薬を選んだり治療方針を立てるには、生活スタイルなどの情報も重要です

 お客様から筋肉痛に内服の鎮痛剤を求められヒアリングしたところ、入院していて体を動かし始めてからだそうで、病院で処方されていた湿布薬は効かないとのことだったが内容は覚えていなかった。
 鎮痛剤の成分による違いを説明したうえで、湿布薬や塗り薬も成分によって鎮痛効果と浸透力が異なるから選択肢には入れておいたほうが良いことをお話して、神経の先っさちょである末梢神経、いわば「痛い場所」に効くアスピリン製剤の『バファリンA』を試していただくことになった。
 アスピリンは人類最古の痛み止めで、ハリウッド映画のアクション物なんかで主人公が怪我すると飲んでるのがコレ。
 ただ、アスピリンは胃を傷めたりといった副作用が発現しやすく、中枢神経と末梢神経に働きかけるイブプロフェン製剤などに較べると鎮痛効果は劣るとされている。
 とはいえ、『バファリンA』には胃の保護成分が入っているし、薬は強ければ良いというものではない。
 今回の場合、関節痛などと違い筋肉痛と考えられるから、中枢神経まで抑える必要は無く、炎症している場所で効けば良いと判断した。
 お客様は、医師には処方された湿布薬が効かなかったことは言ったものの、薬の処方が変わらず行くのをやめてしまったというのだけれど、その湿布薬の名前を覚えていないことからすると、同じ湿布の形でも成分が違う物を処方された可能性も捨てきれない。
 病院を変えることを提案して良いものか迷ったため、別な言い方としてリハビリのある整形外科を勧めると、友人の整体師のところに通っているとのことだった。
 整体師とでは役割が違うので、整形外科には定期的に行くことと、医師には生活の状況などもお話しするよう勧めた。
 アパートやマンションに住んでいるのと、2階建て以上の一軒家とでは歩く範囲が違ったりするし、仕事の内容なども身体の動かし方の参考になるので。

 やや高齢のお客様に『フェイタスZαジクサス』の試供品をお渡しするさいに、血液にも浸透するので飲み薬との併用や持病との影響に注意する必要があることと、日光皮膚炎を起こすケースもあるため使用時には日よけ対策をするよう伝えた。
 そして、薬の強さからすると肩こりくらいに使うのはモッタイナイかもとお話したところ、肩は上がるものの痛みがあるというため、適応しますと答えた。
 他に腰痛もあるそうで、歳だからと思ってると大きな病気を見逃してしまう可能性もあるから、病院を受診するよう勧め、受診時の相談の仕方もお話した。
 医師を目の前にすると「お任せします」となりがちだけれど、治療のチームリーダーは患者自身。
 監督やコーチに治療方針を相談し、決めるのは自分だと思って話を聞くのが良い。
 そして、昨今では個人情報に世間全体が敏感すぎるものだから、医師の方から生活状況などについて積極的に尋ねることはしにくいので、自分の方から情報提供するつもりでお話して、分からないこと疑問に感じたことは質問する。
 医師も人間だから、積極的な相手には親身になってくれるもんである。
 そういう意味では、できるだけ笑顔で穏やかな対話が望ましい。

医者と病院をうまく使い倒す34の心得

 お客様がテーピングを購入されるさいに、「クレベリンあるんだ!」と喜んだように言われたので、密室での実験では効果があっても生活空間では分からないことと、塩素を吸い込むことによる健康被害のリスクを説明し、観葉植物が枯れたり窓際のカーテンにカビが生えなくなったというお話もした。
 すると8歳の子供がいるというので、近くに置いておくと喉や目が痛くなる可能性も伝えた。

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