売り場で薬を選んでる人が患者本人ではないという罠

 中学生の子供を連れた親子のお客様が汗疹(あせも)の薬を見ていて、子供が選んでいるようだったので気にかけていたところ、『ケアセモ』を手にしたところで声をかけた。
 すると、『ユースキンあせもクリーム』との違いを尋ねられたので、基本の処方構成は同じで、『ケアセモ』にはメントールが加わっていることを説明した。
 いわゆるスーッと冷たく感じる成分だが、この冷感を嫌がる人もいるから、念のため痒みや痛みに有効な理由もお話した。
 人間の体には「痒み」を感じるための神経は無くて、「痛み」を感じる神経が弱い痛みを痒みとして認識する。
 そして、人間の体は「痛み」より先に「冷たい」のを感じるようになっている。
 これはおそらく、冷たい川に入るとか寒い場所に長くいることが生命の危機に直結するからだろう。
 その仕組みにより、冷感は痒みに先んじることとなって、症状としては軽くなったと感じる次第。 
 治す訳ではないものの、もとより市販薬は一時的な対症療法が基本だし、皮膚疾患は自然に治るのを待つのが基本。
 そのまま『ケアセモ』をお買い上げいただくことになったのだが、入浴してるのに湯船に入ってるのは短時間というため、熱すぎない湯にゆったり入るよう勧めた。
 汗をかかないようにと入浴を控えてシャワーにしてしまう人がいることからすれば、入浴するのは良いことなのだけれど、その目的は皮膚を弛めて汗腺の目詰まりを解消するのと、血流を良くして老廃物を回収し炎症した患部へ修復する材料を運ぶためでもあるので、のぼせないように飲み物を浴室に持ち込んで飲み物を持ち込んででも、長めに入浴するほうが養生法となる。
 ただ、子供が選んでいたから子供が患者だと思ったら、使うのは親の方だった模様。
 ありゃん、ヒアリング失敗(;´Д`)

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 お客様から、太ももの内側がズボンと擦れて痒いのことで『テオドランホワイトL』で良いか尋ねられ、ベビーパウダーと同じ酸化亜鉛が擦れを防いでくれることを説明したうえで、患部を油分で保護する軟膏の方が良いかもとお話したところ『フェミニーナ軟膏』を試していただくことになった。
 ここは迷うところで、症状が激しい患部には皮膚のバリアを破って浸透しやすいクリーム剤の方が優位だし、患部が服と擦れることが分かっているのだから保護を優先して軟膏を使うと考えた場合、酸化亜鉛の入っている『テオドランホワイトL』なら効果が高く患部が擦れるのも防いでくれる。
 しかも、顔などと違って目立つ場所ではないから、塗った部分が酸化亜鉛で白くなっても困ることは無い。
 ただ、上半身の服と違ってズボンの方は歩くたびに擦れるだろうから、ベトつく軟膏のほうが保護力が強いと判断した。
 お客様は入浴はしているそうなので、ぜひ続けるよう勧めた。

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 成人の親子のお客様が来店し、息子さんと思われるお客様から『トクホン』のような薬をと求められ売り場を案内したさいに、外用消炎剤としては比較的弱めの薬であることや、捻挫や打ち身などの急性症状には強い薬から使うのが効果的というお話をしてヒアリングしようとしたが、何も答えてもらえなかった。
 そして私が売り場を離れると、高齢の母親に息子さんが患部の場所や症状を尋ねていた。
 ううん、私にも確認させて欲しいんだけどな(´・ω・`)
 『トクホン』と同じサリチル酸製剤の『のびのびサロンシップ』と『サロンパス』を購入されたけど、もしかすると息子さんは医療者だったのかもしれない。

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