「副作用」があるのは薬だけじゃない!?

 やや高齢の夫婦のお客様が来店し、奥さんが『ケラチナミンコーワ20%配合クリーム』を一般用品レジに持って行こうとされるので声をかけたところ、化粧品だと思っていたという。
 うちのお店は、薬の説明中に一般用品を購入するお客様が列に並んでしまうのを避けるために、医薬品優先のレジと一般用品のレジとに分かれている。
 本当は優先じゃなくて医薬品専用のレジにしてもらいたいところなのだけれど、薬以外の買い物のお客様が多いから対応しない訳にはいかない。
 ただそのせいで、医薬品の説明をしている時に一般用品を買うお客様が後ろに並び、「早くしろ!」と怒ることがあって困る。
「薬の相談中は他のレジにお回り下さい」という案内札を掲示したら、「書き方が冷たい」 なんて苦情が入ったせいで、「一般用品、ベビー用品、ペットフードなどは一般用レジでもお会計できます。ご迷惑をおかけしますが、ご協力をお願いします」と、やたらに長ったらしい文章になり、誰も読まない(-_-;)
 おっと、話を戻すと、お客様から「副作用あるの?」と尋ねられたので「薬ですから」と答えると、「気にしたこと無かった」と言われてしまった。
 皮膚に水分を留めておくは塗った時にピリッとした刺激があるし、長期連用していると皮膚が刺激に敏感になってしまう可能性があることを伝えた。
 本当は、副作用というのは薬に限った話じゃなくて、サプリメントや健康食品はもちろん、水だって塩だって使い方を誤れば害があるので、それが化粧品でも気をつけてもらいたいところ。

ケラチナミンコーワ20%尿素配合クリーム

 お客様から頭皮湿疹に使う『ムヒHD』と同じ処方内容で探してるブランドがあると注文されたのだけれど、肝心のブランド名を尋ねても何故か教えてもらえなかった。
 普通は覚えていなければ、「忘れた」とか「分からない」と言うはずなのに、どうも知ってて言ってくれない感じ。
 そして、病院でも何か処方された薬があるようなのだが、やはり教えてもらえないまま『ムヒHD』を購入された。
 お客様には、を持ち歩くようお願いした。

ムヒHD

 お客様が『ケアセモクリーム』を購入されるさいに、汗疹(あせも)ではなく「汗かぶれ」で良いか確認をした。
 汗疹は汗を出す汗腺が目詰まりして炎症を起こすのに対して、汗かぶれは正式な疾患名ではなく、自分の汗に含まれる塩分によって炎症を起こす症状である。
 汗疹には止めに抗炎症剤と殺菌成分を処方した薬を使い、汗かぶれの方は汗が再び皮膚に吸収されるのを防ぐ薬が適応する。
 患者は家族で、シャワー派だというため、身体に良い汗をかくためには入浴するのが望ましいことをお話した。
 というのも、暑さや運動を止めたときに最初に出る汗は塩分濃度が濃く、これが肌への刺激となって炎症させてしまう。
 だから、汗は少しずつ各環境が望ましい。
 入浴をした方が、上がった後にドッと汗をかくイメージがあるけれど、入浴している段階で汗をかき始めて入浴中はお湯で希釈され、上がり湯を浴びれば初期の刺激の強い汗は洗い流される。
 そして、その後に出る汗はすでに塩分濃度の薄い汗に変わっているから問題は無い。
 ところが、その汗を汗疹の原因と考えて入浴せずにシャワーで済ませてしまうと、入浴すれば開く汗腺の目詰まりは解消されず汗疹の原因を抱えたままで、シャワーで血流が良くなってからかいた汗は塩分濃度が濃いため、これは汗かぶれの原因何もなってしまう。
 だから、入浴後の汗は放置しても構わないが、シャワーの後の汗はしっかり拭き取る必要がある。

 お客様が、ご主人から「テレビで見た薬を頼まれた」とのことで、銘柄は不明だったが「副鼻腔炎の手術を受けた」というお話から『チクナイン』(辛夷清肺湯)のようだった。
 とはいえ他にも選択肢があるため、鼻詰まりと鼻水を行ったり来たりする場合の『葛根湯加川きゅう辛夷』と、鼻が詰まる一方で息苦しい時に使う『荊芥連翹湯』も紹介したうえで、『辛夷清肺湯』は鼻が詰まって鼻汁がいに落ちてくる症状に適していることを説明した。
 すると、胃は悪いかもというため、『チクナイン』が適応しそうとお話して、お買い上げいただいた。
 また、鼻の症状は繋がってる胃も関係することを、本人にも伝えてもらえるようお願いした。
 いささか簡単すぎる区分としては、胃が冷えていたり疲れていると鼻水になることが多く、胃炎を起こしていると鼻が詰まりやすい。
 ご主人は病院では薬は処方されなかったそうで、お酒は焼酎を好んで飲まれるというため、やはり胃が熱を持っているのかもしれない。

 高齢のお客様から『メンソレータム』の「小堺一機の写真が貼ってある銘柄」と注文をされたのだが、ネットで調べても分からないでいると、「あった、あった! これこれ!!」とお客様が見つけたのは『メンソレータム AD』で、パッケージに貼ってある写真は関根勤だった。
 いや、確かに萩本欽一の弟子というとこでは共通しているけれど( ̄ω ̄;)
 使っているのはご主人で、入浴後にがあり、熱いお風呂に入っているというので、それが原因の可能性をお話した。
 熱いお風呂に入ると血管がギュッと締まって、お風呂を出た時に血管が開き一気に血液が流れ、血管の壁を擦り炎症を起こしてしまうのだ。
 どうしても熱いお風呂に入りたい場合は、ぬるめのお湯に入ってから追い焚きをすれば、血管もゆっくり開いてそんな事にはならないのだけれど、お客様に勧めてもご主人はそういうのは駄目だとのお話だった。
 また、医師からは心臓について指摘されていることがあるそうで、つい「お疲れ様です」と言ってしまった。
 病院に行くの嫌がったり医師の指示に従わなかったりし、そのうえ養生もせず、奥さんに薬を買うのを任せっきりで、苦労ばかりかけるご主人という構図は何度も見てきたので。

コサキンコント劇場

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