お客様から勉強させてもらうことは多し

 『加味逍遙散』を購入されるお客様に使用経験を尋ねたところ、首周りののぼせに使っているとのこと。
 ああ、なるほど~(。_。(゚д゚(。_。(゚д゚ )
 柴胡と芍薬と山梔子と、鎮静効果のある生薬が三つも入っているから、つい精神神経症状にと私は考えてしまいがち。
 でも良く考えたら、蒼朮と茯苓で偏った水分を回し、生姜で血管を開きながら当帰で血流を改善して体温の偏りを正しつつ、牡丹皮と薄荷で熱を降ろす。
 資料に目を通して一度はそう覚えるのに、日々の業務の中で忘れてしまう鳥頭(^_^;)
 お客様に声を掛けるのは、適応していない物を使っていたりしないかを確認するためでもあるけど、こうして忘れている効能効果を思い出して勉強になる事もある。
 店頭で訊かれることに慣れていないと面食らうこともあるかもしれませんが、協力してくださると大変ありがたいですm(_ _)m
 ちなみに、のぼせを取る漢方薬は他にもある。
 選択の際には、精神神経症状への適応も参考の一助になるものの、その「精神神経症状」自体が多岐に渡るため、睡眠の状況を私はヒアリングする。
 大きく三つに分けると、イライラして寝付くまで時間の掛かるタイプ、いったんは寝るけど短時間で目を覚ましたりする中途覚醒タイプ、睡眠時間はしっかり取っているのにウツラウツラして眠りが浅いタイプ。
 ただし、人間は機械ではないし、気温の変化や当日の出来事が影響したりするため、眠りのタイプが混合することもある。
 私なんか、三つとも全部当てはまってしまい、大変に具合が悪い(爆)
 『加味逍遙散』の場合は、精神を安定させる生薬の効果から考えてイライラして寝付くのに時間の掛かる傾向と、水分代謝を改善する生薬の働きによりウツラウツラと浅い眠りの傾向の混合タイプに適応すると考えられる。
 先の「精神神経症状」でいうのなら、周囲に対してすぐにイライラしてしまう一方、それについて自分で反省し今度は自己嫌悪に陥るタイプといったところか。
 今回のお客様の場合は、首の周囲にのぼせがあり、睡眠に関してはウツラウツラしているというので、適応しているのは間違い無さそう。
 最初に使うようになったのは、病院からの処方だそうなので、担当医の見立てが良かったんだろうねぇ。
 そういう見立てが出来るようになりたいが、主な効能を忘れてる段階で駄目ですな(;´・ω・)
 お客様からは逆に、飲み続けなければならないのか質問されたため、症状に合わせて適宜増減できることをお話した。
 漢方薬だから大丈夫という話ではなく、あくまで生薬構成からしてと付け加えたうえで。

 鉄剤の『ファイチ』を求めて、お客様が来店。
 中学生の娘さんが、貧血で何度か倒れたことがあり、病院で鉄不足を指摘されたという。
 ただ、それで鉄剤を処方されたりはしなかったそうなので、そう深刻でも無さそう。
 と思ったら頻脈もあり、140bpmを超えたことがあるそうな。
 しかし、検査では原因は特定できておらず、他の病院でも改めて検査をさせたいに、本人が学校を休みたがらず予定が立たないのだとか。
 担任の先生から勧めてもらうよう提案したところ、さすがに倒れたことがあるため言ってもらった事はあるそうな。
 ありゃん。
 でもお話を訊いているうちに、部活でチアリーダーをやっていて、頻脈は大会直前だったというお話が出た。
 ううん?
 それはもしかすると、ストレスが原因なのでは……。
 もしストレスが原因で、一定の条件の時にしか発現しないとすれば、検査では肉体的な原因は特定できないかも。
 頻脈も貧血と同じように、原因は必ずしも血液や心臓といったものと限らないし、もとより自律神経は関係している。
 頻脈というのは、つまりは心拍数が増加している状態のことで、身体的な機能を補うために一時的に心臓が頑張ってしまったり、あるいは脳から異常信号が出てということがある。
 もしストレスが原因で、それが大会に出ることなどのように緊張性であるのなら、『半夏厚朴湯』でいけるかもしれない。
 実際に鉄不足というのも関係してるかもしれないので軽率なことは言えませんがと前置きしたうえで、『半夏厚朴湯』を紹介して、保険の適用薬でもあることをお話した。
 医師に相談すれば、処方してもらえるかもしれないので。
 まぁなんにしても、休める自由度は中高生の頃のほうが高いのだから、今のうちに病院には足を運ぶよう本人に言い聞かせましょう。
 一応、最初の目的の『ファイチ』については、私としては処方されていなければ不要だと思ったのだけれど、どうしてもと要望されたため、お試しサイズを案内してお買い上げ頂いた。

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