薬を効果的に使うためには、養生法など本人の努力と工夫も必要です

 幼児を連れたお客様が『アレジオン』を購入されるさいに、念のため「授乳中でも大丈夫ですが」と使用経験を尋ねたところ、ご主人が使うとのことで不思議そうな顔をされた。
 薬の効き方を説明し、症状が強く出ている場合は適さない事や、症状のある日だけ飲んでも良好な効果が得られない可能性をお話したものの、やはりピンとこないようで、ご主人の状況や使い方も分からないようだった。
 どこか他人ごとのようで、養生法については伝えられなかった。
 第2世代の抗ヒスタミン剤である『アレジオン』や『アレグラFX』などは、身体がアレルギー反応を起こすのを防ぐのが目的なので、花粉症ならば雨が降っていて花粉が飛んでいない日も、症状が起きていない日も、一定期間は飲み続けるのが効果的。
 飲まない日があると、その間にアレルギーを発症してしまう可能性がある。
 もし、すでに発症している場合には効果を発揮するまでに数日を要するので、その場合には第1世代の抗ヒスタミン成分を含んだ『パブロ鼻炎カプセルSα』のような物を先に使って症状が軽減してから乗り換えるか、点鼻薬とか目薬を併用して効いてくるのを待つという方法が考えられる。
 これらの前提を知らないと、「効かなかった」ということが起きてしまう。
 もちろん人間の体は機械ではないから、正しく飲まなくても偶然に効くことがあれば、正しく飲んでも効かいないことがある。
 だからこそ、効く確率を少しでも上げるために、その特性を理解しておく必要があるのだ。
 また、症状を抑えるためには薬だけに頼るのではなく、養生法も大事。
 花粉症などのアレルギー症状は、いわば身体を守る防御機能、免疫反応の暴走で、その司令塔となるのが第二の脳と言われている腸であり、腸の機能が低下すると暴走しがち。
 それを防ぐのは、腸が働きやすい環境を整えることで、いちばん簡単なのは温めること。
 積極的に温かい物を飲み、お風呂は湯船にしっかり入り、服装は上半身を薄着にしても下半身は厚着をしてお腹周りを保温する。
 さらに、食事のメニューには腸内環境を整える乳酸菌を摂るために、ヨーグルト製品や漬物を加えておく。
 そういう積み重ねがあってこそ、薬も効果的に使えるんである。

 夫婦のお客様が点鼻薬の『AGノーズアレルカットクール』を購入されるさいに症状を確認すると、ご主人の主訴は鼻水だそうなのだが、本人は他の商品を物色していて奥さんに尋ねてもらうと、適応しそうではあるものの、またすぐにご主人は居なくなってしまった……。
 鼻水が出るのを防ぐために、鼻腔内の体液を分泌する腺をキュッと締める作用により、細い血管も締まって栄養が行き届かなくなる副作用があるので、使いすぎるとかえって鼻炎の原因になるから、使わない休憩日を入れるようお話したところ、奥さんがご主人を呼び戻した。
 本人は完全に奥さん任せで、実は親子なんじゃとも思ってしまった。
 それで夫婦関係が上手くいっているなら、良いのだろうか。(反語)
 鼻水の原因は、内臓の冷えから来ているか、胃が弱っている可能性も考えられるので、本当はそういうお話もしたかったのだけれど……。

 お客様から求められた鼻炎薬が聞いたことの無い銘柄だったので調べたところ、某大手ドラッグストアのプライベートブランドだった。
 中身は『パブロ鼻炎カプセルSα』などに似た処方で、同じ鼻炎でも鼻づまりよりは鼻水を止めるのが得意な内容。
 鼻水は分泌される腺を締めてしまえば止まるのに対して、鼻づまりは鼻の奥の血管が炎症を起こして膨らんでいる状態であるため、炎症を抑えなければならず、そちらは現代薬では難しいのだ。
 発熱時に熱を下げる解熱剤だって、実のところ0.5度~1.0度くらいしか下げられないから、氷枕で直接的に冷やすほうが効果的なくらい。
 お客様の主訴は鼻づまりだが、件の薬は良く効いたとのことで、似た物があれば他の製品でも構わないとのことから、患部の熱を奪ってくれる生薬の入った『アネトンアルメディ鼻炎錠』を案内すると、お買い上げいただけた。
 腸のお話をしてみたけれど、養生法には興味が無いようだったので、お腹周りを温めることだけ勧めた。

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