病院で処方されてる薬を使い切ってしまったら? 事前に医師への相談と、調剤薬局への相談を最優先で

 お客様から吊るすタイプの虫除けを尋ねられ売り場を案内しつつ、蚊には効かないことを伝えると、いわゆる「蚊柱」になる『ユスリカ』のようで、「川が近くだから?」と訊かれ「おそらくそうです」と答えた。
 ユスリカであれば、効果は期待できる。
 ユスリカは「カ」が名前に付いているけれど、人を刺して血を吸う蚊とは別物でハエの仲間。
 そして、『虫コナーズ』や『ウナ虫よけ当番』などは以前に消費者庁から怒られたことから、ユスリカには効いても蚊には効果が無いのをパッケージに記載するようになったものの、未だに知らない人が多く、お客様に伝えると驚かれる。
 今回は、他に部屋にスプレーするタイプで蚊に効く物を玄関に撒けば入ってこないか尋ねられたため、電気式の『アースノーマット』を勧めた。
 部屋ならともかく、人が出入りするうえ空間として開放されている場所に撒いても薬剤が拡散してしまうから、持続的に散布するほうが良いだろう。
 お客間は、寝室には『アースノーマット』を置いてあるそうだ。
 ひとまず玄関にも『アースノーマット』を置いて、ユスリカにも効くか試してみるとのことだった。
 一番確実なのは体に吹き付けるタイプの虫除けスプレーを塗ることとお話したけれど、面倒と嫌がられたので、効果は蚊から人間が見えなくなることを説明したら驚かれた。
「虫除け」と呼ぶから、匂いなどで虫が除ける物と勘違いされがち。
 でも、主成分のディートやイカリジンは蚊の感覚器官を狂わせて、人間を探知できなくするのだ。
 なので、体に吹き付けるだけど薬剤が付いていない部分は蚊から見えてしまうから、掌に出して服から出ている部分に塗り拡げたほうが良い。

 成人の親子のお客様から「薬剤師さんですか?」と声をかけられ、「違います」と応じてから「お話だけでも」とヒアリングしたところ、病院で処方されていた睡眠導入剤が切れてしまったため市販薬が欲しいとのことだった。
 そもそも市販されているのは睡眠補助剤(睡眠改善薬)であって睡眠導入剤ではないし、病院で処方されているとなると、安易に市販薬を販売する訳にもいかない。
 という事を言葉だけで説明しても、門前払いのようになって説得力に欠けるので、ワンアクションを挟むためにお薬手帳を見せていただくと、他にも抗うつ剤や抗てんかん薬など複数の薬が処方されてると分かり、「だから」市販の睡眠補助剤を使うのはやめた方が良いとお話した。
 そのうえで具体的に困ってることを尋ねると、夢を多く見て寝た気がしないというため胃腸の働きを助けて睡眠の質を保つ『加味帰脾湯』と、イライラしたり感情が動きやすいとのことから『加味逍遥散』を紹介したところ、生理痛もあるということで後者を試していただくことになった。
 本当は何も売らないというのが望ましいのだけれど、それで今度は他のお店に行き、相談せずに睡眠補助剤を適当に買われてしまうのも怖い。
 成分表示をお薬手帳に貼って医師に報告するようお願いし、処方された薬が切れた場合の対処方法についても事前に相談しておくよう勧めた。
 処方された薬を使い切ったからと、市販薬を求めたりサプリメントを頼ろうとする人は少なくないが、それらは先に医師に相談しておくべきことである。
 ただ、お店に来られてからそういうお話をしても説教するようになって、耳に入らないと困る。
 今回のお客様は、お薬手帳は普段から持ち歩いてるそうなので、「とても良い事」と褒めろたうえで、大規模災害のさいに避難生活になった場合には病院を受診しなくても必要な薬を受け取れることを教えると驚かれたため、普段困ったことがあって病院に行けないときには調剤している薬局を頼るようお話した。
 そして、普段は入浴してるものの今は生理中でシャワーで過ごしているとうため、髪や体を洗う時間に背中側に長く浴びる方法を勧めた。
 太い血管を温めるのと、太い神経をシャワーの刺激でマッサージすることによりリラックス効果が期待できる。

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