買う薬のことをどの程度理解されてるか分からないから、店頭で確認させ下さいませ

 やや高齢のお客様から、母親の腰痛の相談を受けた。
 庭仕事をしていて痛めたそうで、他の薬の使用を尋ねると「無い」というお返事だったけれど、病院から漢方薬を処方されているのが分かったものの何かは覚えていなかった。
 病院にかかった理由と、パッケージの番号の色がオレンジのと青色の2種類だったということから考えると、こむら返りや筋肉痛に使う68番の『芍薬甘草湯』と冷え腹に適応する100番の『大建中湯』ではないかと予想。
 お客様にはアセトアミノフェン製剤の『タイレノール』を案内してお買い上げいただき、「お薬手帳を持ってきた方が良いんだねぇ」と言っていただけたので、使い方と調剤薬局の利用の仕方もお話した。
 お薬手帳は市販薬を買う場合に参考になるのはもちろん、その成分表示を貼って処方された薬と一元管理しておけば、医師や薬剤師との情報共有に役立つ。
 また、病院に行かない日も普段から持ち歩いていれば、出先で事故や倒れたりした場合に、駆けつける救急隊員が見ることができるし、地震などの大規模災害時に家に戻れないまま避難した場合には、特例として必要な薬を医師の診察を受けなくとも貰うことができる。
 そして調剤してもらってる薬局は、普段から健康相談の窓口になってもらえるので、具合が悪くなった場合に市販薬を買いに行く前に、家にある薬で対処できるかとか、避けたほうが良い薬を確認しておくといったように、頼ったほうが良い。
 調剤薬局は、病院から処方箋を貰ったときにだけ訪れる場所ではないのだ。

 お客様がサリチル酸製剤の『トクホンチールOX』と、二段飛び越して強めかつ浸透力のあるジクロフェナクナトリウム製剤の『フェイタスZα』のローションを比較していて、レジに持ってきたのが強いものの浸透力では劣るインドメタシン製剤の『バンテリンクリィミーゲル』だったのでヒアリングしてみたところ、捻挫に使うとのことだった。
 捻挫となれば強い薬を最初に使うというのは良い選択であるものの、打撲と違い浸透力もあったほうが効果的。
 成分によって鎮痛効果と浸透力が異なることを説明し、『フェイタスZα』の方を勧めようと思ったけれど、予算の関係で選んだのかもしれず、そのままお買い上げいただいた。
 捻挫をしたのは今朝のことだというので、遅いかもと思いつつ、塗る前に氷水で冷やすよう勧めた。
 本当は、捻挫をした直後に患部の感覚が無くなるくらいに冷やすのが良い。
 捻挫や打撲をすると、身体は異常が起きたことを脳に知らせるために痛みの伝達物質プロスタグランジンなどを生産する。
 異常を脳が認識した段階で、その生産を止めてくれれば困らないのに、人間の身体は機械ではないから、生産量を調節することができない。
 そこで強烈に冷やすことにより患部の血流をわざと悪化させて、痛みの伝達物質を生産する能力を下げてやるのだ。
 そうすると、痛みの伝達物質のトータルの生産量が減り、痛みを長引かせないで済む。
 痛みが長引く原因は、初期に痛みの伝達物質が大量に生産されて患部に残ってしまうからなんである。
 出先で起きたならコンビニなどで氷を買い、家でなら保冷剤でも構わないので、とにかく薬を買いに来る前に冷やすことを優先するのが大事。

 お客様『フェイタスZα』の試供品をお渡しするさいに注意事項を伝えると、病院で『ロキソニンテープ』を処方されているそうで、同じくらい強いのか尋ねられた。
 強さとしては同じくらいだけれど、浸透力ならジクロフェナクナトリウムの方が優れている。
 ただし、浸透力があれば良いというものではなく、腎臓や心臓などの循環器に影響するし、日光に当たると患部ではない場所もかぶれる場合があり日除け対策が必要。
 一方、ロキソプロフェンは胃などの消化器に副作用が現れることもあるので、使ってみて効いたかどうかだけでなく、異常が起きなかったかどうかも、お薬手帳などにメモを残しておくと良い。
 そういうことでは貼り薬も飲み薬や持病と影響するし、『太田胃散』のように昔から馴染んでるという薬も油断しないようにとお話をした。
 お客様には、「事故にならないかドキドキしながら売ってます」と伝えた。
 なので、普段から使ってる薬や持病がある場合には、市販薬を買うときにも伝えて欲しいし、買う薬のことをどの程度理解されてるか分からないから、まずは相談してもらいたい。

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