正体不明の新型コロナウイルスは怖がるのに、中身が分かってるmRNAワクチンを怖がる不思議

 お客様から15歳の子供の喉の痛みと咳の相談を受けたのだけれど、同時に武田邦彦教授の陰謀論をまくし立てられ、PCR検査の判定基準が下がって心配だから病院に行けないとか、ワクチンは遺伝子操作されていて危険だから怖いといった話の中から、肝心の症状についてヒアリングするのが大変だった。
 本人は咳き込んでいる訳ではないそうだから、咳止め成分の入った風邪薬を避けた方が良い事と、喉の痛みには鎮痛剤を提案したうえで患部を冷やし抗炎症成分の入った『マードレトローチ』をお買い上げいただいた。
 薬の案内をしている時には、「完璧です!」と連呼され逆に戸惑ってしまった。
 私自身がワクチンを接種することを伝えると、今度はワクチンはビル・ゲイツの陰謀という説を持ち出すので、「あれくらい金持ちになると、変な陰謀に加担しないと思いますよ」と答えたら、「あー、慈善事業ですもんね」と何やら満足したようで足早に去っていった。
 疲れた……。
 食品でも「遺伝子操作」に拒絶反応を示す人がいて、「体内でどんな反応をするか分からない」という点で観るのなら、自然交配などの方が、よほど予測がつかない。
 ミネラルが豊富と喜ばれる自然塩にしたって、不純物の中に毒性のある物質が少ないのを検査してなければ使えない。
 新型コロナウイルスは、何に付着していて、どんなルートで感染するか分かりにくいから怖いのに、どうして不要な遺伝子を省いたワクチンや、不純物が入り込まないように人工的に精製した塩などを毛嫌いするのか分からない。
 人間の手を加えていないから安心・安全だというのなら、ニラと間違えて自生しているスイセンを食べて食中毒を起こすことだって無いはずである。
 確かに、人間の体は機械ではないからワクチンが体内でどのような反応を起こすのかを、完全に解析できている訳では無い。
 しかし、自然由来のワクチンのほうが格段に不確定要素が多く、遺伝子操作されている方がシンプルで反応を予測しやすい。
 それこそ市販されている風邪薬や胃腸薬なんかは、成分の種類が多くて副作用の発現を予測するのが難しく、病院で処方されるように単剤の方が副作用を気をつけやすい。

新型コロナとワクチンの「本当のこと」がわかる本~【検証】新型コロナ デマ・陰謀論

 夫婦のお客様の奥さんから声をかけられ、ご主人の肩こりの相談を受けると、ご本人はインドメタシン製剤の『バンテリン液α』を手にしていたので使ったことがあるか尋ねたところ、今まで使っていたとのことだった。
 鎮痛効果や浸透力は成分によって異なることを説明し、効果を感じられた物をあえて変えない方法もあれば、市販では鎮痛効果が一番高くて血液の中にまで入っていくジクロフェナクナトリウム製剤のように別な成分を試してみるのも悪くないとお話し、今回はそのまま購入となった。
 まぁ、ジクロフェナクナトリウム製剤は血液の中にまで入っていくから、他に使用している薬や持病の有無の確認が必要だし、患部以外の場所が日光に当たっても日光皮膚炎を起こす可能性があるから、良く効けば良いという話でもない。
 お客様から、ゲル剤について尋ねられたので、手で塗るのはマッサージを兼ねる時に向いている事をお話した。
 ご主人は長患いになっているそうなので、脅かす訳ではないけれど、吐き気を伴う急激な痛みは心筋梗塞や肺炎の可能性も考えられるので、あまりに苦しい時には迷わず救急車をと伝えた。
「いつもの事」と思って油断していると大病を見逃すことがあって怖いから、専門家の話を聞くために一度は病院を受診するよう勧めた。
 それも、定期的に同じ病院に通うことが大事である。
 行っても痛み止めを出されるだけだからと通院をやめてしまう人がいるが、自身のカルテに情報を積み重ねていくことによって、「いつもと違う」場合に気づいてもらいやすくなる。
「症状が酷くなったら行こう」だと、医師の側は「症状が酷くない時」の患者の表情といった情報を得られず、比較できないから「とりあえず様子を見ましょう」ということになる。
 でも、定期的に通院していれば、その様子見を先にしておけるのだ。

 お客様から火傷の相談を受け、患部は親指の付け根で、見せてもらうと範囲は狭いものの、ご本人のお話では一時は水ぶくれになったとのことだった。
 やや痛痒さがあるというため、局所麻酔の入っている『メモA』を案内したところ水泡が破れるのを心配されたので、破れた場合に使う抗生剤として『テラマイシン軟膏』を紹介したうえで、火傷を治す薬は無いことを説明し、『ワセリン』で患部を保護するか消毒薬の入った『オロナインH軟膏』を絆創膏代わりに使うことを提案すると、『メモA』を購入された。
 痕が気になる場合にと、血流を良くして修復する材料を運びやすくするヘパリン類似物質の入った『アットノンEX』や、単剤の『ヒルマイルド』を紹介した。
 お客様は火傷をした時に流水で冷やしたそうだが、わずか5分くらいだったというため、30分以上は必要なことを伝えると驚かれた。
 また、氷は刺激物になるので使ってはいけないことを付け加えた。
 流水にしても、患部には直接かけずに少し上部の皮膚から掛け流しにするのが望ましい。
 ちなみに、『冷えピタ』や『熱冷まシート』を使う人もいるが、発熱時にも冷たく感じるだけなので、火傷にはまったくの役立たずである。
 火傷は、水道水などの流水で30分以上冷やすのが最初にやること。
 くれぐれも、お忘れなく。

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