子供を連れたお客様から、ご主人の背中の痛みの相談を受け、これまで『ロキソニンテープ』を使っていたそうで他に飲んでる薬や持病は無いというため、『ロキソニンテープ』と同じくらい鎮痛効果があるうえに浸透力に優れたジクロフェナクトリウム製剤を紹介したところ、迷われたようで他のお客様がレジに並んだため一旦離れた。
しかし、他のお客様の対応してる間にいなくなってしまった。
しまった、成分が血液中に入るから飲み薬との併用に気をつけることや、光過敏症の副作用を起こすことがあるから使用中はUV対策をする必要があることまで伝えられなかった。
いっぺんにアケコレ説明すると情報料が多くて混乱するだろうから、会話の中で様子を見ながら小出しで説明するようにしていたのが仇になった。
もし他のお店に行くようなら、同じく店員に声をかけて相談してもらいたい。
お客様がジクロフェナクトリウム製剤の『フェイタスZα』を買いにいらしたが、主訴は腰痛で、インスリン注射をしてると分かり、他にも血圧を下げるなど複数の薬を服用していて、「気にしたことない」と豪語されるうえ、腰痛については病院に行っていないというため、今後の安全を考え薬剤師のいる近所のドラッグストアに連絡してバトンタッチすることにした。
お話は聞いていただける方で良かった。
薬を売ってくれないのかと激高される人もいるので、こちらは内心ヒヤヒヤしながらの応対である。
糖尿病とか心臓疾患とか、重い病気を患っているはずの人ほど、まるで自身の病気を軽く見ているかのように振る舞うケースに出くわす。
正直、自分の体なのだからご勝手にと思わなくもない。
しかし、これは私見だけれど「病気がそうさせている」とも考えられる。
漢方的には感情と五臓六腑は密接な関係があり、例えばクヨクヨ悩むタイプは胃を悪くしがちだし、胃を悪くすると悩みがちになる。
他にも、怒りっぽくて怒りが持続するタイプの人は肝を傷めやすく、肝を害するとイライラが続く性格になるとされる。
同じ怒りっぽいのでも、瞬間湯沸かし器のように怒った次の瞬間にはニコニコするタイプの人は、心の機能が不安定だったりする。
また、現代医学の観点からしても、人間の身体機能は化学反応によって活動しており、関係する化学物質は、やはり人間の思考や感情にも影響を与える。
腎臓の機能が低下すると思考力も低下して、気をつけるべきことに気を配れなくなるというのもあり得る。
もっと身近なところでは、花粉症で鼻水が止まらなければそちらに意識が行ってしまい面倒なことを考えるのが億劫になるし、発熱していたら頭がボウッとするのを経験したことのある人は少なくないだろう。
店頭で、お客様の対応をしたときに嫌な思いをすることがあるけれど、「病は気から」という言葉があるように、「病が気に障ってる」状態ゆえに仕方がないという場面もあるのだと考えて、投げやりな対応にならないようにしたい。
そういう意味では、お客様が選んだ薬を自動販売機になって売ってしまうのは良くないが、感情を持たずに淡々と対応することで最低限のヒアリングをして情報提供を行なうというのも、心折れずに薬の接客をする一つの手かもしれない。
高等技術すぎて、私には無理そうであるが。
若い2人組の女性のお客様が『トクホンチールOX』と『トクホン』を比較していて、両方を購入されるので、どちらも外用消炎剤としては弱めの薬で、目的によっては別の物が適応する可能性もあることを伝えた。
でも、半ば無視される感じで返事も無く、「レシートいらない」とだけ言われて置いていこうとされたから、もしも副作用が現れて治療が必要になった場合には、その治療費を医薬品副作用被害救済制度を通じて申請するのに必要なことをお話すると、渋々お持ち帰りになった。