薬のパッケージに書いてあるのは効能の一部です

 中学生の息子さんが、鼻炎と咳とのことで相談を受ける。
 鼻汁が喉に落ちてくるというので、咳はそれが原因かなと思い『辛夷清肺湯』を案内したのだけれど、パッケージに大きく「蓄膿症」と書いてあるため適応しないと思われたらしく、これまたパッケージに大きく「鼻炎、咳」と書いてある『小青龍湯』を購入された。
 ううん、鼻汁が喉に落ちるのは胃が弱っていて押し返す力が不足していると考えられるから、麻黄が胃に負担をかける『小青龍湯』は避けて欲しいんだけどなぁ……。
 漢方薬を分かりやすく売るために、効能の一部をパッケージに大書きするようになったんだろう。
 それはそれで必要な事とはいえ、勘違いしたまま買われてしまうのは、どう防げば良いのか(;´・ω・)
 以前に『ホームパスE』でかぶれたというお客様から、外用消炎剤の相談を受ける。
 いつもは、病院で処方された『モーラステープ』を使っており、そちらではかぶれた事はないという。
 『アンメルツヨコヨコ』でもかぶれたらしいので、サリチル酸メチルが原因かもしれないものの、店頭では断定のしようが無い。
 サリチル酸グレゴールが主成分の『GSリフェンダ』を試してもらう事にしたけど、思い切って他の薬剤の物にした方が良かったかな……。
 明け方に頻繁に足が攣るというお客様に、『芍薬甘草湯』を案内した。
 急激な筋肉の痛みや痙攣に使う物で、腹痛に用いる事もある。
 ただ、脹脛(ふくらはぎ)は「第二の心臓」と言われてるくらいで、足が攣りやすいのは心臓疾患が関係している可能性もあるため、内科で診察してみるように勧めた。
 実は、うちのお母んも足が攣りやすくて、病院に行ったら心臓の周囲の動脈の一部が詰まっており、結果としてその先の動脈が消失していたので心臓手術する事になった。
 担当医からは、消失した動脈の代わりに迂回路が形成されていたから、辛うじて心臓が動いていたそうで、「詰まってから二年、三年の話じゃないでしょうねぇ」と言われた。
 と言うか、消失した動脈の代わりに迂回路が形成されるとは、なんたる人体の神秘。
 でも、その迂回路が変な所に動脈を伸ばしていたから手術する事になったんだけど。
 なんたる人体の不完全。
 肩こりに温湿布を希望されたけど、今まで使った事が無いそうなので、トウガラシエキスの物は避けた方が良いかなと思い『フェイタス3.5α』を案内した。
 一緒に、上半身を温めて血流を改善する『独活葛根湯』を勧めてみたが、購入には至らず。
 とにかく、今のお店は漢方薬が弱すぎる。
 「外用消炎剤」という棚の括りは仕方が無いとしても、肩こりや腰痛の症状には、『独活葛根湯』の他にも『疎経活血湯』とか『桂枝加朮附湯』なんかも揃えた方が良いと思うのに、その手の物を置いていない。
 それらが、まとまって棚に置いてあれば、服用薬にも注目してれるようになるんじゃないかなぁ。

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