頻繁にサンプルとして取り出してチェックをしていた。錠剤の場合は、成分はもちろん大きさも専用の定規で測っている。
 見学していて気がついたが、原料の投入や機械の清掃、品質チェックまで、ほとんどが手作業だった。
 特に原材料の異物検査では、ベルトコンベアーを流れてくる原料の中から規格に合わない物を手で排除している様子を見させてもらったが、排除した方のどこが悪いのか皆目分からない。経験が頼りというところか。
 金属類などであれば磁石を使って取り除くという事も可能だが、他の植物の根だとかそういう物はどうやったって機械的に排除するというのは、やはり難しいのだろう。
  
 倉庫の方へ移動すると、厳重な温度と湿度管理の下で原料となる生薬が山積みにされていた。
 生薬の匂いがするという事は空気中に成分が漂っているという事だと思うのだけれど、という事はもしかしてここにいると健康にいいのかな(笑)
 一部の箱のラベルを見ると、輸出元の欄に北朝鮮と書かれていた。万景峰(マンギョンボン)で運んだのかな。
 麻薬の輸出元としても有名な北朝鮮だが、“業界”の人の話によると質はあまり良くなくて、末端価格もそれほど高くないのだとか。値段が安いから中高生でも入手しやすいのかもしれないが、どうせ麻薬なんて体に悪い物を使うのなら、せめて質の良い麻薬を使いたいものだ。(不謹慎)
 しかし、漢方薬の生薬としては北朝鮮の作物は悪くないらしい。軽水炉の援助なんかよりも、漢方薬の生産技術を向上させるための支援なんかも良いのではないだろうか。
 研究室の方も案内してもらい、そこでは品質管理のためのデータの分析と、新製品の開発が行われていた。
 新製品を販売するためには、国に申請してから審査が通るまで1年以上かかるとの事。という事は、開発期間も入れると3年以上はかかるという事か。
 資料室には膨大な文献と製品のデータがあり、服用による事故や苦情があった場合には、この資料室にある情報とつき合わせて調査をするそうだ。
 最近では『プロジェクトX』が流行った事もあり、商品開発の苦労話などは一般の人もかなり興味を持ってくれる。その辺りのお話もぜひ伺いたかったのだが、残念ながら今回は時間が無かった。
 工場長さんには、ぜひそのうち取材をさせて下さいとお願いした。
 工場見学を終えて、昼食を食べるためにバスが出発すると、昼食を予定しているお店に着くまで、営業マンが俄(にわ)かバスガイドを務めた。私が乗車したバスの担当者は関西出身の人なのだが、人前で喋るのが苦手な様子。関西人の皆が皆、芸人さんという訳ではない(苦笑)
 なのに、おそらくインターネットで事前に調べたのであろう、栃木県の県名の由来や名産物の解説をしていると、江戸時代に統治していた殿様は誰かという質問が参加者から出た。
 そんなの聞かれたって分かる訳ないだろが(笑)
 しかしそこは営業マン、「帰るまでに調べておきます」と答えた。偉いなぁ。
 http://www.pref.tochigi.jp/
 昼食は『宇都宮餃子館』。
 http://www.rakuten.co.jp/gyozakan/
 ものすごく交通の便の悪い所にあるのだが、それでも来る人がいるという評判のお店らしい。
 お店の入口には、なんともコメントに困る石像が。『スタミナ健太』という名前で、このお店のマスコットキャラだそうだ。可愛い顔して、チカラコブが逞しいところがイカシてる(笑)
 食べたのは餃子定食とでもいうのか、蒸し餃子・水餃子・焼き餃子のセットでボリューム満点。
 とりたてて美味しいとは思わないが、悪くもない。『ナンジャタウン』の餃子スタジアムに出店しているお店の方が美味しいかも。
 ところで、私だけ焼き餃子が出てこなかった(T-T)
 私って、そういう目に当たりやすいのか?
 注文した烏龍茶も来ない(;_;)
 とりあえず焼き餃子だけは席を立つ前に来たけれど、結局烏龍茶だけは来なかった。
 なので、ここでお土産を買うのはやめてしまった。
 JR宇都宮駅で解散して、帰りのホームに向かう途中でお土産を購入。
 Iちゃんからは御当地限定の『餃子キティ』のキーホルダーを頼まれていたので、それを買う。お店の人の話だと、やはり出張などで頼まれたという男性が買っていく事が多いらしい。
 ウチの奥さんには餃子とお菓子。食べ物の方が喜びそうなので(笑)
 体の方は疲れていたが、電車の中でゆっくり休んでいる訳にはいかない。頼まれていた名簿を仕上げて今日中に届けなければ。
 電車の中でノートパソコンを開けてババババと入力していく。
 途中で、普通電車なのに珍しく車掌の乗車券の点検があった。こんな所で作業をしている私もなんだが、集中している時に中断させられるのはやはり嫌なものだ。
 Suicaを使っているのでそれを示したら、特にチェックするでもなく「はい、結構です」と言われた。
 http://www.jreast.co.jp/suica/
 Suicaの電波の到達距離は意外と長いそうなので、早いところ示さなくても車掌が確認できるようにしてもらいたいなと思う。
 寝ている時に起されるのも不快だしね。
 
 なんとか名簿を仕上げて、家に帰ってからプリントアウトした物を先方に届けた。
 それでやっと本当に一息つけた感じ。
 奥さんにお土産を渡して、Iちゃんにも買ってきた事をメールで知らせて、夕飯を食べた後はお風呂に入るのも面倒になってグー。
 (_ _)(-.-)(~O~)ファ…(~O~)(-.-)
 ……ガク( -.-)( _ _)zzzZZZ。
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☆締切:2003年11月8日から4日間
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