治療法は日々アップデートされていきます

 水虫薬の『ブテナロックV爽快パウダー』をレジに持ってきたお客様に、念のため水虫と確定しているか尋ねたところ、わからないという返答。
 ご主人からの頼まれ物だそうで、患部は足の指の間で白っぽいものの、ジュクジュクはしていないそう。
 もちろん、しているように見える水虫もあるんだけど、症状は一年中だというお話。
 そのまま販売してしまったけど、水虫は目視だけでは医師でも判別が難しく、顕微鏡検査でやっと分かるという物なので、一度は病院を受診してみるよう勧めた。
 知り合いの薬剤師さんから聞いた体験談では、6年ほど水虫薬を買い続ける患者さんがいて、本人が頑なに「水虫だ」と言い張るため求められるままに販売していたものの、もう薬剤師さんの方から懇願して湿疹用の薬である『ロコイダンクリーム』を試してもらったら、1週間ほどで治ってしまったそうな。
 一部の水虫薬には、真菌を攻撃するのと同時に皮膚細胞にもダメージを与えてしまう成分が入っているため、6年もの間ずっと皮膚の再生を阻害していたのだろうとのこと。
 確認しないままで水虫薬を使い続けるのは、それなりのリスクが有るんですよというお話(・o・)

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 やや高齢のお客様が、『ソンバーユ』を求めて来店された。
 ここ数ヶ月ほど、馬油で有名な『ソンバーユ』は品薄状態。
 例の中国人観光客によるお土産やら、中国人留学生による転売目的の爆買いのため品薄なのだ。
 メーカーと小売の企業は儲かるかもしれないけど、迷惑な話である。
 中国本土でもあるはずの香港で、大量買い付けの規制を求める住民からの声が出るのも宜(むべ)なるかな。
 お客様には入荷の見込みが立たないことを説明して、他社の馬油を紹介してみたけど、「考えてみる」と帰られてしまった。
 馬油の品質が、それほどメーカーによって違うとも思えないんだけど、まぁ気持ちは分からないでもない。

 『キズドライ』をレジに持ってきたお客様に、注意点として、傷口を良く洗ってから使用することと、病院を受診する予定の時には使用を控えるようにお話した。
 医師によっては、「なんで使ったの!?」とお説教されるというか怒られるケースも有るという話を、地元の薬剤師会の役員さんから聞いたので。
 治療する際に、砂などを洗い落とさないまま巻き込んだ傷口の洗浄やら、傷口を洗ってあっても『キズドライ』の除去に手間が掛かるからなんだとか。
 すると、お客様の中学生のがサッカー部で擦り傷が絶えず、家に有った『キズドライ』を使い切ってしまったため、追加を買いにいらしたという。
 湿潤療法について話してみたら、一応は知っているみたいだった。
 そして、湿潤療法に適した製品について尋ねられたので、『キズパワーパッド』を案内した。
 たまに『キズパワーパッド』と一緒に、傷薬も買おうとされるお客様がいるけど、『キズパワーパッド』の注意書きには薬を併用しないようにと有るので、お気をつけ下さい。
 にしても、その注意書きが小さくて分かりにくいんだよねぇ。
 今回のお客様はというと、湿潤療法の経験が無く不安な様子だったため、通常の絆創膏に『オロナインH軟膏』を使う方法を提案したところ、家に有るとうことから『キズドライ』をキャンセルして、絆創膏に『ケアリーブ』を購入された。
 『オロナインH軟膏』の方も、世間的には誤解があるんだけどね。
 効能書きに、「にきび、吹出物、はたけ、やけど(かるいもの)、ひび、しもやけ、あかぎれ、きず、水虫(じゅくじゅくしていないもの)、たむし、いんきん、しらくも」とズラズラと並んでいて、まるで万能薬のように思われている人もいるけど、主成分のクロルヘキシジングルコン酸塩液は、要するに消毒薬である。
 ただ、液体の消毒薬と違うところは、液体だと蒸発してしまうのが、軟膏になっているため患部に留まり「一定の期間、継続的に消毒し続ける」という点。
 つまりは、治すというよりは、患部の保護が目的なのだ。
 やシモヤケには血流改善を検討した方が良いし、ヤケドには皮膚の再生を促進する物が望ましいし、水虫やタムシには抗真菌薬が必要なので、万能薬のような使い方は気をつけてもらいたいところ。

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