プロの患者になるためには、自身が困っている症状や生活スタイルなどを“初対面の相手”に話す練習が必要です

 お客様が風邪薬や鼻炎薬を見ていて購入するのが雑貨のみだったので、何か心配なことがあるのか尋ねると、一人暮らしをしている成人の息子さんに送るのを見ていたとのことだった。
 自身は『パブロン鼻炎カプセルSα』を使っていて、効いたら1日1回しか使っていないというので、「良い判断です」と伝え、それは息子さんにもお話をするよう勧めた。
 お客様は、「本当は本人に買わせないとね」とも言っていたので、「その通りです」と答えた。

 お客様から子供用の痒み止めの目薬を求められたけれど、もとより年齢制限のある目薬は多くなく、子供用は刺激の強いメントールが入っていないだけだったりすることを説明し、使うのは小学生だというので、『ロートアルガードマイルド』をお買い上げいただいた。
 目薬の点し方を教え、花粉症の養生法をお話した。
 目薬を点した後にやりがちなのが、顔を上に向けたままにしたり瞬きをしたり、そして目元からこぼれた分をティッシュで拭うことだろう。
 いずれも、瞬きをすれば目薬が睫毛に持っていかれ、顔を上に向けていては目の裏側から喉へと流れてしまい、ティッシュを目元に当てると毛細管現象より、かなりの量が吸い取られるので、ほとんど目に目薬が残らない。
 それらを避けるためには、目薬を点したら静かに目を閉じて少し下を向き、そのまま5分間は目薬に目を浸すのが効果的である。
 そして、花粉症は雑菌などの敵と勘違いして、身体から排除しようとする防御機能の暴走によって起こる。
 目が痒くなって涙が出るのも、鼻が刺激されてクシャミが出るのも、防御機能が働くから。
 その管理をしているのが、脳と同じ細胞を持つ腸で、腸の働きが悪くなると花粉を敵と誤認してしまうのだ。
 そこで、お風呂に入って内臓を温め、上半身は涼しい服装をしても下半身は厚着をして保温を心がけ、積極的に温かい物を飲んだり、腸が働きやすいようにヨーグルトや漬物などを食べ、消化に忙しくならないよう食事のメニューは消化しやすい物にするのが養生法である。
 これ以上は情報を詰め込み過ぎになってしまうため、子供に薬を買う練習をさせるよう勧めるのは今回はやめた。

 お客様が『バファリンルナJ』と『小児用バファリン』を見較べて迷っている様子だったので声をかけ、中身は同じ成分で1回分の錠数が異なることを説明した。
 14歳の子供が頭痛に使っているそうで、以前には『小児用バファリン』を使っていたそうだが、頭痛の痛み方がズキズキするタイプなら鎮静成分の入った物を使う方法もあることをお話して『ノーシン小中学生用』を紹介したものの、痛み方については分からないとのお話だった。
 肩こりと連動している締め付けるタイプの緊張型頭痛ならば、上半身を温めて血流を良くする『葛根湯』も使えることをお話して、本日は『バファリンルナJ』をお買い上げいただいた。
 そして、薬を買う練習をさせておくのが大切なことをお話した。
 例えば、ズキズキするタイプの偏頭痛は胃の具合が悪くなると起きるので、発現したら食事を消化の良いものに切り替えるのが望ましいのだが、そういうお話も本人に直接アドバイスすることが出来る。
 また、水分代謝を改善して偏頭痛を軽減する『五苓散』『呉茱萸湯』を使うという方法もあるので、案内したいところ。
 そのためには、自身が困っている症状や、生活スタイルなどを初対面の相手にも話せるようになる必要があり、それは大人でも難しいこと。
 チャンスが有れば、どんどん練習してもらいたい。

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